後継者

後継者は覚悟を試される?~二度あることは三度ある 

経営者あるあるとして、こんな話があります。
何か問題が起こった時、その問題に真摯に向き合わなくて逃げていたりすると、ひとまずその場はつくろえたとしても、また同じ問題がパワーアップしてやってくる。
科学的根拠を示せるような話ではありませんが、多くの経営者が口をそろえて「そうそう!」とおっしゃるので、的外れな話でもないと思います。
皆様のご経験はいかがですか?

関心を持っていただいた方は、画像をクリック。

組織の運営をしていると、組織内の人たちはそれぞれに自分の役割を演じるようです。
こんな話があります。
ある学校で、クラスの中に一定数の不良がいるため、クラス編成においていい生徒だけのクラスと、そうでない生徒を集めたクラスをつくったそうです。
普通に考えれば、お行儀のいい人を集めたクラスは、全体的にお行儀がよく、
不良を集めたクラスは、かなり荒れていく、という印象を抱きます。
しかし実際のところは、お行儀のいい人を集めたクラスの一部が授業中の態度が悪くなり、不良を集めたクラスは一部の人のお行儀が良くなったのだとか。
ちょっと出典は忘れましたが、だいたいこんな感じの話だったと記憶しています。

一体何が起こっているのでしょうか。

それは、組織というのは常に、構成員の相互関係で成り立っていて、組織が組織であるためにその中での様々な役割を自然とメンバーが演じるようになると言います。
会社のような組織の場合、自然発生的な役割に加え、会社の中での決め事としての役割分担もあるため、けっこう複雑化が進みます。

そしてその組織の中に何か問題が起こったとします。
出来ることなら、スルーしていれば勝手に解決して、何もなかったように前に進みたいものです。
しかし、経営者あるいは後継者が何かしらの形で介入しなければならないと思わせるような組織の問題は、解決に際して人との摩擦があることがわかっていて気が進まない問題ほど、ちゃんとそこに向き合うことが大事だと思われます。

もしそれをスルーしたら、次第に物事は表面的には沈静化するかもしれませんが、いつかどこかで蒸し返したり、あるいはまったく別の問題が噴出したりして、結局何かしらの手を下す必要性が出てくることがほとんどです。実はこういった問題から常に逃げ続ける人もいます。そうやって逃げ切ることができるのかと言えば、そういう人は例えば人生の終わりを迎えるにあたって非常に孤独になると言ったかたちで精算されるようです。

ある経営者は、自分のメンツを大事にし、人にいい顔をすることをずっと続けてきました。
共同経営者がいたのですが、共同経営者の言いなりで、何一つNOをいうことなく、「自分は大丈夫」といいつつ本心とは違う顔を共同経営者に向けていました。
しかしある時経営難に陥り、会社をしめることになりました。
その時に共同経営者は、わずかばかりでも退職金を受け取ってほしいと言いましたが、その経営者はそれを拒否しました。
自分も無収入になるのに、実はその会社の借金を背負っているのに、心の中では喉から手が出るほど欲しかった退職金を、素直に「欲しい」と言えなかったそうなのです。
共同経営者はあげると言ってるのにかたくなに拒否した背景には、いい格好をしたかったという事があるようです。

しかしその後、奥様は離婚して別居し、子どもも結婚して自分の生活を始めました。
経営者は、一人年老いてきて、子どもたちからは施設に入るよう促されました。しかし、その経営者にとっては自分が老人の仲間入りするのが嫌でそれを拒否。子どもたちに暴言を吐いて独り暮らしを貫いたそうです。「自分は誰にも迷惑かけずに死ぬ」と言っていたそうですが、一人暮らしのアパートで孤独死というのも子供にしてみれば気になるところです。
必死の説得の末、施設に入りますが、自分はほかの高齢者とは違うと、施設や病院とトラブルを繰り返し、寂しいのにだれ一人会いに来てくれない。
そんな中で人生を終えたそうです

この方は、自分のメンツを保とうとしながら、逆に自分の評価を下げて行っているという状況に向き合わなかったことが問題だったのではないでしょうか。
こういったことを年老いてから修正するのは難しいことです。早い時期に見直したいものです。

 

後継者が会社の組織の問題に巻き込まれるとき、それは後継者の内面に問題を持っていることが多いと思います。
問題を起こす人間だけにあるのではなく、リーダーの内面に問題があるのです。組織はそれを映す鏡です。
じゃあその内面をどう整えていくのか、というと起こったことと自分の内面のどういう部分が呼応しているのかを知ることが大事かと思います。
そのうえで、その痛みを乗り越えるというステップを踏む必要があるので、非常にしんどいのですが、やっただけの価値があると思います。

だからもし、何か似たような問題が立て続けに起こることがあるなら、その人ではなく自分の内面に直面すべき問題がないかを問いかけてみるのが良いのではないでしょうか。

 

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