多くの同族経営の後継者が口々に不安を訴えます。
ちゃんと経営なんてできるだろうか?
上手く引き継ぎをできるだろうか?
自分の将来はどうなるんだろうか?
その不安はつかみどころのないまま大きくなる。
しかし、不安の正体を明かすことはなかなかできません。
それは私たちが、その正体のないところばかり見ているからです。
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誰しも、結果が見えないことには、不安が募ります。
多くの人が体験したであろう、「受験」をたとえに考えてみましょう。
大学受験であれば、まずは〇〇大学に行きたい、と目標を設定するでしょう。
そして、そこに沿った勉強をする。
模試の結果などを見ながら、自分の学力と合格ラインのギャップを測る。
準備はやり切った。
そう思い、試験会場に赴く。
それでも、受験というのは緊張するものです。
そんな中、それなりに自信を持てる答案内容だったとしても、合格発表するまではドキドキでしょう。
そうやって、結果としての合格という取り急ぎのゴールに達するわけです。
では、後継者の仕事をここに当てはめてみましょう。
まずは、目標です。
そもそもこの時点で問題発生です。
何ができれば「後継者として合格点」なのかは、誰も示してくれていません。
つまり、どこを目指せばいいかわからない。
さらに言うなら、自分の能力を統計的に測る方法もないわけです。
あるとすれば、社内外からの評価に耳を傾けるだけ。
そしてそれは、往々にして正しいものとはいいがたい。
そもそも経営に合格という概念はない。
どこまでやればいいかもハッキリしないし、何が求められているかもよくわからない。
仮に分かったとしても、それが正しいものかも怪しいものだったりする。
つまり、後継者というのは、何のガイドもなく、何の基準もなく、ただ「経営者としてあるべき姿」を体現せよ、と言われている(気がする)わけです。
すると、私たち後継者は、何かしらの「モノサシ」を持つことなく重大な役割を受け継ぐことになるのです。
そりゃあ不安にもなります。
合格点がわからないから、ただがむしゃらに上へ、上へと目指すようなものです。
たとえ99点だったとしても、その不安はなくならないでしょう。
後継者はどこまで行っても合格点のでない、ゴールのない旅と言えるのかもしれません。
つまり、勝つことのないゲームの席についているようなものです。
自分がどんな立ち位置にいるのか、自分がどんなスキルを磨けばいいのか、自分がどの方向に向かって努力すればいいのか。
そういった基本的なことが明確でないのが、後継者の不安の大きな部分を占めているのではないでしょうか。
そして自分の進む道程が見えない後継者にとって唯一の光は親である先代です。
自分の基準をそこに置かざるを得ないわけです。
その結果・・・
悲しいほどの劣等感にさいなまれることになるわけです。
じゃあどうするかと言えば、誰かが決めてくれないなら自分で決めるしかありません。
これができるようになったら、第一段階終了。
これができるようになったら、第二段階終了。
自分なりの自分の成長計画です。
合格ラインを自分で決めて、自分で評価する。
けっこう難しい事なんですが、これもまた経営者としての訓練になるのではないでしょうか。
経営者に合格点をくれる人もまたいないのですから。
結論めいた話をさせていただくなら、自分の在り方、経営の在り方の基準を外に求めていれば永遠に不安は消えません。
それを自分の内に求めていくのが、重要なのではないかと私は思っています。
後継者に必要なのは、わりきりです。
世の中の基準に照らそうとすると、あまりいいことはありません。
経営戦略の要が「他社との違いを作る」ことにあるとしたら、一般的な経営者に倣うのは少しリスキーです。
しかも、世の中の大半の経営者は、上手い経営をやっていません。
だから自分基準を作って、そこにまい進すればいいだけのことです。
けどそれも不安に感じることでしょう。
だからこそ、わりきりが必要なわけです。
ただ、残念なお知らせがあります。
そうやっても、結局不安はなくなりません。
未来の成功を確約されるわけではないからです。
それでも、他人を意識しながら不安に震えるよりも、自分の信じたものに従った結果の不安のほうがよほど健全なのではないでしょうか。
不安は人を成長させる原動力でもあります。
その時には、自分の想いを優先させた結果の不安であってほしいと感じるのは私だけではないのだと思います。
自分軸を明確にするに際して、経営であったり、自分の在り方について他者と語ることで自分の考えが明確になる事があります。
以下のセミナーや読書会を上手にご活用いただければ幸いです。
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