二代目社長が会社や親を、ある程度自分の考えた通り動かしたいと思う、という話をよく伺います。
もちろん、人を操り人形にする秘宝は度は私は知りませんが、ある程度足並みをそろえる方法はあります。
それは、会社という組織のなかでの「場」を作ることで可能になります。
その方法について、お話ししたいと思います。
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変な動作が当たり前になる
最近私はある経営者の会に参加させていただいています。
その会は歴史もある社会教育団体なのですが、はじめに参加した時は衝撃でした。
朝早くに集まり、みんな元気に声を出しています。
そして会の歌を歌ったり、やたらとピシッとした姿勢でその会の根っこにある考え方がまとめられた本を輪読する。
ちょっと驚きの風景です。
それでも1か月、2カ月と、その会合に毎週参加するたびに、なんとなく馴染んでいく自分に気が付きます。
はじめはあんなに「変」と思っていたふるまいを、自分でも普通にやるようになります。
良くも悪くも、私たちはコミュニティに染まるのです。
毎日顔を合わせる会社ならば…
先ほどの話は、週に一度の会合しかありません。
しかし、一般的な会社であればほぼ毎日、社員が集うわけです。
コロナの影響でテレワークが増えたと言っても、何らかの形で社員同士のコミュニケーションはあるでしょう。
となると、会社という「場」で共有する価値観に、染まらないという方がむしろおかしいとさえ思えます。
ここで大事なのは、人を動かすに際して「行動レベルのことを正そうとする」ということが実は上手くいかない原因ではないかと思うのです。
会社や先代を思うように動かしたいと考える二代目社長は、主に行動レベルでの変化を求めます。
具体的に言えば、マニュアル化を進めてそれを逸脱しないようにさせるとか、全ての行動を数値化し評価の対象にしようとか、罰則を強化し恐怖支配をしようとするとか。
そういったマネジメントは、社内のみならず自分さえも息苦しくさせてしまうことの方が多いものです。
ここで、行動ではなく価値観を正す、ということに着目してはいかがでしょうか。
人の行動はその人の思考から始まる
ディズニーのスタッフはごみを放置しない?
なんとなくのイメージですが、ディズニーランドのスタッフはたとえ掃除係出なかったとしても、道に落ちてるゴミを放置するようには思えません。
じゃあウチの会社はどうかと言えば、会社によって随分違うと思います。
ゴミだけでなく、社員同士の助け合いがあるかどうかとか、いろんな部分で「当たり前にできる会社」と「言ってもできない会社」があると思います。
たまたまある仕事でご一緒させていただいた不動産屋さんの社員は、「社内は全員敵ですよ」と言ったりしていたのが印象的ですが、社内の雰囲気をどう作るか?というのが大事なように思います。
つまり、会社というコミュニティの「常識」をどう作っていくかがとても大事で、社内にある常識さえできてしまえば、人はそれにあらがうのは難しくなります。
一人一人を操り人形のように動かすよりも、「場」を上手くコントロールすると、人は一定方向に動くと考えられそうです。
これを経営の根幹部分に据えたのが、経営理念であるとか、ミッションと言える部分ではないでしょうか。
意味を伝え習慣化する
コミュニティの常識をどう作るかですが、いくつかの方法はあると思います。
最もシンプルなのは、まずは納得でしやすい形で、意味を伝えます。
たとえば、会社として衛生状態を保つ意味を、エピソードを交えて伝えることは必要だと思います。
ただし、それで腹落ちすることはまずないと思うので、それを習慣化します。
それは毎日「やれ」と強制するというより、やることが日常になるように、例えば朝礼などに組み込んでいきます。
特にリーダーは、それを楽しむ、あるいはそのことをもとに充実感を得ることが大事です。
白々しい演技ではなく、本心からそこに没頭することが必要です。
ここが難しいことだと思うのですが、手放しで「やれ!」と言っても人は動きません。
何かをするなら、そこに喜びがあるということを身をもって示す必要があります。
すると、一人、二人と賛同者が現れます。
不思議なんですが、大抵彼らは仕事上はまだまだあまり頼りにならない人たちであることが多いと思います。
ただ後々、彼らがとても強力な推進力を発揮することが多いので、大事にしたいシンパです。
こういった輪を少しずつ広げていくことで、社内に独特の「常識」ができてきます。
これはいわば社風というべきものでしょうか。
そうすれば、社内にいる以上その常識にあらがうことの方が難しくなります。
なんだか回り道のようですが、こうすることで会社は二代目社長の思う以上の動きをし始めるのではないかと思います。
皆さんは、社内で共有したい価値観はありますか?
まずはそこを掘り下げることから始めたいところですね。
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