家業を継ぐ後継者・跡継ぎが必ず持っている未来への種

親の会社を継ぐ、という行為。
美談めいた話に仕立てられる時もありますが、どちらかというと、お家騒動や跡取りの不適合のようなゴシップネタっぽい取り上げられ方をすることが多いと思います。
とくに、実際に家業を継ごうと親の会社に入った方は、だんだんと当初のやる気が消えていくような出来事に遭遇する人も多いのではないでしょうか。

とくに、日本社会がどんどん伸びていた時期ならいざ知らず、自分の代になってから日本経済は停滞。頑張っても頑張っても努力が評価されにくい。
こういった中で、投げ出したくなる後継者・跡継ぎは多いと思います。

しかし一方で、私たちは結構恵まれている一面もあるのではないでしょうか。

 

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中小企業の後継者が求められている役割

本当に会社を存続させることが目的なのか?

親の思いを継ぐ。ざっくりいうと、そんな感じで親の会社に入社した方が多いと思います。そこで意識したいのが、私たち後継者・跡継ぎのゴールです。親の会社を引き継ぎ、それなりに安定した経営をおこない、未来につなげていければいい、というのが一般論だと思います。ところが、「継続」することを目的にすると、往々にしてミスジャッジを行うことになります。

たとえば、2020年5月現在、新型コロナウィルスの影響で世界中の人たちが活動自粛を強いられています。活動自粛はすなわち、経済の停滞を意味します。この状況下で、ビジネスとして成り立たなくなってきている会社が少なからずあります。もし、後継者のあるべき姿が「親から継いだ会社を継続させること」にあるとすれば、きっと莫大な借金を抱えて、自らの報酬をカットしつつも従業員を守る、という世間に迎合した行動に出ることになるでしょう。仮に、経営が立ち行かなくなった時、後継者・跡継ぎは莫大な借金を抱えて倒産・・・なんていうシナリオがうっすら見えてきます。このような状況下で、ある経営者がこんな書き込みをSNSにしていました。

ビジネスとして成り立たなくなったものに固執するのではなく、早い目に見切りをつけて次のステップを踏み出すべき

私も仕事の中で、「あと少し」と頑張る経営者が借金を増やし、最終的には会社を守ることができず、路頭に迷ってしまうような現実を目の当たりにしたことがあります。今回は、新型コロナウィルスによってかなり社会が加速化されたのですが、もしかしたら遅かれ早かれダメになるところはダメになっていたようにも思います。延命と仕切り直し、非常に難しい選択ではありますが、場合によっては手放す決断が必要なこともあるのではないかと思うのです。

そう考えると、私たち後継者・跡継ぎの役割は、会社を存続させることを目的としているわけではないように思うのです。

後継者・跡継ぎの果たすべきたった一つの役割

後継者・跡継ぎに関して言えば、何かと雑音が入りやすいので本来目指すべき方向がわかりにくい、というのがあります。会社を存続させるべき、というさっきの「常識」しかり。ほかにも、人格形成が必要であるとか、会社をまとめることが必要とか、決算書を読めなければならないとか、戦略を学ばなければならないとか。もちろんこれれが必要になることは多々あるのですが、それはあくまで手段であって目的ではありません。

後継者・跡継ぎは、手段ばかりを外野から「学べ」といわれて、本質的な目的を提示する人は誰一人いないのです。なぜかというと、外野の人たちも、後継者・跡継ぎの本質的なあるべき姿を知らないからです。

また、「後継者」、つまり後を継ぐものという言葉からも、印象としては守り継いでいくイメージが強いのではないかと思います。これが家督の話ならそれもありですが、私たちのテーマは企業です。

では、企業の目的というのは何なのでしょう。
著名な経営学者のP・F・ドラッカーはこう喝破しています。

企業の目的として有効な定義は一つしかない。
すなわち、顧客の創造である。

この言葉を、私はこう解釈しています。
企業とは、新たな価値を顧客に提示し、それが受け入れられることで新しい市場を創造し、よりよい社会を作ること。

つまり、後継者・跡継ぎの最終的な目的は、親の後を無難に次ぐことではなく、世に新たな価値を提案し続けることなのではないかと思っています。

後継者・跡継ぎが恵まれている点

後継者・跡継ぎでなくとも、企業に勤め、ビジネスを営む以上、この原則は基本変わりがないはずです。逆に、この原則から外れると、その企業は衰退を始めるのだと思います。たとえば、日経ビジネス社の『会社の寿命』では、100年にわたる日本のトップ100社のデータを分析し、いくつかの結論を導き出しました。そのうちの一つが、本業比率が70%を超えると、企業は衰退を始めるというのです。

これはすなわち、「新たな価値提供」を怠り、現在の主力商品に頼り切った結果でしょう。

実はこういったコントロールを大企業の社員は自分で行うことができません。しかし、家業の後継者・跡継ぎは比較的経営コントロールができる中枢に近いところにいるはずです。確かに親とあわない意見があることも多いでしょうが、大企業のようにたくさんの組織のヒエラルキーの中で承認を得るより、随分近道なはずです。

そして、一般の起業家と違うところは、私たちには先代が作ってきたリソース(資源)がある、ということ。会社そのものもそうですが、熟練の社員や、機械設備など。これをうまく使えば、目的に対してショートカットできることもたくさんあるでしょう。

シンプルに表現するなら、これらのリソースを使って、これからどんな新しい価値を提供できるかを考えればいいのです。新規事業立ち上げという形になるかもしれないし、今の事業に一つ手を加えるだけで終わるかもしれない。あるいはいったん今の会社に区切りをつけて、違う事業に手を付けることかもしれません。それは人によって様々でしょうが、制限しない形で発想を広げていってもいいと思います。

ただ、後継者・跡継ぎの傾向として「親の作ったものは使いたくない」という反発心を持っているケースもあります。この理由なき反発心での判断は慎むよう気を付けたほうがいいかもしれません。

後継者・跡継ぎは、親と同じ「タネ」を持っている

ComfreakによるPixabayからの画像

中小企業経営者の特徴

ところで、中小企業のオーナー経営者というのはどういう人たちでしょうか。ちょっと気が短いとか、自慢話が好きとか、頼られ好きとか、ワンマンとか、いうことがころころ変わるとか、いろんな目に見える共通点はあるかと思います。ただこれを心理学的に分析した人がいて、何人かの専門化がこういっています。中小企業の経営者というのは、自己否定の感情が強いのだそうです。自分は価値のない人間である、という根本的な思いがあって、それを人に見せたくない。自分は価値のない人間だから、何かしらの成果や実績を積まなければ認めてもらえない。そんな風に思っている方が圧倒的多数です。
シンプルに表現すると、自分は欠陥があるというコンプレックスをばねに、人一倍努力して、経営者の地位を得ている、ということです。

自己否定の強い人(あるいは自己承認の低い人)は、他人をコントロールしようとします。なぜかというと、他人が自分に従うことは、他人から自分が認められているかのような錯覚を得られるからです。だからおそらく、そういった経営者の会社は社長の独裁政権だと思います。怖くて社長に意見する人はいないなか、反抗する後継者・跡継ぎはある意味、かなり目立つ存在と言えるかもしれません。

自己否定の強い親は子供に干渉したがる

そのように自己否定の強い(あるいは自己承認の低い)親に育てられると、子どもは親に干渉される傾向が強くなりがちです。まだまだうちの子には早い、とチャレンジを阻まれたり、高圧的に(たぶん親は高圧的に言っているつもりはないのですが)子供の進路を強制したりしがちです。なにより、せっかちなので子どもが悩んでいる状態を待ちきれず、さっさと親が決断を下しがちです。そういった環境で育つ子供は、自分は何もできない人間だ、というやはり自己否定の強い人間に成長する傾向があります。

実際に私もそういったところがありました。高校時代はアルバイトをしたいと言いましたが、学校で禁止されているからダメと言われます。ご存知の通り、高校は高速ではアルバイト禁止でしたが、みんなそれを守ってはいなかったと思います。けど、私はダメ。これはある意味、箱入り息子だったんだと思います。まあ、その反動で、高校卒業してからはいろんなアルバイトをしたのですが・・・

話を元に戻すと、自己否定の強い親は、大人である自分と子どもを明確に分離することで、一種のマウンティングを行います。そのけっか、常に親に白旗を挙げるのは子どもで、そういった子供も自己否定が強い形で大人になります。実際に、後継者・跡継ぎを見ると、皆さん育ちがいいというか、「いいひと」なんです。それは「いい人でなければ愛されない」という思いがあるから、自然と「いい人になる振る舞い」をしているのです。自分ではそのことになかなか気づけないのですが・・・

後継者・跡継ぎは企業家として育っている

こういった心理背景を見て、何が言いたいのかと言えば、実は、先代である親も、後継者・跡継ぎも同じ種を持っている、ということです。それが、自己否定の強さです。起業家はこのコンプレックスをバネにして起業する、と先に話しました。後継者・跡継ぎも同じものを持っているわけです。欠けた自分を補うために、何かに対して一生懸命になる力を持っているはずです。この思いは、日頃他人に見せている「いいひと」な自分ではないことが多いように思います。その本性を引きずり出すことができれば、きっとかなりインパクトのある人生を歩むことになるような気がするのですがいかがでしょうか。

ここで、本稿の内容を少しまとめてみましょう。ポイントは以下の3つです。
①後継者・跡継ぎの役割は、新たな価値提供を行うこと
②経営者の原動力は、自己否定というコンプレックスである事
③後継者・跡継ぎもまた、先代と同じ自己否定の心を持っている事
つまり、親の会社を継ぐに際して、後継者・跡継ぎはできるかできないか、という考え方より、自分の能力を発揮できるかどうかが正しい考え方ではないでしょうか。

たしかに、親のやった会社をその通り引き継ぐなら、できるできないはあるでしょう。
しかし、自分の能力を引き出すことに失敗もくそもありません。会社を仮につぶしたとしても、自分の良さを引き出して、世に新たな価値を問うことができれば、社会という大きな枠組みで見ればOKなわけです。
だからあえて、会社を継ぐということにこだわりすぎないほうがいいのかもしれない、と私は現時点で思っています。ただ一つ重要なのは、親が社会に様々な価値を提供してきたように、私達も何かしらの価値を社会に提供するという道。これさえ外さなければ、私は細かな点にこだわる必要はないと思っています。

人によっては暴論に聞こえるかもしれませんし、雇用を守れ、なんて声も出てくるかもしれませんね。
けど割り切って考えたとき、人の生活や人の幸せを私たちが約束するなんて、おこがましい話です。人は自分の幸せは自分でつかまねばなりません。後継者・跡継ぎだって同じで、自分がどんな幸せを心に描くのか、そしてそこにどんな道のりを辿って到達するのか。そういう根本的なことを考えて行くことから始めるべきではないでしょうか。

私達は何でもできます。
なにしろ、先代譲りの起業家のタネをこころに宿しているのですから。

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