後継者

後継者が自信を無くす理由~経験を積んでからの自信喪失

ある後継者の悩みが興味深いのでここで取り上げさせていただきます。
その後継者の方は、会社の中で経験を積まれ、そこそこ仕事も頑張っておられたように思います。
そんな後継者の方が、いよいよ代替わりだ、というタイミングですっかり自信を喪失してしまったというのです。
挙句の果てに会社を辞めたいとこぼしています。
一体何が起こったのでしょうか。

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この後継者の方は、親の会社の事業の将来性には元々あまり期待が持てないと考えていたようです。
だから、異業種への参入を自分の代で成し遂げようと奮闘しておられました。
社員に対しても、色んな勉強会を主宰し、会社を良くするために一生懸命でした。

それでもあるとき、ポキリと心が折れて、もう会社に行くのさえ嫌になる事が度々になってきているようです。

色々と伺ってみると、やはりというか、定番なんですが、先代と衝突があって関係はかなり良くないそうです。

こうなると、後継者は自分の妻や子供との関係まで悪化することがよくあります。
この後継者のケースで言うと、奥様は表面的には協力的ではありましたが、内面的に呆れ模様な仕草も見受けられるようです。

 

ここでこの会社を辞めたい後継者の中で何が起こっているかを考えてみます。
まず彼は、親の会社を継ぐと決めた際、その理由は「親のため」だったようです。もう少し深読みすると、「親に認められたい・親に感謝されたい」という思いからの行動でした。
つまり自分にとっては、親への愛情表現の一つが、会社を継ぐという決断でした。
しかし、いざ会社に入ってみると、どんなに頑張っても親は一向に自分を認めてくれない。
もちろんはじめのうちは、「身内だからあえて厳しくしている」というのはわかっています。それでもある程度の仕事ができるようになっても、認められているような感じがしない。
もっというと、受け入れられているという感覚を感じられない、とさえいう人もいます。

今回の相談者である後継者は、社員さんとはそこそこの関係性を築いていたようですが、それでも社員との間には独特の距離感がありますから、本音をさらけ出すのは難しい。
家庭では妻や子供には心配かけまいという事、そもそも彼は長男なので何事も「自己完結」しなければならないという思い込みというか癖を持っていますから、仕事に関する本音をあまり妻には語りません。
結局、後継者は自分の心持を誰にも相談できず、安心・安全な場所がどこにもなく、常に強いストレスにさらされていました。

もはや安住の場所をなくし、常に緊張状態を強いられていると「自分はここにいてもいいのだろうか?」という思いや、「自分が生きている意味はあるのだろうか?」という思いに頭が占められてきます。
これを直接的に表現するとあまりにインパクトが強いため、言葉にするときは「未来への不安」という言葉にして発せられるという事になります。

 

こういった状態の人は、いいカウンセラーやコーチに出会うことができれば、そんなサービスを受けることも検討してみるのもアリかもしれません。
もう少し軽めの話でいくと、本音を話すことができる相手をつくることです。
地元の経営者団体に二代目社長などを見つけたら、素直に相談してみるのもアリかと思います。
逆にその相手も、外では自信満々に見えて同じような悩みを抱えてる可能性がかなり高いはずです。きっと、相互理解ができる相手でしょう。

自分でできるケアとしては、まずは自分の感情をしっかりと感じ取るという事です。
人はイヤな感情を見ないようにしがちなのですが、それはすなわち自分自身の心の叫びに耳をふさぐことになります。
そうではなく、嫌な感情が沸き上がった時も、しっかりそれを感じ取って「ああ、自分は今ツラいんだな」ということを受入れてください。
それを繰り返すことで、自己肯定感は間違いなく上がります。
自己肯定感というのは、自分を白々しく褒めるのではなく、自分の良いものやそうでないものも含めて、「ああ、自分ってこう感じてるんだな」と認め、受け入れてあげることで上がるのです。

是非参考にしてみてください。

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