後継者

後継者・二代目社長が成長する過程で段階的に変化する悩みについて ②

前回は、後継者が実務を覚えた後に陥りがちな、社員とのコミュニケーションの問題についてご紹介させていただきました。

詳しくはこちらをご参照ください → 後継者・二代目社長が成長する過程で段階的に変化する悩みについて ①

この時にしっかりと「恐れからの行動」の行動原理を変えられれば、その後は比較的スムーズに進む可能性が高いと思われますが、残念ながらそのことに気付かれる方は少ないと思います。
私も一通りの問題を経験してからわかったことですから、偉そうなことは言えません。
この時点ではどちらかというと、責任は自分ではなく他人にある、という思いが強いだけに上手くいかなくなりがちです。

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第二の関門 コントロール欲求

問題を起こさないでほしいという思い

自分が一生懸命に頑張っているにもかかわらず、周囲の人間は自分ほどには努力しているようには見えない。
後継者がリーダーとしての目覚めを経験すると、そんな事を考え始めます。
自分はけっこう頑張っているわけです。
なにしろ、自分が会社をダメにしたとは思われていないから必死です。
しかし、周囲の人たちは、そんな自分と同等に頑張っているとは思えず、時としておまぬけなミスをやらかして問題を持ち込んできたりするように見えます。
後継者はリーダーとして、後々に問題を残さないように、そういったことに対処しなければなりません。
みんな問題から逃げるのに、自分だけが問題に向かっていかなければならないような錯覚に陥ります。

この時にふと頭に浮かぶのは、「頼むから問題を起こすのはやめてくれ」ということです。
自分なら当然予測してケアすることを他の従業員はできない。
出来ないんだったら、自分の言うことを100%聞け。
そんな風に思い始める可能性が高いと思われます。

規律と罰則

この時に後継者・二代目社長は、社内の規律を厳しく定め、罰則などを作り社員一人一人をコントロールしようとします。
同時に先代との確執も表面化し始めているころかもしれません。
とくに、企業におけるコンプライアンス意識を先代、特に創業社長はなかなか理解できない方が多いという印象があります。
時代的には、多少の無理をしてでも売上をあげろ、という時代でしたからしかたありません。
しかし、後継者・二代目社長からすれば、それは時限爆弾のようなもので、忘れたころに大爆発をしないとも限らない問題です。
そんなものを生み出さないように、先代もまた規律の中に封じ込めたいと考えがちになります。

しかし、残念ながら、人を規則やルールで縛ることはできません。
特に先代は自由に自分の会社の中で泳いできた人ですから、後付けのルールにしたがえと言っても、考える前に身体がルールをはみ出しています。
後継者・二代目社長はその様子を見てさらにイライラを募らせるという無限ループに陥ります。

いくら規律をかぶせても問題は解決しない

トラブルを避けようとするほど苦しくなる!?

この問題にはちょっとしたジレンマが隠されています。
それは、後継者・二代目社長は、「自分が想定外のトラブルが起こるのがイヤ」で社内のルールを強化することが多いと思います。
問題が怒るたびに対処するのは嫌だ、いずれ自分の手に負えない問題が起こるのは嫌だ、だからルールで縛ってそういった問題ができるだけ怒らない状態を作りたい、と思っているのではないでしょうか。
しかしそうすると、ルールを守らない先代や社員に対していつもイライラすることになります。
そしてトラブルの発生をゼロにすることはできませんし、それなりに規律のある組織になったところで、「なぜそんなことが起こる!?」というとんでもないトラブルは必ずと言っていいほど起こるものです。

トラブルで嫌な思いをしないために、日常的にイライラする。
しかも、日常的なイライラを感じてなお、トラブルをゼロにはできない。
私たちは、そんなジレンマの中にいます。

トラブルを受け入れる覚悟

そこで私が思いついたのはこういうことです。
何をやってもトラブルは消えないのだから、トラブルはある、という前提で行こう。
トラブルが起こった時にはストレスも感じるかもしれないけど、トラブルがないときは自分も社員もストレスのない環境を作ろう。
そんな風に考えたんです。

すると社内の雰囲気はグッとよくなりました。
社員は協力的になり、いろんな意見も出るようになったり、責任を任せることができるようにもなりました。

全てがうまく回ったとしても、常にトラブルはあるものです。
ならば、一定レベルの対応はするものの、「必ず突発的な事案は発生する」ということを受け入れたほうがずっと楽なのです。
90点の人が100点を目指すのは難しいのですが、40点の人が50点を獲得するのは比較的簡単です。
社内に完璧を求めるよりも、ほどほどの緩さを許容したほうがお互いに楽になるはずです。

そう考えることで、「コントロールしたいのにできない」苦しみから逃れることができるはずです。

 

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