「経営者の器」のつくり方

家業を継ぐ後継者・跡継ぎにたいして、よく勝手な評価が与えられることがあります。
「彼は(彼女は)、経営者の器じゃないね」と。
じゃあ、経営者の器って具体的にはどういうことですか?と聞くと、あうあうあう・・・と口ごもってしまいます。
そもそも意味のはっきりしない言葉を人は感覚で語りますが、後継者・跡継ぎはそんな根拠もない話を小耳にはさむとどんより。「ああ、自分は後継者の器じゃないんだ・・・」と。
様々な人が、「経営者の器」を語りますが、どれもこれも個人的な感覚の域を出ないように思います。そんな中、ある興味深い資料を見かけました。

 

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経営者の器って、いったい何?

ほとんどの人は「経営者の器」が何かを知らない

世の中では、「経営者の器」という言葉はけっこうよく使われます。その割にはその意味を説明できる人は限定的で、仮にもっともらしく話をしたところで、それは独りよがりな考え方であることが多いように思います。まさに経営者のインタビューに出てくるこの言葉は、かなり偏ったつかわれ方をしていることが多いと思います。そんな中、一定程度の納得感を感じられる解説がありましたので、ここに引用します。

経営者の器は、「意欲」「知力」「行動力」「人間性」の質と、そのレベルの高さによって決まる。そこでいかに会社規模と経営者の器のレベルの高さを項目ごとに分け、列記した。

経営者の器=意欲×思考力×実行力×人望

商い=生業 商売=家業 金儲け=事業 経営=企業
【意欲】 優柔不断 私利私欲 地位名誉 使命感・志の高さ 人のため
【知力】 ドジ 思いつき 判断=感 判断=勘 知識のシステム化
【行動力】 グズ やりたいことの行動 率先垂範 困難克服力 瞬発力と持続力
【人間性】 ケチ・お人好し 心貧乏 事後処理 赦し・包容 任せる

高木利美著書「経営は人生のお祭りだ」より
※本書はPDFで公開されています。 →読みたい方はこちら

ここまで体系化されると、なんとなくそれっぽい感じですね。

簡単に私なりに解説します。「商い=生業」では、ドジ、グズ、ケチ、とひどい言われようです。これは恐らく、前向きな考えで動くというより、仕方がないからやっているという感じでしょうか。人間性は悪くないけど、意志がないから発展性がない。それが、「商売=家業」となると、ちょっと私利私欲で、行動は行き当たりばったり。全体の一貫性はなさそうで、とにかく富を自分のなかに囲い込もうとするタイプかもしれません。「金儲け=事業」となると、それなりに企業の体をなしているように見えるものの、経営者は自身の地位や名誉欲が原動力。一方、「経営=企業」まで行くと、使命感が原動力。周囲に対しては、赦しと包容とのこと。

こうやって見ていくと、表向き経営者として頑張っている人も、生業、家業、事業どまりの人はけっこう多いと思います。むしろ、経営=企業というところまでの成長を果たしたところは、決して多くないと思います。となると、気軽に口にされる「経営者の器」というのは、人がすでに持っているものとかというより、生涯をかけて獲得していくような感じのようにも見えてきます。

「意欲」は「働くことの意味」

初めに出てくる「意欲」ですが、これは働くことの意味を表しているように思います。おそらく、ただ何となく日々会社で言われたことをやるサラリーマンは恐らく、生業カテゴリーです。単に、食べるために時間を切り売りしている状態。こういう状況を経営者に当てはめると、ただ日々をそつなくこなし、顧客の言いなりになり、商品を右から左に動かし、そこで発生するお金で生活をする。生活のために働くだけのレベルだと思います。正直なお話をさせていただくと、私が仕事を始めて2年目くらいから数年はこんな状態でした。はじめの一年はいろんな思いもありましたが、だんだんと思いを絶たれ、もはや働く場所は生活の糧を得るだけの場所になっていました。この時の感覚をその後も続けていたら、間違いなく私は経営者の器を満たさない人間と言えたと思います。

こういう状態であると、自分自身がとても苦しいです。なにしろ、人生の大半を生活費を稼ぐために我慢をして働く時間ですから。そんな人間がリーダーとなったら、下につく社員も不幸でしょうね。いえ、そういう人が集まらないから、生業は生業で終わりがちなのかもしれません。

「知力」は自分の思考の仕組みを知ること

知力というと、学んで知識を習得することをイメージしがちですが、本書では少しニュアンスが違うようです。最後が「勘」です(笑)
実は、経営者というのは、けっこう勘を大事にします。しかしこれは、単なる勘ピューターというわけでもなく、まさに「知識のシステム化」がなされている前提がある、ということなのだと思います。自分の思考を知り、そのパターンを知り、それらがそれなりに高い確率で狙った効果を生む「勘」を導き出すことを習得することが大事なのでしょう。

「行動」のテーマは瞬発力だけではない

私の知る限り、瞬発力の強い経営者はけっこう多いと思います。あれもやる、これもやる、と言い出すのですが続かない。ある勉強熱心な社長の会社では、社員の間で月曜日は「魔の月曜日」と言われているそうです。なぜかというと、ビジネスセミナーの多くは金曜日、土曜日に開催されていて、そこで学んだことを月曜日には「やるぞ」と社長が言い出す。社員さんはそんなことに辟易としているのだとか。これがそれなりにやり続け、成果が表れるところまでやり切ればいいのですが、続かないことも多いようです。瞬発力も大事なのですが、成果につなげるためには持続力も大事。

「人間性」とは許容範囲を広げる事

最期に人間性について。ここでは、赦しと包容と表現されています。実は私は、人の器という意味ではこの部分が最も大事だと思っていて、経営者の器という意味でも同様だと思います。なぜかというと、この要素が、「人に任せる」ことができるかどうかの分かれ目になると思っています。たとえば、「任せた」といって、あれこれこまごまと口を出す、というケースけっこうあると思います。後継者は自分の仕事への先代の干渉で嫌な思いをしている人はけっこういるんじゃないでしょうか。そういう境遇にいる後継者は、意識しなければ同じことを部下にやりがちです。そうでなかったとしたら、失敗した部下に断罪するといった行動傾向が現われるかもしれません。誰かが想定外のことをしたとき、それを許容して自主性を求める人間性の奥深さを経営者はまとう必要があるように思います。「責任を取るのは自分だから」といって、人を自分の思い通り動かそうとする傾向が強い中小企業の経営者・後継者です。ここは大きく、「自由にやらせて責任は俺がとる」というマインドを獲得したいところです。

Wee Siang TohによるPixabayからの画像

経営者の器を獲得するために必要な3つのこと

先に挙げたものが「経営者の器」を表すものだとすれば、それを獲得するためにはどうすればいいのでしょう。私なりの考えをまとめてみました。

①内省

意外に思われるかもしれませんが、ここで挙げられている「意欲」「知力」は、自分の内面の問題です。特に「意欲」ということに関しては、モチベーションの源泉というかもはや「使命感」と言ってもいいくらいの内容だと思います。単にとってつけた「環境問題が気になるから、環境に配慮しよう」的な話とか、「SDGsが話題だから、そこに配慮した経営をしようとか」頭で考えて作るものではないと思います。何度失敗しても、これだけはやり遂げたいとか、どんなに困難でも世の中の未来のためには、これだけはやり遂げたいという心の底深くから湧きあがる想いと言えるでしょう。

もちろんそんなものなくっても、経営はできると思います。現に、多くの経営者は、そんな思いもなく漫然と経営しています。ただ、本書が目指すところは先に挙げたような使命感と言い換えていいほどの欲望です。これは視点を変えれば、有名なナポレオン・ヒルが著した「成功哲学」でいうところの「燃えるような欲望」と同義ではないかと思います。
これは私利私欲のため、自分の承認欲求を満たすためのものでなく、もう少し広範囲な影響を持つものであることが多いと思います。それを掘り出すには、それなりに自分の心の奥底を覗くことが重要になってきます。

単に表面的な「欲望」ではなく、自分の源にある強い欲求を知ること、そして自分の思考パターンを知る事が、「意欲」「知力」を高めることに必要なのではないでしょうか。そして、結果としてこのことは「人間性」にも良い影響を与えるはずです。

②視野を広げる

ともすれば、毎日同じことを繰り返していると、すべての行動が無意識に行われるようになってきます。まさに、行動パターンも思考パターンもどんどん固まってしまいます。たとえば、朝いつも8時に会社に出社する習慣があったとしましょう。それを毎日続けていると、実際は9時に出社してもいいし、早く目が覚めた日は7時に出社してもいい。なのになぜか、いつもは8時という習慣に縛られて少し遅くなると焦ってみたり、逆に速すぎると時間調整したりすること、ありませんか?人はそんな風に、毎日同じ行動をとるのが心地いい生き物のようです。

しかし、行動を無意識に任せていると、困ったことに違う刺激を得ることができなくなります。いつもと同じ道ではなくて、一本道を変えればすごく美人(イケメン)の人とすれ違うのに、その世界を知らずに日々を過ごしていること、けっこうあるんじゃないでしょうか。経営上の悩みでも、いつもの交友関係の中でアドバイスを求めても一考に解決策が出てこなかったのに、いつもと違う人たちに聞けば、彼らは当たり前のように解決策を知っているということは良くある話じゃないかと思います。私たちは普段の囲いの一歩外に出る努力をしないと、ずっと同じ刺激の中に浸りがちです。

そのためにいつもと違う行動をすれば、そこには想定しないトラブルがある事もあります。そういった経験を重ねていくことで、知力と行動力をきたえることができます。

③本質を見る

最期にお勧めしたいのが、本質を見る努力をすることです。たとえば、巷にはいろんなノウハウが流通しています。ああいったものを見ていると、簡単に売上をあげられるとか、苦労せずにいい組織ができるとか、まるでインスタントラーメンのような売り文句で新しいノウハウが流布されます。私もそれをずいぶん集めた時期はありましたし、それらはそれなりにパワフルであることは間違いありません。ただそれは所詮入り口でしかない、ということを知っておく必要があります。たとえば、よくある「セールスレターの書き方」みたいなノウハウ。これ、今までそのからくりを知らなかった人が学ぶと、一気に成果が上がります。しかし、売れるセールスレターを書き続けるにはそのノウハウというよりも、そのノウハウがなぜ効くのかを知らなければ恐らく長くは続けることが難しいと思います。そしてそのためには、ある程度場数を踏む必要があるわけです。これは、即座に行動に移す「瞬発力」と、量稽古を積めるだけの「持続力」との合わせ技です。

ally jによるPixabayからの画像

結局、経営者の器とは何なのか?

許容度

とても感銘を受けたので、高木利美さんの著書から経営者の器についてを考えてみました。ここで、結局のところ、経営者の器って何?と問われたら、私はどうこたえるかを考えてみました。私ならそれを「許容度」と表現します。

社会や会社そのもの、社員や業界は、思いがけず変化をすることがあります。時にはトラブルを持ち込んだり、時にはとんでもない売上をあげたり。こういった、波風の中、経営者は舵を取るわけですが当然目的に向かって一直線というわけにはいきません。こういったときに、そういう外的な要因の変化に対する心的許容度を持ち得ているか、ということです。何があってもうろたえず、今まで自分や会社や社員が蓄積してきたものを上手く活用して、そのシーンを乗り切る。そういった許容度の大きさが、経営者の器であり、それが小さいと急激な変化にうろたえるし、そうでなければ地に足をつけた判断ができる。

変化を飲み込み、
人を受け入れ、
ミスやトラブルも、
或いは人生で起こるすべてのことを受容する。
その許容度が、経営者の器の大きさではないかと思います。

だから、一般的には外からはそれはよっぽどの大ごとが起こらない限りは見えにくいもので、第三者が誰かを指して「経営者の器」を論じることはあまり適切ではないと思います。

なんだか大変な話になってしまいましたが、それもそのはずで、経営者も後継者も会社経営を通じて、人として成長する機会を与えられているのではないかと思います。それは一般の社員さんも同様で、会社は大人にとっての学校と言えるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

StockSnapによるPixabayからの画像

 

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