親子経営の後継者の方は、恐らく、仕事で世間や社員、先代である親に認められたいという思いを持っているんじゃないかと思います。
そのためには、売上を上げるとか、社内をまとめるとか、そこそこ目立った成果が必要かと思います。
そんな目立った成果をあげるとすると、たぶん今までと同じことをやっていては難しいんじゃないでしょうか。
で、普段と違うことをやれば批判を受けることが多い。
じゃあ、どうすればいいのでしょうか。
Contents
先代と同じ方向性での力勝負か?違う方向性を打ち出すか?
ガチンコ勝負を挑んでみる?
親子の経営で、周囲の人や親に認められたいという後継者は多いです。
会社経営において認められるとすれば、やっぱり売上を上げるというのがそこそこ多く、またわかりやすい課題だと思います。
そこで大事なのが、「どうやって?」という事になります。
これを今までと同じ方法をやって、親を超えようとするととても強力な営業活動が必要になります。
社員にもっとプレッシャーをかけるのか?後継者が率先して営業するのか?営業の得意な社員をもっと雇うか、事務社員を営業に転向させるのか。
打つ手はたくさんありますが、ある程度物量の世界になってしまいます。
つまり、仕事量を増やすしかないのです。
個人プレイという中で競う分にはいいのでしょうが、社員を巻き込むと大変です。
何しろ同じ顔ぶれの組織で売上を上げよというのだから、社員は悲鳴を上げてしまいます。
仕組みの工夫が必要
となると、必要なのは社内の仕組みを変えるとか、営業のやり方を変えるとか、商品のラインナップを変えるとか、そこそこ大きな改革が必要になってきます。
そしてこういう時に、後継者が頑張れば頑張るほど、社員との溝が深まりがちなシーンが出てくるわけです。
社員としては、基本的に大きな変化は避けたいと思っている中で、後継者がやってきてあれこれと社内にメスを入れる。
実は、後継者が来るまでは表に出なかった、仕事の村や無駄もあったかもしれません。
社員はそれを明るみに出したくない、という無意識の抵抗があったり、そもそも変化の波を感じて不安を感じ始めたりします。
すると社員としては、そういった異質な分子を摘み取りたいわけで、後継者と距離をとろうとします。
そこそこ団結感のある社員であれば、組織的に後継者を排除するようないじめに近い対応も出ないとは言い切れません。
そこで後継者の新しい計画は圧を受け、前に進めなくなりがちです。
結果として後継者は、肩を落としてこう言います。
もうこんな会社辞めたい、と。
なんともひどい悪循環に陥りがちなのです。
認められたい後継者が必ず出会う試練
人は一歩踏み出すと苦難が出現する
これはもう自然の摂理と言っていいのかもしれませんが、だいたい人はステージアップすると目の前に苦難が現れます。
心理学者のユングの考えをベースにした神話の法則からいくと、新たなステージに立つにあたって「門番の洗礼」を受けるような仕組みになっているのです。
これは簡単に説明すると、まずは、人の人間的な成長を数字で表したと仮定しましょう。
今はレベル1だとします。
レベル1にはすっかり慣れているので、日々の生活の中でいろんな問題や課題はあらわれるのですが、そんなに苦労することなくクリアできます。
それが例えば、会社の役員になるとか、リーダーになるとか。
学生なら進学するとか、クラスが変わるとか。
そんなその人のステージが上がった時、たとえばレベル2になると、レベル2の世界にはレベル2に応じた問題や課題があるわけです。
人が成長すると責任も重くなるので、問題や課題も重くなるというカラクリです。
そういう事で、後継者として会社に入った時、
役員になった時や管理職的な立ち位置になった時、
その他社会的な地位以外でも心理的なリーダーシップを発揮し始めたときなど、
色んなステージアップのケースがありますが、ステージが上がると敵(問題や課題)が強くなる。
そのレベルの問題や課題が、いつしかたいして気にならないくらいに自分が成長すると、次のレベルに進むといった仕組みがあるようだと、私は考えています。
話を戻すと、何かしらの問題や課題がやってきたという事は、自分が新たなステージにふさわしいかを試されているという事。
これは避けられないものなのです。
受入れるか?逃げ出すか?
こういった上位レベルの問題や課題が襲ってきたとき、私たちは緊張し、悩むこともあるかもしれません。
だからと言って、それを避けよう、避けようとしても、問題や課題は形を変えてやってきます。
だからいずれそういった問題や課題と対峙するか、逃げ続けてレベルアップができないまま年月を過ごすかのどちらかになってしまいます。
人は一旦成長すると後戻りはできません。
停滞を続けることも出来ませんので、結局いま逃げてもどこかで対峙する必要があるんじゃないかと私は考えています。
今の生き方で「何かが足りない」と感じている人は、実はそういった問題と正面から向き合わず、レベルアップを先延ばしにしている人なのではないかと思います。
後継者は最後には称賛を求めなくなる
試練を乗り越えた先にあるもの
はじめのうちは、周囲からの称賛を求める人が多いと思います。
しかし、目の前の問題と対峙し、順調に人としての成長を続けていくと、だんだん他人からの称賛はどうでもよくなるはずです。
なぜならば、自分で自分の努力はしっかりわかっているからです。
問題に逃げずに立ち向かう自分を認識し、そういった問題を次々とクリアしていく自分を知っていて、どうして他人からの称賛が必要なのでしょうか。
一生懸命やっているという事は、自分が持っている才能を使い切ろうとしている事です。
それはいいかえれば、しっかり自分を愛し、大事にしているという事に他なりません。
批判より自分
ここまで見てきたとおり、後継者の第一ステップは「認められたい」というところになります。
その結果、会社を変えることを余儀なくされ、その結果、「批判」を受けるケースが増えてきます。
認められたいのに批判を受けるというとってもきつい状況を潜り抜けたのち、その状況と折り合いをつけることで自らの人間的・精神的成長を経験します。
この時に、批判への反発心ではなく、本当の意味での自分の信念固めができるとすると、それはゆるぎない自信になります。
さらに、その時点で始めにあった「認められたい」というところからは卒業することになるでしょう。
そういったプロセスのどこに今自分がいるかをわかれば、それだけで随分と安心するのではないでしょうか。