実は、親の会社を継ぐ後継者には、その時間的経過とともに似たようなフェーズを辿ることが多いと感じています。
たとえば、入社して間もなくは、社内の仕事の進め方や人間関係についてを学ぶことで必死です。
そこから少しゆとりが出てくると、社内のいろんな問題点が目に飛び込んでくるようになります。
さらに経験が進むと、今までとは違うことをやりたくなってきたりします。
この辺りから親子の確執が深まることになり、この山を越えられるかどうかがその後の事業承継の一つの関門なのかもしれません。
そんな、多くの人に共通する流れについて、少し考えてみましょう。
私の著書です。
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Contents
第一の関門
実務をおぼえた先にあるもの
後継者・二代目社長が親子の経営継承において一番初めに陥りがちな落とし穴は、後継者・二代目社長の視点の変化によってもたらされます。
経緯はいろいろですが、悩みながらも親の会社を継ごう、と決めたのち、後継者・二代目社長はまずは実務をおぼえようと必死になります。
親の会社の商売のやり方、その中での人間関係、業界での立ち位置、業界の慣習などなど。
会社の「ナウ」を学んでいきます。
しかし、そんな後継者・二代目社長はある時、違和感を感じ始めます。
そのきっかけは例えば、親の会社のビジネスその物が好きになれなかったり、自分には合っていないと感じたり、社内に溶け込めない独特の雰囲気があるとか。
人によってその原因は様々なのですが、今のまま頑張っていても先がないような不安にとらわれがちです。
そこで考えます。
自分がこの立場でやるべきことは何だろう。
それは、組織をまとめ上げる事であり、今までの親に最適化されたこの会社を、自分が操れる会社にするべきではないかということだという気づきを得ます。
リーダーとしての振舞
大抵ここで一度目のつまづきを感じる後継者・二代目社長が多いのではないでしょうか。
思うように組織が動かないのです。
もし、そういったことに思い当たるとすれば、何が起こっているのかというと「後継者・二代目社長の意識の変化に周囲の人間がついてきていない」ということです。
後継者・二代目社長は、入社から実務を経験し、リーダーシップを発揮し始め、と急速な変化を遂げてきています。
しかし、組織は今までの流れの中で仕事をしています。
緩やかな川の流れに、後継者・二代目社長は激流を興そうとするのですが、そう簡単に多数派の流れが動くはずもありません。
そういった後継者・二代目社長の思いと、組織の動きのギャップで後継者・二代目社長は苦々しい思いをすることが多々あります。
なんで、自分の言う通り変化しないのか、という苛立ちですね。
一方ここでは、自分では気づかない後継者・二代目社長の内面的な問題が露呈している可能性があります。
それは自分の行動が、「恐れ」から来る行動である、ということです。
「何を言うんだ!」と怒り出す方もいらっしゃるかもしれませんので、少し説明させてください。
後継者・二代目社長という立場において、もっとも恐れることは何でしょうか。
恐らく、自分の代で会社を倒産させるとか、業績を悪化させるとかいうことではないでしょうか。
それは自分自身の責任感から、という一面もありますが、もっと言えばそんな結果を出して、周囲に「やっぱり二代目はダメなんだ」と言われたくない一心からではないでしょうか。
もしそうだとしたら、私たちはそういった「恐怖から逃れたい」という行動原理で動きます。
それは、焦りを生み出しますし、焦りは周囲に伝わります。
もしこの時点で、「社員が自分の思い通り動かない」とか「先代が自分の邪魔ばかりする」という思いに苦しめられているとしたら、それは私たちの焦りが招いている結果なのかもしれません。
悩みの内容は後継者・二代目社長の成長とともに変化する
後継者・二代目社長の行動原理を変えてみる
前述のような状況にあって最大の問題は、後継者・二代目社長の行動の源泉が「恐怖心」にあることだと思っています。
たとえば、人が集まっているところに、恐怖に顔をゆがめた人が「自分についてこい!」と主張したところで多くの人は「ぽかーん」と口をあけるのみでしょう。
「よし、ガッテンだい!」という風にはならない。
きっとそんな状況に陥ってしまってるんじゃないかと思うのです。
こういう時にできることは、後継者はその行動原理を変えることです。
今日から逃げるという行動動機ではなく、行きたい場所に向かうという風に転換できるといいと思います。
ここでみなさんにお聞きしたいと思います。
後継者・二代目社長として、夢はありますか?
それはどんなものですか?
この質問に対して、ウッと言葉が詰まってしまう人は非常に多い。
後継者・二代目社長は、どこへ行きたいかがわからずに、とにかく不本意な評価だけは避けたいという思いで逃げまどっているような状態です。
そういった構図が理解できると、なぜ人が思ったように動いてくれないかがわかります。
自分の中に自分を前に進める火種がないのに、それを社員一人一人に植え付けることもできないのです。
社員との関係がギスギスしてきたら、自分がどこへ進みたいかを考える機会とするのがいいかもしれません。
その目標、本当の目標ですか?
しかしこういう話をすると、割と簡単に「売り上げ目標は〇〇億円」とか「上場が目標」とか言う方はけっこう多い。
もしかしたら本当にそういう目標を持っておられるのかもしれませんが、その目標をワクワクして語れるか、だれかと共有できるか、何かを犠牲にしてでもやり遂げたいと思うのか、という次元で考えてみるとどうでしょう。
また個人的な年収を目標に掲げたりするのもよくありますが、それはお金の話であり、お金は使ってナンボです。
となると、何かを手に入れたいから年収をあげたいのでしょう。
その「何か」が実は大事なのではないでしょうか。
そうすると、割とよくあるのは「人からの羨望」だったり「認められる」ことだったりするのが多いようです。
そういう人にとってお金は回り道でしかないので、案外熱中できなかったりすることも多いようです。
会社の業績を上げるというのも同じで、元をたどればたとえば「自分の評価をあげたい」というところに本音があるのかもしれません。
そうすると、実際の思いとはズレが生じるので、思ったほど熱中できないことも多いように思います。
私自身がまさにそういう経験をしてきましたので、そこから自分探求が始まりました。
ここから先を書き始めるとまた長くなりますので、一旦ここで区切らせていただきます。
大事なのは、「恐れからの行動」を辞めること。
逆に言うと、「恐れ」を受け入れてしまうことが大事だと思います。
そうなったらそうなった時、という感じで受け入れると、いろんなことがうまく回りだすことがあります。
ぜひ試してみてください。
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