親の会社に入社した後継者の5年~10年後というと、先代の意向や組織の状況によってかなり印象が違ったりします。
ほぼ親族のみで社員の入れ替わりがほとんどない会社であれば、いつまでたっても後継者は新米扱いです。
一方で、親族以外の社員さんが数名でもいたとしたら、後継者はその社員さんの上に立つリーダー(課長や部長)という事になっていることが多いと思われます。
今回は後者をイメージして、入社5年~10年程度の時の後継者がやっておきたいことをお伝えしたいと思います。
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Contents
ベテランに差し掛かった後継者が気をつけたいふるまい
横柄・上から目線にうつる後継者
入社5年~10年くらいになると、大方仕事も覚えて仕事の進め方もわかって一定程度のことであれば人のサポートを受けることなく出来ると思います。
後継者の場合、仕事をこなすことが目的ではなく、将来社長を務めることが目的なので仕事の覚えも早いですし、比較的視野を広く保ち、周囲の状況もよく見えると思います。そうすると、自分が「けっこうイケてる」と思う分、周囲のペースに少しイラついたりすることもあるかもしれません。
具体的には、自分はこんなに頑張っているのに、社員はなぜその程度であきらめるのか?
自分は経験が十分ではないけど、ここまで勉強しているのに、なぜ社員は学ぼうとしないのか?
目の前の仕事だけでなく将来の段取りも含めて仕事をするのが普通だと思うのに、なぜ社員はそれができないのか?
等という風に、社員の意識の低さや仕事の質に対して非常に神経質に反応しがちになります。
後継者の方はそういったことを直接的には本人にぶつけない人が多いので、一生懸命爆発させないようガマンするのですが、そういった内面はどうしても無意識に外に出てしまいます。
例えば、言葉や態度が横柄になったり、相手を見下すような姿勢になったり、こんなこともできないのか、と軽蔑のまなざしを送ったり。
これは無意識の行動なので自分では気づきにくいのですが、意外と多くの方がやらかしがちな行動です。
自分では社員と同じ目線で、一緒に頑張ってるつもりでも、社員から見るといつも上から目線で嫌な上司という印象がぬぐえないということはけっこうあるものです。
こういった動作を確認する方法の一つとしては、自分の配偶者や子供とケンカなどをすることがあったとしたら、かれらから「上から目線」とか「自分本位」とかいわれるようであれば気をつけた方がよいでしょう。
後継者の方は比較的繊細な方が多いので、自分なりには気をつけているつもりなのですが、気をつけるポイントがずれているケースがしばしばあります。
たいていはちょっとした言い回しが、横柄な印象を与えていることが多いので気をつけてください。
上から目線はマウンティングの証
この時期になぜそのような従業員との関係に気をつけるべきかというと、上司となった後継者が部下である社員から「上から目線」とみられるということはリーダーシップが機能していないということになります。それはなぜかというと、一概には言えませんが、社員にマウンティングをしている可能性があると思われます。もう少し詳しく言うと、「自分はリーダーだ」ということを確認したいがために、必要以上に社員に横柄な態度や言動を取ったり、言葉尻に「自分は上に立つ人間である」ということを過剰にアピールしていることがあるのです。繰り返しになりますが、無意識にやっているので自分ではなかなか気づきません。
これは逆に言うと、自分の中に、リーダーとしてまだまだだという自己評価があるから、あえてそういうアピールをしなければ自分の立場が主張できないと考えてしまうからです。たとえば、本当のお金持ちは実はあまり目立たない服を着て、地味な国産車に乗っているというのはけっこうある話です。逆にお金持ちをアピールしたい人が派手な車や、派手に遊びたがるという傾向があるようなのですがこれに似ています。リーダーとしての自信を持っていれば誰にもマウントしなくてもいいのですが、まだ自分を信じ切れていないから周囲にマウントして、周囲に認められるということをとても意識するから、気が付けば自分は高い地位にいて君たちは低いというふるまいをしてしまうのです。
根本的な解決策は自らが自らを信じるか、自分は不完全であることを認めるかのいずれかです。どちらかと言えば近年の風潮で言えば、後者の方がチームビルディング上は有利になります。
この時期の後継者が経験しがちなこと
社員の一斉退職やクーデターも
じつはこのタイミングに、自分の横柄さや、マウンティングに気付かないでいると結果として怒るのは社員の一斉退職やクーデターです。もちろんそういったことを経験しない後継者のほうが圧倒的に多いのですが、社内で孤独を感じると言った状況にも陥る事でしょう。将来のことを考えるときが重くなって、会社を辞めたい、という思いが強く出てくる時期でもあるかもしれません。しかし、そういった時期を多くの後継者は経験します。大事なのは、そういった「問題」を目の当たりにして、そこから逃げずに、自分ができることを体当たりで解決にあたっていく、ということが大事だと思います。
周囲の状況はそう簡単に変わらないので、この時に後継者は多くの場合自分が変わらなければならないことを自覚します。たとえば、社内のすべてのことにコントロール欲求を持ち始める時期だと思いますが、そのコントロールを手放すと言ったことも学んでいくことになるでしょう。自分の思い通りいかなくとも、社員が考え、一生懸命やった結果が、一見失敗に見えたとしてもそれは自分がリーダーとして受け止めるべきだろう、なんてことを考え始めたとき、本当のリーダーへの一歩が始まると思います。
人間形成の時期
私の知る限り、それなりにきちんと組織を作れるリーダーというのは相応の人間力が必要だと思います。今まではどちらかと言えば、自分の個人技量を磨くことに専念してきたと思うのですが、5~10年のあたりで「自分という人間の器を大きくする」というキッカケを経験することになると思います。その前提として八方塞がりな時期を経験し、一番つらい時期でもあると思うのですが、そこで逃げずに自分の弱い部分をしっかり見つめることでブレイクスルーを経験するかもしれません。そういう意味では後継者がリーダーとしての内面を確立するとても大事な時期だと思います。大変ではありますが、前向きに歩んでいきましょう。
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