後継者は「プロ」になりきってはいけない3つの理由

後継者がその道の”プロ”になりきってしまうと、ちょっと困ったことが起こります。
ここで言う”プロ”というのは厳密に定義された言葉というより、
商品について知らない一般の方(お客さん)の対義語として、
自社の商品を知り尽くした玄人というニュアンスで使っています。

プロというと、一般的には良い印象を持つ言葉ですが、
そこにどっぷりはまってしまうと、たくさんの資格を作ってしまうので注意が必要です。

プロがもつ一般の方との距離感

プロにはお客さんの声が届かない!?

私のイメージでは、プロというと自社商品や自社の身を置く業界の事を知り尽くした人、
という風に捉えています。
これは、お客さんからすると、非常に頼もしい存在です。
とはいえ、後継者という立場においては、その世界の専門職人でいることは、非常に危険です。

なぜなら、その世界の常識から抜け出せなくなる可能性が高いからです。

業界の常識は、一般社会の非常識。
そういった事がよく言われているのではないかと思います。
そんななか、ある一般の方が、あなたの業界の商品・サービスを痛烈に批判したとしましょう。

プロのプライドを持った人ほど、
「そんな主張は、お客さんのわがままだ。筋が通らない。」
なんていうふうに評しがちです。
酷いときには、
「このお客さん、全く不勉強だ」
などと憤りをあらわにします。

それは正しい事なのでしょうか。

業界常識にコミットするか?お客さんの感情にコミットするか?

私たちの業界はこうあるべき、私たちの商品はこういうものである。
そういったプライドが高いプロほど、お客さんの(業界的に見れば)理不尽な要望を
聞く価値のないクレームとして切り捨てがちです。
もしくは、
「こういうものなんですよ。」

多くの業界において、イノベーションは”よそ者”が作り出すというのも納得できる話で、
よそ者はその業界のルールなど知りません。
ただただ、一般人(お客さん)の声に耳を傾けるからこそイノベーションを起こしえる
のではないかと思います。

業界常識は、そうしたほうが効率がいいから未だ存在する世間と隔絶された世界です。
あなたの会社がそれを覆すことは難しい事も多いかもしれませんが、
そこを目指す気概、お客さん

プロの集中力と経営者の俯瞰力

小さな場所を照らすか、大きく照らすか

プロの職人、匠は、虫眼鏡で太陽光を集め、紙を燃やすかのような力を持っています。
それは、外からの情報を取捨選択し、自分の知識・技術を目の前の顧客一点に集中させるという事。
この集中力は、お客様であったり、特定の技術や技量を磨くにはこれ以上ない状況です。
しかし、一点に集中させた光は、広い場所を照らすことはできません。

後継者といえど、一時的にはこのプロ的パワーを身に着けたほうがいいに決まってます。
ただ、後継者の最終的な目標が、会社全体のかじ取りである、という事であれば
どこかのタイミングで、その集中視点を一旦脇に押しやり、
広い情報を受け取る俯瞰力を身に着ける必要があります。

虫眼鏡で見ていた世界から、広角レンズで見る世界への脱皮が必要です。
虫眼鏡で見ていると、すぐ横で起こっている出来事が見えないのです。
気が付けば、社会から取り残されていた・・・なんていう恐ろしいことも起こりかねません。

(終生一職人であろう、と決心した場合はその限りではありません。)

技術の追求は面白い

どんな後継者でも、多くの場合は初めは仕事の初歩的な技術や知識を学ぶことから始めると思います。
そうやって、その世界でだんだんと力をつけてくるようになります。
目の前のお客さんに頼られ、社員からも頼られるようになるかもしれません。
その状態に満足すると、ますますそのままその世界での技術追及に突き進むと楽しいんですね。
しかし、もし後継者が会社全体の最適化を行うべき立場であるとすれば、やはりそれだけではまずいかもしれません。
製造業などの場合は、技術の追求こそが経営に大きなアドバンテージをもたらす可能性は高いとは思いますが、
業種によってはいつまでも職人であり続けると経営上の弊害をもたらすこともありそうです。

社内の状況を見ながら、どこかで職人の立場から、経営者の立場にシフトする必要が出ることもあるのではないかと思います。

まとめ

後継者が「プロ」になりきる事で起こりがちな3つの弊害

ここまで見てきたように、後継者がプロの世界にどっぷりはまってしまうとこんな弊害が出てきそうです。

  1. お客さんとの感情の距離が遠くなる
    プロの知見やプライドにより、「この世界の常識」を重視するようになり、お客さんの素朴な不満・疑問に気付きにくくなる可能性あり。
  2. 視野が狭くなる
    特定の分野の知識や技術を深く掘り下げる事に集中するあまり、周辺で起こっていることを察知しにくくなるかのうせいあり。
  3. 職人から抜け出せなくなる
    この事自体が問題なのではありませんが、会社の状況によっては職人をまとめ、方向性を示唆する立場にシフトする検討が必要になるかも。

もちろん、会社の規模や業種、状況によっては後継者が職人であり続ける事が求められるケースもありますが、
こんな弊害が出ないかな?と、立ち止まって考える参考にしていただければ幸いです。

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