自分はこうしたいのに、先代は首を縦に振らない。
先代にはこうしてほしいのに、思ったように動いてくれない。
親子での経営・事業承継では、そんな思いを持つ跡継ぎは多い。
もし先代が自分の言いなりになったらどんなに楽か。
そう思う後継者は少なからずいるのではないでしょうか。
実は、その方法、あるんです。
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Contents
他人を思い通りに動かせたら・・・
心の奥底の願望
誰しも、自分の思惑通りに事が進まない時、ああ、目の前の人間が自分の思い通りに動けば・・・なんて考えることはないでしょうか?
私はあります。
たとえば、ドラえもんが次々と出してくる道具に心惹かれるのは、私たちの心の奥底にあるものを実現するからなのかもしれません。
仕事を始めると、人を思い通りに動かしたい、と感じることは多い。
それが自分と衝突する相手なら、なおさらでしょう。
自分の意見に異を唱える人を、心変わりさせたい。
もし、世の中にそんなスキルがあるとしたら、使ってみたい。
そう考えるのは、私だけではないと思います。
意外と多くの人に知られている人を操る方法
これからお話しするある方法は、実は多くの人が知っている心理効果を活用したものです。
きっとあなたも、その言葉や、心理効果の概略ぐらいは知っていると思います。
そして、あまりに効果が強いため、使用が禁止されていることも・・・。
だんだんとおどろおどろしい話になってきましたが、それほどに強力な効果です。
今まであまりリアルに活用されてこなかったのは、時と場合によっては先ほどのように使用が禁止されていること、
そして一般の場での応用の仕方を考えた人があまりいなかったことが理由ではないかと思います。
それほどまでに強力な(ダーク)スキルを使いこなせるとしたら、面白いと思いませんか?
先代を心変わりさせる方法
映画館でコーラの売り上げが激増した話
この話はあまりにも有名なので、ご存知の方も多いでしょう。
映画等の動画は、静止画像を連続して見せることで、見ている私たちは動画として認識します。
その動画の中に、1/3000秒ずつ、ポップコーンを食べろ、コーラを飲めというスライドを挟み込んだといいます。
映画の中にそんなメッセージを見せられた観客は、あまりにも短い時間のメッセージなので、そんなメッセージがあったことは気づいていません。
なのに、ポップコーンは57.5%、コーラは18.1%の売り上げ増があったといいます。
人が認識できない短時間のメッセージも、無意識に作用し、人をうごかすと結論付けられた実験でした。
当初この実験は怪しげな話として、その効果はないことを証明した実験もあったようです。
しかし、2000年代に入って、一定の条件下においてはこういった効果もあり得るという研究が出始めています。
ちなみに、日本放送協会 国内番組基準、日本民間放送連盟 放送基準においてはこれを明確に禁止しており、海外でも禁止されている国はあります。
このように、人が感知できない方法でメッセージを送り、特定の行動を促すことができるとされる効果を「サブリミナル効果」と呼びます。
BGMで店内の売り上げが変化した話
ところで、お店でかかっているBGM。
どんな曲だったかを思い出せる人は少ないと思います。
しかし、一方でBGMとお店の売り上げの相関関係にかんして、かなり研究されています。
たとえば、ゆったりした店舗のBGMでは客の店内滞在時間が長くなり、売り上げが上がりやすいとか、
ワインショップではクラッシックをBGMに流したときが最も売り上げが増したとか、
フランス音楽ならフランスワインが、ドイツ音楽ならドイツワインがたくさん売れたとか。
マーケティングで有名な、フィリップ・コトラーは「アトモスフェリックス(atmospherics)」という概念を提唱し、
商品購買に合致した雰囲気は、消費者の消費行動の後押しをすることを示唆しています。
二つの話から考えられる人を操るコツ
この二つの話に共通していることは何でしょうか?
それは、「無意識に受け取っている刺激」ではないかと思うのです。
目に見えない速さで表示されるコーラー、
まったく意識もしないBGM、
これら無意識に受け取る刺激から導かれた行動は、あたかも「自分で考えた行動」と感じられるものです。
真正面から先代と意見を交わしてもケンカで終わってしまう。
お互い譲らず、我を通そうとする。
そんなコミュニケーションに疲れたときに検討したいのは、相手の「無意識」に訴えるメッセージです。
なぜ無意識に訴えると、こうも素直に心変わりするのでしょうか?
そもそも人は意識で外の世界に対するバリアを持っています。
これは自分を守るために持っているものです。
そのバリアが働いて、あなたの言葉もはじかれてしまっているのではないかと思います。
しかし、無意識は無防備です。
その無意識に、あなたの要望を耳打ちすれば、相手は思い通りに変わる可能性があります。
具体的な「先代の変え方」
1つのキーワード
この効果を活用するのに重要なのはたった一つのことです。
・無意識に訴えかけるメッセージ
これだけです。
とはいえ、作りこんだ動画を見せる機会というのもありません。
また、BGMは使えそうですが、フランスワインとフランス音楽というわかりやすい組み合わせが実現するほど単純でもなさそうです。
ではどうするか?といえば、環境を整えるということです。
注目しないけど、ちらっと眼に入る事務所のポスターなども使えそうですが、そういう細工もなんだか怪しい(笑)
そこでお勧めなのが、従業員の人が口々に、あなたの考えを語る状況を作ることです。
従業員同士の会話を先代は恐らく聞くとはなしに聞いているでしょう。
これこそが、お店でいうBGMと同じ効果を発揮する「環境」ではないかと思います。
急がば回れ。
先代との直接的なコミュニケーションが難しいなら、あなた以外の人間にあなたの主張を代弁させればいい。
それは特定のだれかではなく、「環境」としての社内の会話です。
社員があなたの言葉を語りだす5ステップ
いやいや、その「社員が後継者と同じことを語る」ということそのものが難しいじゃないか、という方もいらっしゃるでしょう。
実は、これはそんなに難しいことではありません。
以前このテーマで書いた記事がありますが、取り急ぎは以下のステップを参考にしてみてください。
STEP① あなたの考えをきちんと社内で話す機会を作る。
(あなたがそう考える背景を含めてそこそこ時間をかける)
STEP② あなたの考えを象徴する「物語」を社内で共有する。
STEP③ あなたの話を従業員に聞いてもらう時間をつくり、飽きるほど繰り返し伝える。
(当初は、毎週1回くらいのペース。1回当たりの時間は10分程度に収める)
STEP④ だんだんと浸透してきたら、できるだけ短い言葉で相手にわかる方法を考え、伝える。
(この言葉を話せば、従業員は「ああ、あのことだな」と感じるキーワードを設定するとよい)
STEP⑤ あとは時々、そこそこ時間をとって①の話をしつつ、②~④を継続する。
以上です。
難しいことは何一つありませんが、根気は必要です。
なぜこんな回り道をするのか?
気の短い人や、ひっ迫した思いの人にとっては、回りくどい話に聞こえるかもしれません。
しかし、きっとあなたは、先代と直接交渉をしてもう何年も、変化がない状況にいらっしゃるのではないでしょうか?
毎回、話し合いをすれば、ケンカで終わる。
そんなことを何年も、下手をすれば何十年も繰り返している・・・とすれば、そろそろやり方を変えるタイミングです。
さんざん煽ったわりには、社員に語れというのか?と批判される方もいるかもしれません。
しかし、後継者の役割の一つは、社内をまとめることでもあります。
社内をまとめることで、先代VS後継者という構図からの変化を見込めます。
そして日々社内で交わされる会話の変化は、びっくりするほど先代の言葉の変化に現れてきます。
先代の行動が変わるのはそのあとですが、「アトモスフェリックス(atmospherics)」という言葉を思い出してください。
人の行動は、雰囲気で変わります。
もちろん、指をパチン!と鳴らした瞬間に変わる、というほど劇的ではないかもしれません。
しかし、少しずつではありますが、着実に変化を実感できるはずです。
気が付けば、先代があなたの言葉を語っていた。
そんなこともあります。
この方法の問題点
実はこのやり方にも問題点があります。
その問題を象徴する、私と先代とのやり取りをご紹介しましょう。
父「これからの我々の業界は、こんな風になっていくんだろうな」
私「ええ。そうですね」
父「やっぱり、会社をこうしていかないといけないな」
私「私がもう何年も前から言ってたじゃないですか」
父「そんなこと言ってたか?それはそうと、ワシは自分で考えたんや」
私「そ、そうですか」
・・・と、あまりにも自然に捜査された相手は、「自発的考え」という結論に至ってしまうだけに、いいとこどりをされてしまいます(苦笑)
けど、見てる人は見ています。
従業員は、あなたが信念のもと、しつこく言い続けたことを知っている証人です。
その過程は決して無駄ではありません。
ただし、あまりにも効果的なので、悪用厳禁です。
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