代替わりというイベントと同時に、会社の改革が必要になってくる。
今の事業承継、経営の継承が難しい要因の一つです。
先代の始めたビジネスの多くは、今や賞味期限切れが近づいていることが多いのではないでしょうか。
先代が経営を続けようが代替わりをしようが、売上はじりじり悪化。
多くの世論は、これを代替わりが上手くいかないとか、経営者の高齢化とか、後継者の問題にしがちです。
誰が経営しようが、ビジネスの転換期にあるというのが現実ではないかと思っています。
会社が変われないことそのものが問題なのではないでしょうか。
私の著書です。
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Contents
ほとんどの企業で第二創業が必要な理由
社会は変わってしまった
多くの人が、感覚的に感じている事があると思います。
もう世の中は40年前とは違う、という事です。
私の子供時代あこがれた、ウルトラ警備隊がもつ腕時計型テレビ電話、
もはや当たり前の現実になりつつあります。
ナイトライダーだって、もう目の前に来てますね。
かつて未来を描いた映画やドラマにつきものの、”コンピューター”も、AIという形ですでに企業の職場に配備されつつあります。
私たちは、記憶という事に脳をリソースを使わなくとも、手元には世界の情報と繋がるスマホを持っている状態です。
一方で、”消費者”となる日本の人口は、右肩上がりから一転して減少傾向に入りました。
かつて、○人で一人の老人を支えると言われてきた年金資産の話が、今や○人で一人の介護老人を支える・・・
なんていう状況にもなりつつあります。
1960年代に三種の神器と言われた、新時代の必需品は「カラーテレビ」「クーラー」「自動車」のうち、テレビと自動車に関していえば若者が離れていってる話が良く語られます。
たとえば、新聞販売店がこれから30年、今の新聞販売店としてビジネスを継続できるのか。
新聞販売店だけではなく、今存在するほとんどの事業が、何かしらの変化を求められている、というのは決して突飛な話ではないでしょう。
後継者の役割の一つはイノベーション
このような時代の中で、現在60歳代、70歳代の社長を持つ中小企業はどうなるのでしょうか。
私の見る限り、この世代の社長の多くは、保守的です。
変化を好まず、今のままで事業を継続させようと努力します。
第三者としてみたときに、それが正しいとは到底思えない人は多いのではないでしょうか。
つまり、代替わりを行おうが、行うまいが、会社は衰退していきます。
先代がこのままビジネスを衰退させるとすれば、
「それも一つの判断だね。」
と周囲は考えるかもしれません。
しかし、後継者がいる場合、それは後継者の責任となってしまいます。
「二代目の力不足で会社が傾いた。」
世間的な評価はそんな風になるのではないでしょうか。
しかし、世の中には未だ解決されない問題や新たに生まれた問題がたくさんあります。
がんは相変わらず、死の匂いのする病気ですし、孤独死はこれからも増えるでしょう。
世に解決すべき問題がある以上、そこにはビジネスが成立する種があるわけです。
後継者の役割のひとつは、今の硬直化した会社にイノベーションを起こさなくてはなりません。
先代から引き継いだ会社のリソースや経験を踏まえ、世の中の処理済みの問題から手を放し、新たな問題解決を行わなければならないわけです。
つまり、同業者の誰もが知らない、未知の世界に踏み込む必要があるわけです。
残念ながら、そこに直接的に参考となる手本はありません。
事業を変化させる教科書
重要な考え方は”常識を疑う”こと
会社として世の中での新たな役割を考えるのに、最も手っ取り早く重要な考え方は常識を疑う事でしょう。
たとえば、流しのタクシーは見つかるときには見つかりますが、見つからないときには見つからない。
これまでは「そんなもの」と諦めていた人がほとんどでしたが、配車アプリで解決に乗り出した企業がありました。
親が亡くなって出来た空家は、売却しか方法がないと思っていたところに民泊のアイデアが出ました。
そういった考え方の参考書になるものの一つとして推薦させていただきたい本があります。
それは、『やりたいことがある人は未来食堂に来てください 「始める」「続ける」「伝える」の最適解を導く方法』(小林せかい)です。
随分様々なメディアに取り上げられている方のようですが、考え方が非常に参考になります。
彼女が営むのは、座席数12席の小さな飲食店。
昼間のメニューは日替わりランチ1種類。
なぜなら、彼女が修業時代にお世話になった飲食店では、昼は95%のオーダーが日替わりランチだったといいます。
これだとすぐに出せるし、厨房内も安定した動きが可能です。
しかし、どこのお店も、5%の日替わりランチ以外の注文にてんやわんやしている事に疑問を持ったそうです。
結果、自分の店では、お昼は日替わりランチのみで営業を始めました。
着座すると3秒で料理が出てくる。
もちろん、単に効率だけを重視しているわけではなくて、お客さまとの一期一会を非常に大切にしています。
工夫して達成すべきことと、手を出さないことをしっかりと切り分けておられます。
その詳細は、実際に書籍を手に取ってみて頂きたいと思います。
そもそも彼女にとって飲食店というのは手段であって、目的ではないといいます。
彼女が目指すのは、「誰もが受け入れられ、誰もが相応しい場所」を創る事。
面白そうではありませんか?
異業種からの転身だからできたのか?
「よそ者、若者、バカ者」なんて言葉が流行りましたが、よそ者だからできたのでしょうか。
彼女は、IT系企業出身ですから、飲食業界では完全なよそ者です。
しかし、よそ者もあっという間に業界の常識に埋もれてしまうケースが非常に多いと思います。
「これがこの業界の常識だから、ちゃんと覚えておくように。」
新米の方が、先輩にそういわれれば、素直に従います。
しかし、そんな中でもフツフツと感じる違和感というのはそう簡単に消えるものではありません。
その違和感を放置しないことが、恐らく重要なのだと思います。
後継者は、別の会社や別の業種の経験がある方も多いと思います。
すると、転身した当初はなんとなく違和感を感じたことに、だんだんと体がなじんでくる。
しかし、もう一度、初めて仕事をし始めたときに感じた、「なぜこんなことをやっているのだろう?」という疑問を思い起こす。
その感性を揺り起こすのは今の時代だからこそ、まさに重要なのではないでしょうか。
世の中の常識に対して素直になるというより、自分の感覚に素直になることが会社の変革には必要な感性だと思います。
業種・業界にぽっかりと開いた穴
小林せかいさんの著書を読むとわかるのが、常に、顧客のためであること、効率的である事といった事を突き詰めているような気がします。
こういった軸を持ち、その軸から外れるものはすべて疑ってかかる。
こういった事を繰り返していくと、だんだんと既存の業種や業界にあいた穴を見つけることができるものです。
あとは、その穴を自分で防ぐにはどうすればいいかを考える。
差別化というのは、他社と競争して相対的に勝る事ではないんだと思います。
他社が欠落している視点を持つ事なのではないでしょうか。
余談ですが、一度、後継者のための参考書をジャンル別にまとめてみたいな、と思っています。
今のところ、ジャンル別にはしておりませんが、こちらに私が読んでためになった本をご紹介しています。
良ければご覧ください。
私の著書です。
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