目の間に立ちはだかる問題を跡継ぎ・後継者はどうとらえるべきか

家業を継ぐ跡継ぎ・後継者にとって、目の前の問題が大きく見えることはないでしょうか。
例えば、先代の人脈の引継ぎや、仕事の中での先代しかわからない部分について、それをちゃんと教えてくださいよ、と思う。
そして自分にとって、そこをクリアしなければその先はないように感じられるし、逆に、そこさえクリアすればすべてがうまくいくような気さえする。

そう。先代さえ自分の思うように行動してくれれば・・・。

しかしそれは、残念ながら幻想であることが多いと思います。先代が自分の要望通り動いてくれたとしても、その先にはまた別の問題が道を阻むことになるはずです。

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跡継ぎ・後継者にとって一寸先は闇!?

目の前に立ちはだかる動物に目を奪われると、その先が見えなくなってしまう 272447によるPixabayからの画像

目の前の仕事と未来の仕事

跡継ぎ・後継者のみならず経営において、目の前の問題と未来のビジョンのバランスというのは難しいものと思います。私の場合も、ふと周りを見回してみると、親の会社の社内での仕事のバランスを考えたとき、「今の売り上げのための仕事」がまあ9割を超えている感じでした。つまり、未来につながる仕事をだれ一人していない状態でした。もともと、創業社長というのは現場主義の方が多く、今の売り上げを最大化することに非常に強い関心をお持ちであることが多いと思います。しかし逆に言うと、だからいつも現場はいっぱいいっぱいなんですね。

具体的な例を挙げると、私の父の会社は保険の営業会社です。広告を出して待てば十分なお客様が来てくださるような仕事ではないので、毎月毎月、営業社員が買ってくださるお客様を探すために奔走します。メーカーはそんな販売店同士を競争させるためキャンペーンを張りますから、もう販売会社は皆こぞって「今の売り上げの仕事」に全力投球します。そしてキャンペーンが終われば魂が抜けたようになり、また次のキャンペーンになると動き出す・・・といった感じです。

月末になると、むりして「月内の契約を」とお客様に迫る営業担当者。別に、来月になったって誰も困らないのに・・・と思うのですが、前倒し、前倒しの日々。なんだか私にとっては乗り切れない景色でした。

そして、どこかのタイミングで「今の売り上げの仕事」と同時に、「来月、来年、10年後」につながる仕事をすべきじゃないか、という思いが強くわいていました。当時の父の会社に未来を見ることができなかったんです。父が自分で営業しまくる前提ならともかく、父がいなくなった後も、毎月そんな何かに迫られるような仕事の仕方はしたくない、と私は思っていました。

目の前の問題と未来のビジョン

こういった個別の仕事の進め方もそうですが、おそらく跡継ぎ・後継者の方の目の前にはたいてい大きな問題が横たわっていることでしょう。それは例えば、さっきのような「会社全体としての仕事の進め方や戦略に関する違和感」であったり、「今の仕事に対する将来性」であったり、また自分たちの仕事へのかかわり方であったり。私たちは、目の前に横たわる問題を何とかしないと、次のステップにすすめないような気がしてしまいがちです。

かっこの悪い話ですが、私の場合でいうと、親が今一人でやっていることを自分一人で引き継ぐ自信はありませんでした。だからそれを細かく分けて分業にしたいと思いました。そうすることで、自分の時間や責任を少しでも軽くし、できれば自分の時間の使い方として、できた時間を別の仕事に振り分けたいと思っていました。先代のように生涯現場に立つつもりは私にはありません。だからそのような組織にしたいのですが、そういった動きを見せると、それに反発するかのような先代の動きで自分の計画が阻害されたりしてしまいます。

先代は無意識なのだと思うのですが、自分と反対方向へぐいぐい組織を引っ張ろうとしていて、結局、跡継ぎ・後継者と先代の綱引きになりがちです。

こうなると、跡継ぎ・後継者は「自分の考えが現実の経営に活かされない」という現実にどんどん気持ちを持っていかれてしまいます。手段の目的化という話はよくありますが、「将来こうなりたい」という目的のために「今の会社を変えたい」という行動に出ているはずなのに、「今の会社を変える」ことこそが自分の行動の目的になりがちです。

たとえて言うなら、真っ暗な夜道を歩く中で、本当はもっと先をライトで照らすべきなのに、道端に落ちてる小さな石にライトを当てて、そこを凝視しているような感覚です。本当はその先に進むつもりなのに、どうでもいい小石に気を取られているという状態です。

いやいや、小石どころじゃないよ、といいたい気持ちもあると思いますが、もう少しだけお付き合いいただければ幸いです。

「注視」したものには力が宿る

一点に集中すると、そのことだけが重要なものに見えてくるPublicDomainPicturesによるPixabayからの画像

フォーカシング・イリュージョン

よくセミナーで体感していただくのですが、右手にこぶしを作って力を入れてもらいます。その様子を観察してもらうのです。するとわかるのですが、右手のこぶしに力を入れようとすれば、意識を右手のこぶしに集中させているんですね。逆にその場所に注意を払わずに力を入れるというのは、なかなかできないんじゃないでしょうか。

これと同じで、人は注意を払った部分に「力」を宿します。私たちが幸せに暮らすのに、お金が必要だ、ということでお金に注目を注ぐと、お金のことがますます大事に感じます。逆に、何かとてもやりたいことがあって、それができない理由はお金が足りないからだ、という思考に入り込むと、やっぱりお金のことに注意が行きます。お金こそが大事なものだ、と思い込むわけです。

それがだんだんと、「お金さえあれば〇〇できるのに」ということで、もう完全にお金がないことにフォーカスしていきます。結果として、十分なお金が手に入らなければ動かない。いえ、むしろここまで来てしまうと、そこそこお金を手にしてもいろいろと理由をつけて、動かなくなってしまってるかもしれません。

もう少しわかりやすいたとえをするなら、彼氏(彼女)さえいれば、幸せなのに、とおもいつつその努力をしない、というパターンに陥る感じでしょうか。そしてこういう思考に陥った人は、彼氏(彼女)ができれば、できたで、パートナーの浮気が心配だとか、幸せとは程遠い状態になっていくことが多いのではないでしょうか。

心理学の言葉でフォーカシング・イリュージョンという言葉があります。それは、自分が注目したことを過大に評価した結果、それさえあれば成功できるという思い込みです。先代が自分の言うことを聞いてくれれば、お金さえあれば、彼氏(彼女)さえいれば、未来は明るいというものの見方の偏りです。

たいていのことには「プランB」が成立する

かつて、会社の経営上でなかなか根本的に解決が難しいと思える問題がありました。それを解決する情報を、同業他社の社長に聞いても彼も頭を抱えているといいます。私たちと同じような業種の情報が集まるメーカーの人に聞いてもうなるばかり。半ばあきらめていたのですが、業界という狭い枠を飛び出して学びの範囲を広めてみる。あるいは海外のノウハウを集めてみる(大げさに聞こえますが単に海外の著者のビジネス書を読んだだけ)などすると、もうすでに解決している事例がいくらでも出てきたりします。何が言いたいかというと、何かしらの問題を解決するに際しては、検索範囲を広げればいろんなものが見つかるということです。

私たちはどうしても、目の前に置かれた石に気を取られるあまり、「この石をどかさなければその先には進めない」と思いがちですが、決してそればかりではないように思います。ことビジネスに関して言えば、プランBは存在し得ることが多いのではないかと思うのです。

跡継ぎ・後継者という立場にいると、長期にわたるストレスから視野が狭められていることが多いと思います。それは私自身の経験でよくわかります。だからこのフォーカシング・イリュージョンがより強く出る傾向があるようにも思えます。そんな時こそ、一度深呼吸をして、姿勢を正し、目の前の問題を違った形で解決できないかを探してみてはいかがでしょうか。

前半でお話しした私の経験である、「今の仕事か、未来の仕事か」問題は、こっそり未来の仕事をやり始め、社員を巻き込むことで動き出しました。先代は細かいところまで注視していないので、その目を盗んでやりました、ということです。多くの先代はそれで結果さえ出れば、それなりに受け入れざるを得ないのではないでしょうか。

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