後継者

後継者は起こっている現象にとらわれ過ぎると物事を余計にややこしくしてしまう

親子での経営の中で、たとえば、親子の確執があるとします。
すると、そう言った確執を経験するのはしんどいので、その確執をどうすれば取り除けるかを考えます。
その結果、普通に思いつくのはお互いひざを突き合わせての話し合いです。

しかしそれはたいていうまく行きません。
先代である親だったり、後継者である自分だったり、どっちがどっちというわけではないけど、双方がまともに話し合いのテーブルにつかなかったりします。
仮に、双方が素直にテーブルについたとしてもその話はうまく行かないほうが多い。
なぜなら、相手を説得しようとするからです。

表面的に「分かり合うため」に話し合うと言っていますが、相手をわかるつもりはなく、相手に自分をわからせるためにやる話し合いだから、上手くいかないのです。

関心を持っていただいた方は、画像をクリック。

 

ここでの大きなミスは、「親子の確執を直接的になんとかしよう」としている点です。
親子の確執というのは起こっている表面的な現象にすぎません。その現象の内側にはもっと複雑なものがあるはずです。
一般的には、親や会社を自分の思いどおりにしようとする後継者と、後継者を自分のコントロール下において会社の変化を起こさないようにする先代である親とのせめぎあいという事ではないかと思います。

つまり、お互いの思いが完全に対抗しています。
対向車同士の正面衝突ですから、衝撃は二倍。
こっちが正しいから、道を譲れってことをお互いがやりがちなわけです。

じゃあこの確執問題から抜けようと思ったときにできる事って何があるでしょうか。
一旦、確執という問題から視点をずらしてみます。

そもそも確執の背景にあるのは、
会社を良くしたいのにそのための活動が制限されている、と感じている後継者と、
会社を任そうと思うけど、後継者にはまだ任せられない(あるいはまだ引退したくない)と感じている先代である親との感情のぶつかりです。

もっとシンプルに言うと、
会社を手中に収めたい後継者と、
会社を手放せない先代
という構図があります。

ぶつかっているのは、「会社の帰属」です。
これを「どっちでもいい」と思えたら、自然と親子の確執は解消されるのではないでしょうか。
まあ、後継者としては、「早く会社を渡してくれなきゃ困る」とか、「先代が元気なうちにもろもろを引き継ぎたい」とか、そう言う思いは強くあると思います。
もっというなら、スムーズに継承するならそれって当然でしょ?と思われてると思います。
けど、もし多数派が常識だとすると、常識はむしろ「親はなかなか会社を譲れない」という方にあります。
ほとんどの親はスムーズに会社を譲ることはできないのです。

であるならば、それに応じた対応をすればいいのです。
親は早く譲りたいと言いながら譲ろうとしないという、言行が一致しない状態があろうかと思います。
ならばそれも含めて、受け入れればいいのです。
たったそれだけのことができると、親の確執は解消します。

そして不思議なことに、親に優しくなると、親も態度を緩めてくれます。
そこからが本番で、ぜひ、程よく素直に程よく頑張り、ぜひ親からの信頼を得てください。
親と反目するとか、親をライバル視するのではなく、親をちゃんと師として敬えば、いろんなことがうまく行くはずです。

そして親への固執を捨てたとき、本当の関係が始まるような気がします。

 本が出版されました!
関心を持っていただいた方は、画像をクリック。

関連記事

  1. 後継者が学ぶべき事業のルーツとは?

  2. 後継者は事業承継で親である先代と競ってはいけない!?

  3. 家業の後継者の痛みはどこからやってくるのか

  4. 私たちは常に言い訳を探している ~後継者が使いたい魔法の問い~

  5. 人の成長には痛みが伴う?

  6. 後継者が組織をまとめるシンプルな方法

  7. テレビ番組のエンディングと後継者のマネジメントの意外な関係とは?

  8. サッカー日本代表の賛否両論から後継者が学ぶべきこと