「作業」と「仕事」は違う。
最近そんな話をよく耳にします。
作業というのは、プロセスやルールが決められたもの。
同じことを繰り返すこと。
もう少しまとめて言うと、頭を働かせなくてもできること。
一方、仕事は、価値の提供であったり、常に創造的に頭を使わなくてはならない。
これはこれで、けっこう大変なものです。
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Contents
「作業」か?「仕事」か?
作業が好きな後継者・・・?
作業か、仕事か。
まあ、経営者としては、仕事をしなきゃいかんでしょう。
普通はそう考えます。
しかし実際にそうしているかは別問題。
先代を見てみてください。
きっと、難易度は高めではあると思いますが、「作業」を繰り返しているのではないでしょうか?
アイデアをひねり出しているというより、今までやっていたことを今日もやっている。
昨日の続きが今日で、今日の続きが明日。
やっている事の骨格を見つめると、意外と単純であることが多いと思います。
それを後継者は参考にするわけですから、どうしても作業に従事しがちです。
「空白」を嫌う
それには理由があります。
例えば、9時~17時まで仕事をするとしましょう。
人はその間に空白ができると、どうも落ち着かないものなのです。
たとえば、強制的に「毎日一時間はかならず新しいアイデアを出す時間にしよう」と決めたとします。
これ、結構きついんですよ。
1時間をずっと脳をフル回転させ、今までと違うことを考え出すっていうのは。
なんとなくその時間が空白になってしまう。
しかも、周囲から見れば、「なにもしてない」「仕事をさぼっている」と思われかねません。
だから、その空白を埋めるために、考えなくてもできる「作業」を持ち出してきます。
目の前を「作業」をいっぱい積み上げて安心するのです。
なんとなく忙しいし、一応ではあるものの、仕事はしている。
空白の時間がないことを喜び、「忙しい」と口ずさむ。
すると、なんだか仕事をした気分になります。
作業というのは、面倒な半面、「仕事したなぁ」という達成感は得やすいものなのです。
強制的に「空白」を作ったGoogle
Googleが社員に対し、仕事時間の20%を直接の仕事にかかわらない時間に向けよ、ということをやっていた話はご存知の方も多いでしょう。
これには実はいくつかの効果があります。
仕事から離れることで、既成概念にとらわれないアイデアが出やすくなったり、
自主性を重んじることで、モチベーションが上がったりするわけです。
しかし、もう一つ考えられるのは、あえて「空白」時間を作ることで、考えざるを得ない状況を作ったと言えるでしょう。
つまり、作業だけではなく、仕事をするように誘導したわけです。
脳は「作業」が大好き!?
習慣に支配された人々
脳というのは、ズボラにできています。
できるだけ、働かずに済むよう、常に省エネモードにスイッチするよう出来ています。
だから考えるより先に、習慣化した行動を行い始めます。
会社に来て、誰もいない朝の一時間を「考える時間」に、と設定したとしても、気が付けばパソコンをいじっていたり、メールをチェックしていたり、なかなか集中できない。
気が付いたら、即座にメールに反応するとか、注文書作りに没頭してしまうとか、やり慣れた仕事に心奪われます。
まったく情報を遮断しようと、カフェに行こうとすると、斜め前に座った美女に気を取られたり、隣の人の会話にくぎ付けになったり(笑)
30分もすれば、あきらめていつもの仕事をやり始める。
そんな感じのことも多いのではないでしょうか。
脳は、慣れた「作業」が大好きなのです。
「作業」がもたらす達成感
またまた厄介なことに、作業というのはけっこう達成感がある。
ルーチンワークを一つ一つ進めて、TO DOリストから消し込んでいく。
紙に書かなくとも、頭の中の仕事リストを消していくのは爽快なものです。
ほどほどの疲れを残して一日を終えるとき、ほっとした気持ちになる。
ああ、今日も一日、良く働いたなぁと。
この充実感はたまりませんね。
一方、何かしら新たなことを考え、やり始めようと考えると終わりが見えない。
まずは、いったい何をやればいいんだろう?
そこで何日も何日も悶々とする。
書物を調べたり、ネットを調べたり。
場合によっては、何年も、答えが見つからない時もあります。
実際に新しいことを想像し、やり始めても成果が見えるのはずっと先。
いつまでも「やり終えた!」という満足感は得られることなく、何の達成感のない日々を送ります。
そしてとちゅうで、緊急の作業案件が入ると、そんな難しいものなんて放り出して作業に集中する。
ああ、オレって仕事してるなぁ、と満足感に浸る。
なげだした「仕事」は、次に思い出されるまで頭の奥の奥、暗くひっそりとした場所に格納される。
作業と違い、仕事は締め切りを追い立てられることは少ない。
だから、自分でやる気にならなければできない。
結局多くの人が、作業だけをこなす生涯を過ごすのではないでしょうか。
後継者は「仕事」をしよう!
「仕事」は苦しい。しかし果実は大きい(かも)
日々の成果が見えにくく、達成感もなかなか味わう機会が少ないのが仕事。
しかし、これを続けることで、会社が飛躍的な成長を遂げたりすることも、自信が成長することもあり得ます。
逆に言うと、作業だけをやっていたのは、会社は時代の変化に対応できません。
時代が変わるのに、会社は昨日の続きの今日をやり過ごしているだけなのですから。
先代の時代は、会社を始めたころのコンセプトが色あせるまでに時間がけっこうかかりました。
そのタイムスパンは、数十年単位です。
初代のiPhoneが発売されたのが、2007年。
わずか10年余りで、ガラケーはほとんど見かけなくなりました。
かのトヨタでさえ、「もはや自動車メーカーではない」状態を模索しています。
私たちの現業が、この先、同じ形のビジネスでやり過ごせるとは思えません。
まずはスペースの確保から
この「作業」の対極にある「仕事」という動きは、なかなか古い価値観では理解されません。
先代は恐らく、さぼっているだけとしか見ないでしょう。
先代にとっては、現業で売り上げを上げ、生産効率を上げることしか見えません。
そして社内の多くの人々は、その先代の見ている以上のことは見ていません。
つまり、あなた一人が「仕事をしている」といったところで、理解者はない、と思ったほうがいい。
だから初めは、社内でそれをやろうとするのはあきらめたほうがいいかもしれません。
しかし次第に若い社員は、理解するようになるはずです。
ある知人の会社では、こんなことが起こりました。
番頭格の社員が辞めていったのです。
辞めた理由が、「この業界と、会社に未来を感じられなかった」というのですから驚きです。
保守的な知人のリーダーシップは、その社員から見ると「作業」に終始する姿勢が物足りなくみえたのかもしれません。
もうひとつ、会社ではやりにくい理由があります。
それはあなたが、会社に来ると精神的な制約を強く感じる可能性が高い、ということです。
会社でいる時間だから、作業を優先させなくてはならないとか、
他の社員が見ているから、わかりやすく働いている姿を見せなければならないとか、
先代の手前、自分がそれなりに作業を頑張ってるところを見せなければならないとか、
変なとらわれを持っている可能性が高い。
会社に行くと、精神的プレッシャーを感じるとしたら、そんな安全を感じられない場所で創造的な仕事はできるはずもありません。
まずは、少なくとも15分からできれば1時間以上、一人になれる場所と時間を作ってください。
アウトプットのためにはインプットが必要
その次にやることはインプットです。
もちろん、頭の中に次々とヤリタイアイデアがわくのなら、インプットの工程は省いてもらってもいいと思います。
しかしたいていは、机やノートを前にぼーーーっと考えていても頭の中は真っ白。
そんな状態にあるのではないでしょうか。
そうだとすれば、インプットする情報の種類が狭く、足りていない可能性があります。
これまで硬くさび付いていた脳の一部を再起動させる呼び水として、さまざまなインプットをしてください。
一番手軽なのが本です。
できればビジネス書がベターですが、難しければビジネス書でなければならないとは言いません。
小説や映画からも学ぶことはできます。
そこに出てくるエピソードと、自分の会社や自分の成長を結び付けるとすれば、どんなヒントがあるか?というスタンスで見てみてください。
最近は「マンガでわかる」といった難しい考え方をマンガで解説している入門書もあります。
そういったものを使うのもおすすめです。
最近のビジネス書は、字が大きく、空白も多い、1時間~2時間程度で読めるものも多数出版されてます。
そういったものにチャレンジしてみるのも一考でしょう。
このブログが読める方なら、十分理解できる内容のはずです。
あとは妄想にふける
ある程度インプットをこなしてきたら、おそらくその本の中から「あっ!」と思う表現なんかが出てきたりはしないでしょうか?
また、本の内容から連想したことをやってみようと思えたり。
ここは、妄想にふけってください。
あなたの妄想はあなただけのもの。
だれも、それにNOを突き付けることはありません。
そこで出てきたイメージやキーワードなどがあれば、メモ帳に書き留めておく。
妄想の内容はあっちこっち行くと思いますが、それでOKです。
一見、今の自分と仕事に関係なさそうなことでも、ある日突然つながることもあります。
こういったことを日課として続けていくと、1週間、1か月、3か月とみていくとだんだんと妄想の質が変わってくるはずです。
妄想の中で自分なりの答えらしきものを見つけたら、それを実行してみます。
実行する方法が見えなければ、その方法に関連のありそうな本を探してきたりします。
そうやって、学習と妄想を重ねていくうちに、だんだんと自分なりのビジョンが見えてくるようになります。
そのビジョンをうまく現実の会社との折り合いを考えながら導入していく。
必ずうまくいくとは言いませんが、やってみて、改善してみる過程で、さまざまな気づきや学びがあるはずです。
そのサイクルを創り出すこと。
これがまさに後継者の仕事だと思います。
けっこう大変だなぁって?
そうです。
大変です。
けど、それは、先代さえもが避けていたことです。
あなたは、その先代に欠けたものを補い、それをもって自身の存在感を高めるために今この場にいるのではないでしょうか。
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