後継者

後継者である私が自由になった3つの理由

ほんの数年前まで、私は親の事業を継ぐことが嫌で嫌で仕方がなかったんです。
できれば逃げたいと思ったし、ストレスいっぱいの毎日。
しかし今はほとんどノーストレス。
なぜそうなったのかをお話しします。

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劣等感と罪悪感にさいなまれた日々

自分に後継者は務まらないのではないか?

私は父の会社で働くことになってから、気が休まることはありませんでした。
仕事を始めた当初は、
「こんな仕事が果たして自分にできるのか?」
「個性の強い父の代わりが将来務まるのか?」
という不安しかありません。

実際のところ、自分が思うような仕事の結果を残すこともできず、
そもそも仕事自体が嫌で嫌で仕方がありませんでした。
極めつけは、販売会社なのに営業という仕事が好きになれません。
営業を上手になろうと営業本を開けば、「商品を好きになれ」とありますが、
商品のことを知れば知るほどその欠点ばかりが目につきます。

そう感じる自分にだけは正直であるために、お客さまには
「商品を過剰に信頼しないでください。実はこの商品にはこんな欠点があります」
とお伝えしていたくらいです。
同業他社の先輩を見ると、その商品を疑うことなく信頼しているようにしか見えない。
ああ、自分はこの世界では生きていけないかもしれない。
そんなことを毎日考えていました。

親子でのコミュニケーション不全

また、父も私もあまりコミュニケーションが上手なほうではありませんでした。
特に父は、営業に関してはトップアスリートです。
外では「人格者」「頭がいい」という評価を得ていましたが、私の評価はまったく違います。

私はと言えば、口を開けば責め立てられるような印象を持っていて、次第に親である先代とはほとんど口をきかなくなりました。
自分のやってることを隠すようになり、自分の胸の内を一切言葉にしなくなりました。
例えていうなら、弁当を隠しながら食べるような感じで、何の仕事をしているか親に見つからないようにするようになりました。

そもそも仕事へのモチベーションも大してありません。
積極的にやらないからできることも増えないし、
できないことの多さで将来に不安を持ち、
そんな環境と自分に劣等感と罪悪感しかいだくことはありませんでした。

しかし、あるタイミングで転機が訪れました。

状況は変わらずとも世界が変わった

すべてを投げ出したときに見えてきたもの

これまではどちらかというと、
先代をはじめとして、業界の先輩やメーカーの考え、
そして業界の常識や、業界を取り巻く識者の意見をマジメにとらえてました。
「経験のある人たちのいうことだから正しいのだろう」という前提で、そこに近づかなければならないと考えていました。

そうすると、業界や他人が示すあるべき姿と、自分の現状とのギャップで頭を抱えてしまうわけです。
しかし、そんな他人の言葉を一切受け付けないようにしました。
誰が何と言おうと、オレが正しいんだ、と。
そうすると見える世界がすべて変わってきました。
少し具体的に、私の3つの変化についてお話しします。

その①苦手なことはやらない

初めに決めたのは、苦手なことをやらないことです。
たとえば、私は営業が嫌いだし苦手だと考えています。
じゃあ、やらなきゃいい。
そう考えました。
というより、会社の方向性を「営業の不要な会社にしよう」と決めたのです。

販売会社で、保険という商材なので、一般的な認識ではリアルな営業でお客様を導かなければ売り上げにつながりにくいというのが常識的な考えです。
さまざまなマーケティングコンサルタントに相談しましたが、
「営業せずに売れますよ」と簡単に言った人はたいていお金を払って依頼してもいい結果を残せない。
逆に、まともなコンサルタントほど、「保険はほかの商品と違う」という認識を持っていたようです。

そこで諦めれば、そこまでなんですが、実はビジネスモデルの工夫で何とかなるんじゃないか。
今ではそんな風に思い始めています。
まだ十分な結果は残せていませんが、なんとなくの手ごたえは感じています。

業界の中の常識に逆らって動き出すと、教科書がないだけにけっこう大変なんです。
しかし、それゆえそのモデルが完成すれば、それはそのまま差別化につながる楽しさはあります。

その②ルールを変える

今まではどちらかと言えば、周囲の人が伝える「ルール」に従って生きてきたように思います。
後継者たるものこうあるべき、販売会社はこうあるべき、業界人としてこうあるべき・・・
誰かが示した根拠の薄い「常識」にとらわれて、それに合わせて自分を成長させようと頑張ってきました。
けど、それができないとわかれば、そういう優等生になる事からはみ出し者になる覚悟をしました。

誰かが創ったルールに志賀うというより、自分が有利になるルールをつくればいい。
そう考えると一気に楽になりました。
ルールを作ると言っても「みなさん、これからはこのルールでやってくださいね」と周囲に布教するわけではありません。
誰が何と言おうと、自分ルールでやりますよ、とある意味意固地になればいい(笑)

そう言えば私、子どものころすごろくでずいぶんズルをしました。
別に社会人になってずるやってもいいんじゃない?ってことです。

その③自分を活かす方法を考える

「自分を変える」となると、社会の評価に合わせて変えるイメージが強い。
しかし、別に、無理して自分を変えなくてもいいんじゃね?と思ったわけです。

保険という仕事の中で業界人としては、保険という商品に対して「欠点ばかり見えて不信感しかない」状態は最悪かもしれません。
しかし、そこを離脱してみれば、その欠点を何かしら補えないか?と考えることが可能になりました。
できることはまだまだ小さなことですが、この時に生まれたコンセプトがあります。
「保険を売る会社」から、「保険が不要な世界をつくる意志を持った会社」に変化させよう、と。

もうひとつ、営業という嫌いな仕事をこの世からなくそうという思いもあります。
そういう視点で見ていくと、たとえばかのドラッカー氏は

「マーケティングの理想は、販売を不要にすることである」

と言ってるではありませんか。
じゃあ、そこめざしちゃえ、って感じです。

上手くいく保証はないけれど・・・

行列から外れるのはけっこう怖い

こういうとなんとも熱血漢な奴だなぁと思うかもしれません。
しかし、私はいたって普通の人間です。
たしかに、人と違うことを志すのはけっこう怖いものです。
そして違うことをやれば、いろいろな妨害や圧力もあります。

そんなこと一つ一つに対処するにはいつも正直、ビクビクしてます。

しかし、自分ができることではなく、自分が苦手なことで人と競い、
多分勝てない状況の中不安に震えてるよりかは、
自分ができること、楽しいと感じることをやって感じるリスクのほうがずっと健全じゃないかな、と最近思うのです。

どうせ人まねをしてもうまくいくかどうかなんてわかりません。
むしろ、人まねをして競争に負けたら最悪です。
だから勝手な自分ルールを作って、市場に問うほうがよほど健全じゃないかと思うのです。

人にならぼうとするか?自分の良さを引き出すか?

今までの自分は、社会に合わせて自分を成長させようと考えていたように思います。
そうすると、次から次へと突き付けられる社会、業界、常識の要求に右往左往しながら合わせていかざるを得ません。
これって、ある意味、奴隷じゃないですか。
しかしそれを、自分の良さを活用して、社会に問うというスタイルに変えると見える世界が一変したのです。

別に足元の状況は何にも変わりませんよ。
相変わらずメーカーの要求はきついし、お客さまの要望も強い。
同じ仕事量での利益は減少する方向だし、扱う商品は社会の縮小に合わせて売れ行きは下がります。
そして先代は元気に毎日会社に来ます。(最近は、いろいろ気遣って口出ししないよう配慮してくれてるようですが)

何も変わらないけど、ストレスフリー。
結局私たちは、どんな目で世の中を見るかで、良くもなり、悪くもなる。
そんなことに気づいた数年です。

もうやってられない!
そんな風に思ったら、重い荷物を一気に投げ捨ててやったらどうでしょうか?
辞めるのはそれからでも遅くないと思いますよ。

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