「自分のことだからわかってる!」
良くあるセリフです。
しかし、実際のところはどうでしょうか。
たとえば、録音した自分の声を聴くと、
「自分の声はこんな声なのか?」
と感じる人は多いと思います。
鏡に映った自分を、本当の自分と思いがちですが、
人が見ている自分は左右が逆転していますね。
実際のところ、自分のことは自分が一番見えない。
それが現実のようです。
同族経営における親子関係においても、
自分のふるまいが見えていないことも多いのではないでしょうか。
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自分を客観視するのは難しい。
なぜなら、自分専用のフィルターで物事を見るから。
客観的にみれば、
「あれ?」
と思うことに、本人は気づかないのです。
たとえば、ある管理職の人間がいます。
彼は決して悪気はないのだけど、部下の問いかけに対して、
いつも一呼吸おいて回答します。
こんな感じです。
「●●の件、こうしましょうか?」
と部下に聞かれると、PCに向かいながらしばらく沈黙。
その時間は数秒ですが、気持ちの悪い時間です。
しばらくして考えがまとまったのか、
「じゃあ、そうしておいて」
と答える。
PC画面を見たまま。
これ、部下にしてみれば、感じの悪い上司です。
何を考えてるかわからない。
しかも、自分のことを見ることなく、他人ごとのように指示を出す。
実際に評判はあまりよくないようです。
ある機会があり、彼にそのことを話しました。
しかし、言われてはじめて気づいたといいます。
今まで、なぜか部下としっくりこないがその理由がわかっていなかった、と。
自分のことは、自分でわからないものなのです。
ところで、自動車の運転をされることはありますか?
一昔前は、車庫入れはある意味職人技。
感覚だけで、車をバックさせて指定の場所に停める技術を訓練で体得しました。
この車庫入れですが、自分の感覚でやっていると、まだまだゆとりがあるのに、
何度も切り返しをしている人、結構見受けます。
これが、バックモニターという文明の利器で、ずいぶんと楽になりました。
さらに今は、アラウンドビューモニターとか360度モニターとかいう、
車を上から見下ろしているかのような映像を見せてくれるシステムができました。
私は使ったことがないのですが、きっとずいぶんと車庫入れが楽になるのでしょう。
実は、人間関係も、そんなモニターがあって俯瞰できると楽なんじゃないか、
と思うことがあります。
後継者の方からのご相談を見ていると、たまにこんなものがあります。
親の会社に入ったものの、これ以上やっていけない。
とはいえ辞めるのは親に申し訳ない。
そんなところをぐるぐる回っているわけです。
これはたぶん、自分の外には正解のない問題です。
リスクを避けて、避けて、行き止まりにあたってしまった感じでしょうか。
実は、渦中にいる人にとっては、自分が一定のリスクをとればどちらかに決断できることに気づきません。
まったくの、八方ふさがり状態にしか見えないのです。
しかし、冷静な第三者から見ると、やるか、やめるかしかないわけです。
そういうと、「そうは言うけど、そんなに簡単じゃない」と反論されそうですが、
世の中、何もかもが痛みなく収まるということのほうが少ないのではないでしょうか。
「いい子」でい続けようとすると、痛みを避け続けると、見えない道が、
自分の意志を明確にすると見えてくることがあります。
この問題は実は、外的な要因で判断すべき問題ではなくて、
自分としてやるか、やらないか、という内的な問題なのではないでしょうか。
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