後継者

後継者が自身の考えを発表する場をつくるための「朝礼」のやり方

まだまだ先代が会社の実権を握っているなかで、後継者が意見を表明する場というのは限定的かと思います。
けど、つどつど機会を作って話すというのは、なかなかストレスが大きいのではないでしょうか。
そこで提案したいのが、とりあえず「場所」を作っておき、定例化するという事です。

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組織は「生もの」という考え方

朝礼なんていらない!?時代錯誤に見える時間?

比較的若い世代の人たちにとって、会社での朝礼ってどんなイメージがあるでしょうか?
理念の唱和をしたり、連絡事項の確認をしたりして、「時間を無駄に浪費している」「面倒くさい」という印象をお持ちの方も多いと思います。
私もその一人で、以前は朝礼は否定派でした。

しかし、最近とても強く感じることがあります。
組織というのは、生身の人間で構成される生ものです。それはつまり、ルールや規則、情報や知識だけで動くものではない、という事実を今になって強く感じています。
たとえば組織の中で積極的な行動が見れない、意見が出ない、ということは場の空気が温まっていない証ではないかと思うのです。
逆に場が温まれば、意見も出るし、前向きな行動も出る傾向がみられます。

また、これは心理学的にも研究されている部分になりますが、息を合わせることで人は一体感を増すと言います。
例えば歌を歌う、挨拶の練習をする、体操をする、といった行為はその行動から得られる組織におけるメリットがあるわけです。

昭和の古臭い習慣も、案外、最新の心理学理論に合致していたから続けられてきたのかもしれません。
古くからおこなわれている朝礼習慣の多くは、学術的に見ても社内一体感のための仕掛けになっていたという事です。

冷たい組織=心理的安全性の低い組織

冷たい組織というのは、何か意見を言っても反論されたり、制止されたり、受け入れられなかったり、仲間外れにされるような、不安を感じる場と言えると思います。
冗談のつもりが冗談にならない…まさにシャレにならない雰囲気というのはあるものです。
もちろん会社という組織は遊びではないので、そう言った規律も大事かもしれません。しかし、規律ばかりが先行して建設的な意見が出ない組織というのも硬直が激しそうです。

何を言ってもOKな組織をつくるにあたって必要なのが、最近言われる組織の「心理的安全性」です。
これを担保するための一つのルートとして、「何か突拍子のないことを言って、それが受け入れられた」という経験をするという物があります。
実際に、いつもとはズレたことを言ったりやったりしても、叱られず受け入れられる環境づくりというところが大事だと私は考えています。
そしてそこに、どんな意見や行動でも物おじせずやり始めるメンバーの存在が必要です。

仕事上でそう言ったことは難しいかもしれません。
本来の心理的安全性は、仕事の現場でこそ必要ですが、それになれない組織はいきなり職場で「何を言っても大丈夫」という訳にはいかないでしょう。
となると、どこかでそういった「場」をつくることが必要になってきます。飲み会でもいいのですが、そうすると頻度が少ない。みんなでお昼を食べながらというのもいいですが、そこそこ大ごとです。
そこで、朝いちばん、身一つで集まる場でそういった軽いやり取りができるようになれば、非常に良い雰囲気づくりができるのではないでしょうか。

銜えて言うなら、かつて朝礼が無意味に感じたのは、朝礼の目的が明確ではなかったからではないでしょうか。
後継者である私たちがやるべきは、戦略的な意図を持った朝礼です。
そこを勘違いしないようにしたいところです。

朝礼にどんな意図を持たせるか?

単なる事実確認の場にしてはいけない

朝礼と言えば、理念の唱和、あいさつ、事務連絡、行動結果と予定…そんな感じで事実確認が進んでいく印象でしょうか。これらの多くは、別に対面でなくとも確認できることばかり。特に、営業の数字の詰めばかりやったり、製造系の遅れのカウントばかりやったり、そういう社員に圧をかけるためにやっている朝礼も多いような気がします。そうすれば、社員さんからしてみれば、苦痛な時間です。
そういった数字や期日はもちろん大事なのですが、そう言った目標に近づくために、組織の温度を高めることが必要だとすれば、朝礼はそういった音頭を上げることに特化するという割り切りも大事だと思います。

あまりお勧めできないのは、顔を合わせなくてもいい話をわざわざ人を集めてする、という事です。
なにかのついでにそういう話をするならまだしも、ただの事実確認・情報共有のために行う朝礼はどちらかというと効果は低いと思います。
情報よりも思いや感情を共有する場であるべきだと思います。

また、後継者・跡継ぎの方にとっては、先代の影に隠れて自分の考えを表明する機会というのは少ないものです。それを会議として召集してやるのもいいのですが、思いわりには人の頭には残りません。むしろ朝礼のような毎日やることの中に、後継者の言葉を短く発する習慣をつけることで、効果的に伝えたいことを伝えられることになるのではないかと思います。

さて、私たちは何を目的とした朝礼をするのでしょうか。まずはそこを決める必要があろうかと思います。私が思いつくものはだいたいこんな感じです。

①理念の従業員への浸透
②社内の一体感の醸成
③後継者・跡継ぎの考え方の発表
④心理的安全性を高める
⑤情報の共有(ついでに)

目的別朝礼パーツ

さて、まずは朝一番に10分なり15分なり、長い場合は30分なり、全員が集まる場(物理的な意味でも心理的な意味でも)を設定するというのは、習慣化への約束です。
毎朝9時から15分間は朝礼である、という枠だけはとにかく初めに決めてこれを守る。
わりと、「毎週〇曜日だけ朝礼する」という話も伺いますが、これだとむしろフェイドアウトしやすいと思います。祭日などが混じることで、だんだんとわからなくなってきます。
また、アラーム也チャイムなりを慣らすようにして、その時間になれば所定の場所で集う、という習慣を持つのがおすすめです。

そして、朝礼のパーツをいくつか持っておきます。
たとえば…

①理念の従業員への浸透を目的とするなら…
1.理念の唱和
2.当番による「理念に応じた行動の事例の発表」
3.拍手による承認

②社内の一体感の醸成
プランA 理念の唱和や体操など
プランB Good&New
プランC 円陣のような掛け声的なもの

③後継者・跡継ぎの考え方の発表
プランA 普通に後継者の思いを語る
プランB 10X目標を掲げ鼓舞する

④心理的安全性を高める
Good&New

これらを例えば、パーツの一つは毎朝やり、二つ目は毎週水曜日にやり、三つ目は毎週月曜日…などと言った感じで組み合わせて一週間のスケジュールを組んでいくといいのではないかと思います。
次に、朝礼パーツの説明を少しさせていただきます。

目的別朝礼パーツの説明

理念の浸透を目的とする朝礼パーツ

経営理念、ミッション、行動指針などを社内に浸透させたい、という場合はまずそれを読むというのは必要かと思います。ただ、読むだけですと、いずれ意味のない暗号のように無意識に読み飛ばしがちです。そこで、一旦意識して読まざるを得ないような仕掛けが必要となります。しかも、その理念などに則った行動を後継者・跡継ぎとしては期待したいわけですから、一工夫したいところですね。
それはシンプルに、理念やミッションの一つの条文を毎日取り出して、当番の人が「自分はこの理念の一条について、このように心掛けている。あるいはこのようにやってみたら、こんな結果になった」といった理念と自身の言動を一致させる発表をお願いするといいのではないでしょうか。

これが、はじめのうちは非常に重いようです。ただ、何を言っても間違いではない、という前提ですすめていくと、徐々に口も軽くなってくるかと思います。

そして誰かが発表すれば、拍手で承認する。

1~2分程度のパーツとなります。

社内の一体化を醸成する朝礼パーツ

これは一つには、「みんなでそろって何かをする」というのがキーワードです。体操、エイエイオー!、社歌斉唱、なんでもOKです。ただの深呼吸でも、みんなで合わせてやればいいと思います。
恐らく、一番自然なのは今月の標語みたいなものを作り、読み上げオー!と手を掲げるとか、他人の発表に対して「イエーイ!」なんて言って盛り上げるとかそんな感じがいいかもしれません。

もう一つ上げた、Good&Newというのは、今や随分有名になっているのでご存知の方も多いと思います。
一人一人が、過去24時間に経験した「良かった経験」あるいは「新しい経験」を短く発表し、拍手で承認するというワークです。人数の縛りもあると思いますが、全員が発表できるようにしたいものです。このことで、一つは本人が「良かったこと」を思い出す、つまり物事の良い側面を見る癖をつけるという効果があります。また、話すことはプライベートの内容も多くなってきますので、適度な自己開示をたがいにすることになります。そのことが、人間関係を温めることになります。

そういう意味では、心理的安全性を高めるツールとしても効果を発揮してくれます。

跡継ぎ・後継者の考えの発表

必要に応じて、後継者の考えを伝える時間をとるのもいいのですが、朝礼の中で毎朝少しずつ社員の頭に自分の考えを刷り込んでいく、というのがお互い負担感もなくていいのではないかと思います。なんにせよ、毎日自分が言葉を発する場所を朝礼の中に組み込んでおくことで、わざわざ機会をつくる面倒がなくなります。

また、10X目標というのは、会社が目指す目標を10倍にしたもの。数値的な意味合いも大事ですが、それ以上に「どこに向かうか」を極端な形で表現するものになります。そういったちょっと非現実的な目標を掲げて、そこへの進捗を見ながら案外本気に取り組む姿を見せると興味深い反応があるかもしれません。ちょっとお遊びっぽくやり始めて、だんだん盛り上がってくるといった感じが理想的かもしれません。具体的には、何かしらの会社の表や定められた目標を10倍します。そして、そこへのカウントダウンを毎朝する。大事なのは、誰かを責めるつもりでやるというより、楽しんで取り組むぐらい肩の力を抜いてやるのがいいかもしれません。

あくまでたたき台

ここではたたき台としての朝礼パーツを提示させていただきました。どれも私が試したことのあるものです。現在は緊急事態宣言によるテレワークなどでやりにくい部分もあるかもしれませんが、出来る部分をできる範囲でやってみるというところから始めてはいかがでしょうか。こういった、「場」をつくることがリーダーの一つの仕事ではないか、と私は考えています。ぜひともこういった、会社の組織音頭を高める場をつくることにチャレンジしてみてください。

 

 

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