後継者・跡継ぎがマスターしたい言葉「ええんちゃう?」

様々な後継者と知り合い、さまざまな後継者の悩みを聞く中で、ああ、きっとこうすれば楽になるんじゃないかな、ということをお伝えしたいと思います。

それは
「ええんちゃう?」
という言葉を使いこなすこと。

標準語でいうのなら、「それでいいんじゃないでしょうか?」という感じでしょうが、何となく関西弁のほうがニュアンスがしっくりくるので、あえて「ええんちゃう?」です。
ここには割と深い意味があるので、気になる方はぜひ続きを読んでみてください。

 

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強い衝動を持った親をもつ後継者・跡継ぎ

Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像

経営者は「普通ではない」!?

親の会社を継ごうという、後継者・跡継ぎにとっては、当然ですが、親は経営者です。そして、経営者というのは、たいてい普通の人ではありません。普通の人ではないというと語弊がありますが、昭和の時代の一般的な感覚として、学校に卒業すればどこかの会社なり商店に勤めるのが多数派なわけです。しかし、会社を興すとか、親(私たちからすれば祖父母)から会社を引き継いだとかしていたとするなら、一般的なルートからは外れた人たち、といえるのではないでしょうか。

団体行動を行うことはそれはそれでエネルギーがいる話ですが、団体を外れた独自路線を行くのはこれまた別のエネルギーが必要となります。そういう意味で、経営者というのはまあ普通ではない道であり、普通でない精神面を持っている、と考えても違和感はないのではないでしょうか。

経営者のエネルギーの源

独自路線を行く経営者ですが、この経営者という立場はすごくいいものなのでしょうか?確かに一般の社員より自由度は高く、収入もそこそこ取れるかもしれません。しかし、何か社内でもめ事があれば責任を取るのは経営者だし、会社のお金が足りなくなった時、自分の個人資産を差し出したり、銀行や知人に頭を下げていくのも経営者。今のように新型コロナウィルスで会社の営業が立ち行かなくなっても、一般社員にはいろんな保障はあるけど、経営者には何もなかったりします。

大企業の社長ならいざ知らず、中小企業の社長というのは、割に合わないことが結構多いのではないかと思うのです。だから最近は、なり手がいないのでしょう。

それでも中小企業の経営者をやっていくというか、その地位を持ち続けたいという人はいるわけです。高齢になってもハンドルを離せない経営者は今や日本の社会問題でもあります。じゃあ、そのエネルギーってどこからきているのでしょうか。

心理学的にはそれは、自己否定のエネルギーといわれることがあります。

自分は価値のない人間である・・・?

経営者の多くは、「自分は価値のない存在」というところが心理的な起点になっている、という研究者が複数います。何かしらのコンプレックス(多くの場合は親子関係からもたらされる)を持っていて、そのコンプレックスをカバーするために頑張るわけです。そしてコンプレックスを人に見せず、強い人間であるということを周囲に見せようとします。あるいは、自分が有用な人間である、ということを周囲に見せようとします。

これは私を例にとって説明しましょう。私はもともと、どちらかというと繊細さを欠く人間です。とにかく凡ミスが多いのです。たぶん、このブログの中にいくつも誤字脱字を見つけられてると思うのですが、そういう人間が元の私です。しかし、幼少のころから、まずそういうどんくさい人間は、価値が低いと思い込んできました。そして自分がそのどんくささを持っているので、それは絶対に人に見せてはならないものだと感じていました。(当時は自分でそうしているとは気づいていませんでしたが)だから、異様にどんくささを露呈させないため、動作が慎重だったのです。

人前で失敗をさらすなどということはしたくないわけです。結果として、初めて何かをする機会に恵まれても、すぐに「やりたい」とは言えない子供になりました。誰も見ていないところでこっそりチャレンジするタイプ。そうやってこっそり練習した後の完成形以外は人に見せたくない子供でした。

それは成人しても、仕事においても同じ傾向がでてきます。どちらかというと、大胆なアイデアを実行したいタイプにもかかわらず、仕事上ではどんくさいミスをしないよう、小さくまとまっていた感じが強かったように思います。

私もまた、自分には価値がなくて、価値のある状態を人に見せなければならない、と必死に生きていたことを記憶しています。

他人をコントロールしたがる人の背景

物事を正誤で判断するクセ

さて、このように自己否定の強い人の特徴に、物事を正誤・善悪で判断しようとする傾向があります。私自身もそういう傾向があったのですが、自己否定が強い人は自分が必ず正しい、と思い込みたいのです。だから会社でいうと、何でもかんでも自分の意見を通そうとします。また、何かをするときに、自分が指導した手順を部下が勝手に変えると怒り出したりします。部下の人たちからすれば、同じ結果が出ればいいのに、とおもっても自己否定の強い上司はそれを許しません。

これはなぜかというと、自己否定の強い人は自分で自分を信用していません。だから自分の考えよりも、周囲から信じ込まされた価値観で生きていることになります。その信じ込まされた価値観というのが、たとえば不倫はいけないことだとか、子育てはこうあるべきだとか、礼儀作法はこうあるべきだとか、そういった〇〇すべき、〇〇であるべき、という社会的な儀礼を重んじます。自分ではなく、世間様の言うことが大事、ということです。

だから部下にとって大事なのは、上司である自分の言ったことであり、部下も自分のように「自分の意見より、上司の意見を重視せよ」という感覚を持ちがちなわけです。

自分を否定しているのに、他人に対しては、自分サイコーって何ともややこしい話なのですが、常にそういう人間関係が身近にありますので今度ぜひ意識してみてみてください。あるいは、先代であるお父様お母さまもそういった方であることもあるかもしれませんし、自分がそうであることも疑ってみてください。

「判断」を辞めてみる、というワーク

こういう状態に陥っている時、本人の目には明らかな正解が見えていることが多いのです。それは自分が考えていること、自分が感じていることが絶対的な正解であり、自分以外の意見も感覚もすべて間違いである、という状態なのです。だからたとえば、自分は後継者なんだからこういう権利を持っていてあたりまえだと信じ込んだとします。じゃあ、それを渡さない先代は、ダメなひとなわけです。こういう後継者の口癖は、「普通なら」とか「常識的に考えて」という言葉。これは、個別の判断ではなくて、世間一般の多数意見だと思っていることを、自分にとっての正解だと思い込んでいる証拠です。ちなみに、その後継者が思い込んでいることが、世間一般の多数意見でないことも結構おおいです。自分に都合のいい「一般論」を展開して、自分は正しい、という判断に縋りついているようにも見えます。

この時に自分の外の世界では何が起こるかというと、まず、社員との関係性はかなりぎくしゃくしてきます。後継者としての自分は、社員のことを信用できないのです。なぜならば、自分の言った通りのことを言った通りしないし、自分が考えていることを考えている通りにしないからです。こうやって言葉にすればなんとわがままなのか、と思うのですがそういう思考に入っている時、自分ではその無茶ぶり加減がわからないことが多いのです。

先代である親との関係も、いわゆる親子の確執のピークに至っているかもしれません。なぜなら、親も子供をコントロールしたいと思っているし、後継者も親をコントロールしたいと思っています。お互いがコントロール合戦を繰り広げるわけですから、目も当てられません。某家具販売会社の親子の確執もそんな状態じゃなかったかと思います。

こういう際に有効な方法として、元ソニー幹部で今は天外塾などで経営者を中心に勉強会を開く天外伺朗さんは、「すべての判断を辞めてみよ」ということをすすめています。雨が降った。これを雨が降っているという事実だけを受け入れ、良いとか悪いとか判断しないのです。会社で顧客とトラブルが発生しても、社員が何かしらの不祥事を起こしても、良しあしの判断をするのではなく、ただ「ああ、そんな事件が起こったな」ということで、フラットに受け入れる練習をするのです。

親に何かを強制されたなら、「ああ、親はこうさせたいんだ」とフラットに受け止める。

それに従うかどうかはいったんおいておいて、事実として現実を受け入れていき、誰のせいにもしない(もちろん自分のせいにもしない)という癖をつけるトレーニングを行います。

何が起こっても「ええんちゃう?」

さて、やっとここで冒頭にお話しした「ええんちゃう?」の登場です。実は、起こるすべての物事に判断をしない、といっても結構これ、難しいものです。その時に私の個人的なおすすめとして、自分の判断が沸き上がってくる前に先に「ええんちゃう?」って言っちゃうのです。何かがおこったらひとまず、「ええんちゃう?」という仮判断をするんです。

親が何か自分にとって気に入らないことを押し付けてきた!
「ええんちゃう?」
ときたら、何がええねん!?ってなりますよね。
判断を固定する前に、いい意味と悪い意味を思い浮かべることになるので、あ、そうそう、判断したらダメなんだ、ということに気づくのです。

ほかにも、例えば社員が何か自分の支持と違うことをやらかしてるぞ、というのを見たときすぐに不快な気持ちになる前に、「ええんちゃう?」って心の中で呟いてみる。すると、売り言葉に買い言葉で「何がええねん!?」ともう一人の自分が反発します。そこで、ああ、そうそう、判断したらダメなんだ、と気づくわけです。

これは外に向かって言っていただいてもOKです。誰かが新しいことを試したいと言ったとしましょう。「ええんちゃう?」と言えば、ああなんと器の大きな人か、と思われるに違いありません。
部下の提案でもとりあえず、「ええんちゃう?」です。余計な干渉をせずに、じゃあやってみなはれ、ということです。責任は俺がもつから安心してね、という覚悟があれば言うことなしですね。

まあ、関西弁にしたのは何となく響きがいいからなので、ご自分の言葉にアレンジしていただいてもいいですし、言い方によっては投げやりに聞こえるかもしれないのでそれは一定の配慮は必要かもしれません。細かいニュアンスはともかくとして、自分に対しては、なにがおこっても「ええんちゃう?」です。これを数か月も続ければ、かなり人が変わっていることは保証します。

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

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