跡継ぎ・後継者・二代目社長は、親の会社に入社して数年~10年くらいの間に、社内で孤立することが多いと思われます。
なぜかというと、はじめのうちは会社の形に自分を合わせる作業を行うわけですが、それがだんだんと会社を自分の形に合わせようという想いが強くなってくるからです。そうすると、居心地のよかった従来の形を維持したい古株に取ってみては、跡継ぎ・後継者・二代目社長はちょっと困った存在です。そしてお互いが自分の陣地を守るべく、相手を排斥しようとし、泥沼の争いに入っていきがちです。
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反抗的な態度をとる先代・古参社員
先代・古参社員の反抗のきっかけ
何か事が起きるにはその始まりがあるものです。そして、親子経営における人間関係のもつれというのは、従来、良いか悪いかは別として、一定のパワーバランスを保っていた親の会社という環境の中に、跡継ぎ・後継者・二代目社長というあたらしいパワーを持った存在が加わることに起因します。その証拠に、跡継ぎ・後継者・二代目社長がまだまだ実務能力が低い時点ではそういったことはおこらず、跡継ぎ・後継者・二代目社長が実務能力や知識が付き始めたころ、こういった人間関係の問題が持ち上がります。
もう少し具体的に見ていくと、跡継ぎ・後継者・二代目社長が自分個人の仕事の仕方について試行錯誤する分にはいいのですが、その影響を自分の外、つまり組織のほかの人間に与えようとしたとき、先代や古参社員から強い反発を受けることがあります。跡継ぎ・後継者・二代目社長にしてみれば、彼らを排除する意図はないと思うのですが、彼らにしてみれば、跡継ぎ・後継者・二代目社長は脅威です。何しろ自分たちの屋台骨を揺るがしかねない存在ですから。
すると、先代社長や古参社員は、跡継ぎ・後継者・二代目社長を抑えにかかります。「うちの会社にはうちの会社のやり方があるのだから」となだめるものの、おそらく跡継ぎ・後継者・二代目社長であるあなたはそんな説得には応じられない、ということになるのではないかと思います。
事業承継を標榜しつつも……
ここで問題になるのは、先代社長や古参社員はいずれ引退し、会社を引き渡す存在であるはずなのに、その気配を見せないことにあります。跡継ぎ・後継者・二代目社長は、しばらく待つことも可能なのかもしれませんが、いくら待っても先代社長は実験を譲る気はなさそうに見えます。ずるずると先延ばしされては、跡継ぎ・後継者・二代目社長としては事業承継対策が打てません。跡継ぎ・後継者・二代目社長にとっての事業承継というのは、自分の代になっても安定的に会社が動く状態を作ることです。だから自分に合わせた組織にしたいのに、それを引退する立場である先代社長や古参社員がかたくなに過去の形を守ろうとする。
こうなると、オーバーな表現ではなく、命の取り合いに近い感覚になってきてしまいます。
本来、純粋に、「スムーズな事業承継」を目的とした代替わりなら選ばれるはずの選択が、全く選ばれていないじゃないか。その事実に跡継ぎ・後継者・二代目社長は憤慨し、会社を辞めたくなったり、先代社長や古参社員を会社から追い出そうとしたりするのです。
ここまでいくと、もはや伴走という感覚は全くなく、正面衝突という状態になってしまっているのです。
人は自分を映す鏡である
自分のとった態度を再現している!?
このような親子の確執、古参社員との確執がおこってしまうと、もはや私たち跡継ぎ・後継者・二代目社長はこれを「正しいか、誤りか」という感覚で判断しがちです。跡継ぎ・後継者・二代目社長の論理はこうです。「会社の未来を担うのは自分であり、過去を作ってきた先代社長や古参社員への貢献は讃えるものの、彼らが後ろでサポートしている間に、跡継ぎ・後継者・二代目社長である自分は未来に即した会社の態勢を作っていくことが正義である」これは確かに論理的には正しく見えますし、私たち跡継ぎ・後継者・二代目社長はそのことをおそらく疑いません。
しかし一方で、先代社長や古参社員には彼らの正義があります。きっとこんな感じではないでしょうか。「私財とすべての時間をつぎ込み、血と汗と涙の上に成り立っているのが今の会社だ。これを自分のやり方でやり、そのやり方を次世代に踏襲させることこそが自分の役割。私のやり方を徹底的に後継者に引き継ぐためには、道から外れないような指導が必要である」。
さてこの問題を正しいか正しくないかを正確に判断できる人はいません。世間様も、経営の専門家も、みな「自分の考える正義」はあったとしても実はどちらを取っても正解であり、どちらを取っても間違いである、というのが現実ではないかと思います。
どちらも正しくもなく間違ってもいないという状況において、私たちは先代社長や古参社員に、私のやり方を強いる。これは相手に物事の受容を強要している状態といえそうです。
ところで、人は鏡といいます。相手の言動は、実は自分の言動を相手が再現している、と考えられています。心理学の世界ではこれをシャドウというのですが、先代や古参社員が何をしてるかというと、私たちに彼らのやり方の受容を強要している状態ではないでしょうか。
どちらが先かはともかくとして、お互いが同じ行動を相手にぶつけている状態です。このことに気づいた時に、それを正すことがこの確執の抜け穴になります。
確執の抜け穴から出る方法
では具体的にどうするかというと、確執による硬直状態になっているとき、先代と私たちは正面衝突を行うかのように真っ向から意見を対立させています。そうして相手を変えよう、変えようとしている状態です。実はこうした強制力を相手に加えると、相手はすかさずそれに反抗しようとします。立っている人をドン!とおすと、とっさにその人は反対側に力を入れるのと同じで、精神的な圧を感じたとき、人はその圧に対抗しようととっさに動きます。私たち跡継ぎ・後継者・二代目社長が、親子の確執を乗り越えようとするなら、そのとっさの反射的行動を先代経営者に起こさせないようにする必要があります。それは言葉にすると簡単で、相手の意見に対抗しないということです。
それはすべて我慢して受け入れろ、ということではなく、相手の味方になるというスタンスで言動をとらえてみてほしいのです。先代経営者や古参社員がいうことはまずは尊重して受け入れてみます。確かにおっしゃることはよくわかります。だから私はこういう風にそのことを受け止め、社内で実践していこうと思います。ここまで言えたら、相手は自分が受け入れられたと感じると思います。少し態度が緩むはずです。そこで第一段階として、彼らの想いを自分なりにうまく実現していくにはどうすればいいかを提案します。そういった信頼関係を積み重ねる中で、自分の持ち味を少しずつ出していくと、案外すんなり受け入れられることもあると思うのです。
基本的に会社が発展してほしいという目的は双方同じはずなので、その方法論の一部はまずは先方の考えを受け入れてみるところからスタートすればいいと思うのです。
そんな我慢してられない?
そうはいっても、跡継ぎ・後継者・二代目社長の中には、「そんな風にぐずぐずしてられない」という焦りにも似た焦燥感をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。確かに現実の会社の状態が予断を許さない状況ということもあろうかと思いますので、十把一絡げに話ができることではありません。ただ、ほんの少しの我慢からスタートしたときに、それは徐々に我慢ではなくなる状況を感じるのではないかと思います。本当の意味で相手や相手の意見を受容できる状態になるという意味です。そうなると人の器が少し大きくなって、今後の経営に良い影響を及ぼす可能性が高いと思います。
直接的な努力も大事だとは思うのですが、広く受け入れる自分を作るということも結構大事だと思います。そもそも家業のある家庭に生まれ、それを継いだというのはそういう自分を鍛える道を無意識に選択したこと、といえるのではないか、なんて最近は思うこともあります。もし、そんなことに関心があれば、ぜひ受け入れにくい状況を、受け入れるということを試してみてはいかがでしょうか。
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