親子で経営しているとき、なかなか口には出せないけれど、多くの後継者が感じている感情があります。
それが、不安です。
自分は経営者としてやっていけるのだろうか、
会社はこのままで将来大丈夫なのだろうか、
果たして自分は充実した人生を過ごすことができるのだろうか、などなど。
アドラー心理学を日本に広めた「嫌われる勇気」の著者、岸見一郎氏はこういいます。
「不安は何かから逃げるために出口を探している状態」
皆さんは、何から逃げているのでしょうか。
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Contents
事業承継における不安は「何かから逃げるための口実」!?
後継者は何から逃げたいのかを自問してみよう
前出の岸見一郎氏は、不安を訴えることはすなわち何かから逃げる口実を無意識に作っているといいます。逆に言うと、自分の中に何かしらの逃げ道を作る意図があるから不安が沸き上がるのだといいます。
例えば、こんな例が考えられるかもしれません。
自分は会社の後継者としては不適格で、会社の将来を背負っていく自信がない。こういった不安を持っている方は、何から逃げたいのでしょうか。
表面的に言えば、会社の責任を持つということから逃げたいのだろう、と考えられそうですが、もう少し深く考えてみましょう。
その時に言えるのは、「会社を背負っておく自信がない」という自分を創り出すことでどんな得をしているかを考えてみます。
それは例えば、「本当にうまくいかなかったときの口実」といえるかもしれません。会社がうまくいかなかったとき、「だから、自信がないと言ったじゃないか」という逃げ道を作っていると考えられそうです。
後継者の言い訳は論理破綻している?
仮にそうだったとして、自分の無意識の世界ではなんとなくうまくバランスが取れていたりします。会社を背負うという重責があって、その重責に対して自分は不適格だという不安が心にもたげて、将来だ目立った時の言い訳を準備している。なんとも巧妙ですが、一つ残念なことは、実際に将来うまくいかなかったとして、言い訳を誰かにしたところで何の意味もない、ということです。やる以上はうまくやらなきゃいけないわけです。大事なことなのでもう一度言います。やる以上はうまくやらなきゃいけないのです。
もちろん人間ですからうまくできないこともあるでしょう。そういった問題はともかくとして、自分の心持としては、「不安を感じている」ことに何一つ現実的なメリットがないのです。
不合理な話ですが、脳は勝手に自分の至高の中でつじつまを合わせようとしますが、そこに現実にある世界との整合性を考えてはくれません。
少しきつい表現をするなら、不安という感情は、自分がやろうとしている事が「失敗したとき」の言い訳を生み出しているだけのものであって、自分の人生において何の意味も持たないということです。
やると決めたら結果に責任を持つ
腰が引けた状態ではうまくいくはずもない
さて、後継者として親の会社に入りました。それなりにリーダーとしての地位に立ちました。しかし、そこで、将来の会社や自分のことで不安な感情に押しつぶされそうになります。
そして、不安な感情ということは、今の状況がうまくいかなかったときの言い訳だと知りました。
するとできることは、シンプルです。
やると決めたら、結果に対しての責任を自分でもつ、ということが一つ。
そして、不安という感情そのものが害を及ぼすわけではなく、不安という感情で動きが阻害されることが害であるということを認識しておきたいところです。
二つ目の大事な要素は、不安という感情に注目もせず、追い出そうともせず、ただそれがあること、「不安と感じてるなぁ、自分」という感じで味わえばいいということ。
そうするとだんだんと不安の正体が見えてきますから、対処法もおのずと見えてきます。
よく、後継者は覚悟が足りないと言われますが、「覚悟がない=不安な状態」です。
不安の先にあるものを受け入れてしまえば、グッと存在感が変わってくるはずです。
結果がうまくいこうと行くまいと、今目の前のことを一生懸命やる以外に、いったい何ができるのでしょうか。
不安を解消するたった2つの方法
あらためて言いますが、不安はあったっていいと思います。
不安その物が現実に害を及ぼすことはありません。
ただ、不安を持っているということは、結果を自分としてまっすぐ受け止める覚悟ができていない状態ということです。
逆に、結果を受け止めると腹に決めるだけで、見た目も、行動も変わってくるはずです。
そう、不安を解消する一つ目の方法は、今の行動の結果を自分で受け入れる、と決めればいいということです。
受け入れられない(たとえば失敗が恥ずかしいとか、弱みを見せたくないとか)状況が不安を生み出すのですから。
そしてもう一つの方法は、不安の中に飛び込んでもがいてみること。
必死になると、不安を感じている暇がない(不安を感じる意味がない)のです。
いずれにしても勇気のいることですが、一つ一つクリアしていけたらいいんじゃないかと思います。
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