後継者

後継者が人生のつまづきを感じているとしたら知っておきたい考え方

今まではこんなことはなかったのに・・・。
人生で初めてと言える挫折を感じる。
それが、私が親の会社に入ってから数年間、ずっと頭から離れなかったことです。

なにしろ自分がやるべき仕事は今一つ前に進まないし、
親にも周囲の人間にも認められない。
なんとか人から認められる自分でありたいと思い続けていた当時の自分。

学生時代には多少いじめられた経験とか、友達とケンカしたとか、成績がイマイチだったとか、
いろいろと問題はあったものの、それほどの閉塞感を感じたことはありませんでした。
学生時代は必ず1年ごとに区切りがあったし、環境も変わりました。
だから1年我慢すれば、身の回りの問題もリセットされることが多かったように思います。
しかし、社会人、しかも親の会社を継ぐ立場として親の会社に入った時、環境は未来40年近く変わらないものと考えられます。

環境の変化で今の苦しい状況から逃げられない、という重みが自分の事にのしかかってきたような気がしました。
そんな中でもがいているなかで分かったこと。
それは、環境が変化するのを待っていても、何も起こらないという事。
困りごとがあるとき、それは自分の変化のタイミングである、という事だと今は確信を持って言えます。

 

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人生の節目に現れる変化の兆し

大抵はうまくいかないことから成長は始まる

親の会社に入社して、今まで感じたことのない閉塞感や、無力感を感じ始める。
そんな経験をされている人はけっこう多いと思います。
私自身もまた、はじめの10年くらいはかなり厳しい心理的環境にあったように思います。
次の10年くらいはもう少しましだとはいえ、それでもなんだか重いものを常に背中に背負ってきたように思います。
そしてやっと光が見え始めたのは、次の10年の半ばくらいからでしょうか。

ええ、30年もかかるの!?と思った方、そこはご安心ください。
私は物事の本質に気付くことができなかったため、30年近くかかってしまいましたが、私のいう事をある程度真摯に受け止めていただければ比較的早くいろんなことが吹っ切れてくるんじゃないかと思います。
これから、そのコツをお伝えしたいと思います。

さて、みなさん目の前にある問題。
きっとそれは様々かと思います。
親が頑固で話が通らないとか、
社員が自分に従わないとか、
会社の未来が不安とか、
自分はこれから何をどうやっていいかわからないとか、
挙げればきりがないことと思います。

いろんなことが複雑に絡み合って、一つみなさんに共通することはこういうことではないでしょうか。
自分が進むべき道が見えない
ということ。

あっちに進もうにも、それを遮る考えが浮かび、
こっちに進もうと思っても、そっちは無理、という考えが浮かび、
それならそこへ行こうと思っても、誰かが通せんぼをする。
そんな感覚をお持ちではないでしょうか。

すすむべき道を限定しているのは誰か?

私が、「もう、どうやっても行けるける場所がない」と感じたとき、今の自分が考えたら本当に行先はなかったのかを振り返ってみます。
すると、無限の可能性があるじゃないか、と思ってしまうのです。
状況は同じなのになぜ違う見込みを感じるのか。
それはいくつか理由があると思います。

一つは、冷静になってみたからわかる事があります。
たとえば、ちょっとした感覚のずれで、車のアクセルをベタ踏みすることになったとしましょう。
冷静ならきっと、アクセルから足を話して、ブレーキに乗せ換えればいい、という事はわかるはずです。
しかし、車のエンジンが急に高回転を始めたら、気が動転してそんな基本的なことさえ対処できなくなるのは高齢者だけではなく、良くある話です。

冷静になれば、テンパっていたときには思いつかない対処法を思いつくことがあります。

二つ目は、環境は自分に都合よく変化しないことを悟ったこと。
問題がおこった時、ひとは得てして「問題その物を取り除こう」としがちです。
しかし、世の中においては、突発的な問題をゼロにすることはできません。
それと同様に、何事も都合よく環境を変えることはできないという事を知れば、余計な期待をしない分、自分を動かさざるを得なくなります。
そして、周囲ではなく、自分が動く決意をした時初めて人は成長を始めます。

三つ目は、二つ目で少しお話ししたとおり、成長したからです。
自分は過去30年間の間悩み、苦しみ、なんとか自分の周囲の環境を変えようと必死にもがいてきました。
それは30年の歳月を経ても成就することはありませんでした。
もちろん今の新型コロナウィルスの影響が出た世界のような劇的な変化が起こることもあるかもしれませんが、そんな事はわたしの50年の生涯で初めてです。
そんな変化が起こることを期待するのはいささか可能性は薄すぎる事でしょう。

冷静になれ。
周囲を変化させるのは難しい。
周囲ではなく自分が変われ。

この三つがかわると、視える世界はまったく変わってくるのです。

私が後継者としての役割に覚悟を持てたキッカケ

やらなければ、からの脱出

私が親の会社を継いで以来、仕事の実務においても、会社の経営においてもずっと自信を持てずにいました。
未だその思いは少なからずあります。
しかし、親の会社に入社して30年が過ぎる過程で、ある日私は切れました。
親との対話の中で、私は切れまくり、親に暴言を吐き、もうどうにでもなれ!と叫びました。

まあ、そのキレたという事は真似をしないでほしいのですが、何が起こったかというと、
「もう、優等生な後継者にならなくていいんじゃないかな」
と自分に、劣等生でもいいよ、と許可を出したんです。

なんだか、たったそれだけのことで、すっと心が軽くなったような気がしたのです。
いえ、別に周囲の様子が何か変わったというわけではないのです。
それでもそういう覚悟というか、踏ん切りというか、ある程度の割り切りというか、そういうものを自分の心に持つだけで驚くほどみえる世界が変わりました。

考えてみれば、後継者の方というのは責任感の強い方が多いように思います。
だから、あれも、これも、あっちも、こっちも、自分一人で何とかしなきゃいけないと思いがちです。
さらに言うなら、自分の得意でない分野がある事が、そもそも後継者として失格という思い込みを持ちがちです。
けど、常識的に考えてみて、経営者という様々なスキルが要求される場に立つとはいえ、弱点ゼロとか、ありえないと思いませんか?
後継者というのは、ありえない自分をひたすら目指し続けて、自分を苦しめているのです。

そのことに気付いたときに、フッと、背中に乗っている重いものが外れたような感覚を感じ取りました。

やりたいことをやればいい、への変化

もう言い古された話ですが、私達の動機は主に二つに分かれます。
一つ目は、苦痛から逃れるための行動。
二つ目は、快を求める行動。
これをざっくりと言い換えると、苦痛から逃れるための行動は、「外部の要因から来る行動」で、後者は「内から湧き出る思いから来る行動」です。
シンプルに考えてみて、後者が精神衛生上よさそうなことは明白です。

しかし、私たち後継者の多くは、前者の行動原理で動いています。
それは例えば、後継者だから〇〇しなくてはならないとか、〇〇出なければならないとかですね。
英語で言うmustな状態です。
ところがよく見てみると、親である経営者だってそんな経営のセオリーを常にしっかりと学び、実践してるとはいいがたいと思います。
人と比べてどうこうすることに意味はありませんが、〇〇しなければならない、という思いが出れば、すべてを疑ってみましょう。

営業しなければならない、となれば
それは本当か?と問いましょう。
イヤイヤ営業しなきゃ倒産してしまう、と思うかもしれません。
じゃあそれは違う方法はないのか、自分の得意な方法ではできないのか。
色々と考えは広がっていきますよね。
また、経営者として会社で長時間働かなければならない、という考えがあったとして、それは本当でしょうか?

そういった世間の押し付けめいた(実は自分が自分に押し付けている側面もありますが)、強制を全て疑ってみると、意外と世の中の常識は怪しいこともよくあります。
そもそも常識だったり、こうすべきである、と自分で考えている事は、自分が求めている事だとは限りません。
自分がやりたいこと、本心からやろうと思うことと、世間体を気にしてやることを天秤にかけて、世間体を重視して自分をないがしろにする状態が、後継者の苦しい信条に影響を及ぼしているのではないでしょうか。
自分はとるにたりない人間だから、自分の考えよりも誰かのいう事の方が正しい、と考えている可能性が高いと思います。

それで会社をかじ取りできるならそれでもいいでしょう。
しかし、そううまくいっていないから悩むわけです。
ならば、うまくいく方法は別にあるのかもしれません。

その結果、うまくいってもうまくいかなくても、自分としてそれなりにやり切った感のある方法がいいな。
そんな風に思い始めたのは、自分にとっての大きな変化です。

上手くいかなかった方法を捨ててみよう

苦痛から逃れる行動はうまくいかなかった

少なくとも私に関して言えば、苦痛から自分を遠ざけようという行動はことごとく失敗しました。
自分が会社の責任を全部担うのは重いから責任を社内に分散させようとしました。
これは、結局社内に浸透する前に、親がその試みを無効化してしまいました。
社内外で起こるトラブルをゼロにするため、厳格なルールをして社員をコントロールしようとしました。
これも社内からの不満噴出でとん挫しました。

どれもこれも、今から考えれば「降りかかる火の粉をいかにして払うか?」という考えが中心にあったように思います。
こういった考えを持ったまま私は何十年も、後継者としての苦しみから逃れようともがいてみました。
しかし何ら変化は起こりませんでした。

それもそのはずで、自分の悩みを解消するために「延々と同じ対処法を繰り返していた」ということです。
何年たっても解決しない問題、一度解決したかのように見えて解決しない問題があるとすれば、こう考えてみてください。
それは、解決しない方法を繰り返しているのではないか?と。
本当の解決策は、次元の違うところにあるはずです。

そして打ち出したのは、もうそんな常識を一切無視した自分流の会社の経営の仕方。
これがうまくいくかどうかなんてわかりません。
けど少なくとも、私自身は、それなりに熱中できるようにはなりました。
会社にいる時間が「人生の無駄遣い」と感じていた若いころから比べるとずいぶん雰囲気は変わっています。

「やりたい」と思える経営を試してみよう

ふと少し距離を取ってみてみると、不思議なことに、私達はけっこう自由なことに気付きます。
親の会社を継がねば、なんていう思いにとらわれていたけど、高い視座から見れば、私達が本気で断ろうと思えば断れたはずです。
今でも会社を辞めたいというなら、本気で辞めたいと思えば辞められるはずです。
どちらもしないとすれば、それは「保身」の心が働いているからです。
周囲から冷たい目で見られたくないとか、会社を辞めて他所で働く決心がつかないとか、そういう保身の心が選択肢を狭めています。

では、なぜそんな保身の気持ちが湧き出るかというと、本当にやりたいことというほどのものでもないからです。
会社を辞めたい人が本気で辞めたいと考えれば、今すぐ辞めます。
それができず、「社員のことが」とか「親のことを放っておけない」とかいうのは、あくまでいいわけです。
相手の人生は、その人が考えればいいこと。
自分はどうしたいかを明確にしましょう。

人は自分がやりたいと思ったことにしか熱中することはできません。

だから、後継者として頑張るというなら、自分がやりたいと思う経営をする決心をしてみてください。
親や周囲の人には、ボロカスに言われるかもしれません。
社員には愛想を尽かせるかもしれません。
場合によっては会社を失うことにもなるかもしれません。
けど、それでもなおやりたいことがあるというなら、そんなに幸せなことはありません。

私たち後継者も、大事なことは、私達が生まれてきたのは幸せを感じる為です。
そして幸せは、一生懸命な状態にあります。
一生懸命な状態を作るには、好きであること、高めのハードルがある事、そして自分に相応のスキルが備わっている事です。
是非そこを目指してみませんか?

私達は、親の会社を継ぐために生まれたのではなく、精一杯人生を楽しむために生まれてきたのですから。

 

 

  

 

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