後継者が自分の会社の強みを見つける

私は15年ほど前、親から引き継いだ会社をどうやって行くか迷っていました。
たぶん、今の状態を維持していても、長期的には存続が難しい。
戦略変更を行うにしても、どんな道をすすめばいいのかが今一つ思い浮かばない。
そんな時にいろんな勉強をしていて、「USP(ユニーク・セリング・プロポジション)」という言葉を知りました。
簡単に言うと、自分の会社の「ウリ」です。
しかし、言語化できるウリなんて・・・
そんな風に悩んでいた時期がありました。

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いろんな経営の教科書で、「会社の強みを発揮しよう」とか、「強みで勝負せよ」とか書いてあるのを見つけます。
では、自分の会社の強みってどこにあるのでしょう。
いろんな業界があって、いろんな考え方があるのでしょう。

例えば、私の父が創業した保険代理店の業界では、業界内ではだいたいこんなことが言われていました。
①プロとしての高い知識
②コンプライアンスの徹底
③顧客への情報提供
こういったことを高めることが、差別化になる、と言われていました。

ただ私は少し首をかしげました。
まず、一般のお客様は、わたしたちの知識レベルを測る物差しはもっていません。
たとえば、A社のアドバイスと、B社のアドバイス、どちらが高い知識をもとに行われているかを正確に判断することなんてできません。
プロ同士でもわからないことを、素人に見分けられるはずがありません。

二つ目のコンプライアンスについては、これを外せば会社の持続性がスポイルされる可能性があります。
しかし、法律にガチガチに動く会社が必ずしも顧客にとっていい会社と言えるかどうかは微妙です。
具体的には、保険に関しては、お客様に渡す文書はかなり厳しい規制を受けています。
その規制に則って書類を作ると、ご存知の通りの「枠外の『注』をすべて読まなければ全貌がわからない」「理解できない専門用語の羅列(お客さんが理解しやすい言葉を使うと待ったがかかるのです)」といったわかりにくい書類が出来上がります。
私達が、より分かりやすく、お客様に関係する部分だけの書類を作ると、法的にはアウトになることが多いのです。
ただグレーゾーンも存在していて、業界の中で優秀とされるのは明確な白以外には手を出さない。
一方、本来的にお客様としての分かりやすさを重視するなら、黒に近いグレーにまで踏み込んででもわかりやすい説明をしようと考える会社もあります。

これは、税理士で例えるともっとわかりやすいかもしれません。
とにかく後で指摘されないように多めに納税させる税理士と、
知識をフル稼働させてできるだけ納税額を減らし、現金をクライアントの手元に残そうとする税理士と、
どちらを選ぶか、という事にちかい。

そして顧客への情報提供というのは、まああったらいいな、という話ですが、それが全て顧客が価値を感じない情報ならウザいだけです。

 

ということで、業界の中で「差別化要因」と考えられていることは意外と、顧客から見たときにオイオイ、と言いたくなるものであることも少なからずあります。
差別化を考えるとき、単に同業者と見比べるだけでなく、その差別化はお客さんがもろ手を上げて喜ぶものか?というフィルターを通す必要があります。

 

じゃあどうすればいいか、という事で、私は顧客アンケートを取りました。
「数ある同業者の中で、なぜ当社を選んでくださったのですか?」と。
これは、「迅速な対応」「安心できる」「確実な手続き」などという言葉が並びました。
当初はそれなりに嬉しかったのですが、改めて考えればこれを裏返せば「そうしなければ叱られる」という内容です。
つまり、やって当たり前の事しか褒められていない。
これは、弊社独自の価値を提供できていないのではないか?と感じざるを得ませんでした。

もちろん本来的には、自分たちの会社をひいきにしてくださっている以上、何かしらのUSPはもっているはずです。
しかしそれを言語化してくださる顧客がいないとすれば、ちょっと真剣に考えたほうがいいのかもしれません。

 

私の場合は、同業他社との差別化とは切り離し、すべての顧客の生活や会社経営における役立ちポイントについて考えてみました。
たとえば、私たちの仕事は生命保険の契約を頂く際、健康に関する質問を行います。
そんな時、例えば女性でもあまり臆することなく婦人科系の病気の話をしてくださったり、身長体重を記入いただいたりして頂きます。
企業経営者においては、資金繰りのこと、社内の人間関係、経営者ファミリーの内情など、やはりあまり外では話さないことを話してくださいます。
これはたぶん、全業種の中でも比較的稀有な存在ではないかと思います。
そういった一種の信頼関係みたいなものを、職種で構築できるというのはなかなかない特徴かもしれません。
じゃあ、それをどう活かしていくか、というのは考えるべき課題ですが、同業者との競合という視点から一歩出ると、そんな考え方も可能になります。

また、最近のトレンドとしては、NPS(ネット・プロモーター・スコア)といって、「自分達の会社や商品やサービスを知人に勧めたいか?」という質問に10段階で答えていただき、顧客ロイヤリティを測るという考え方が流行っています。こういったことから、その理由(他人に勧めたいならその理由)を聞き出すことで、自分たちのUSPがわかる事もあるかもしれません。
強みを伸ばすと言われても、強みがわからない、という人はけっこういると思います。

私の経験をまとめると、

①業界で常識的に言われている「差別化ポイント」は、本当に顧客が価値を感じているかどうかでフィルターにかける
②自分たちでUSPがわからなければ顧客に聞いてみる
③それでもわからなければ、同業他社ではなく全業種との比較を考えてみる
④違ったアンケート手法を探し、試してみる

といった感じでしょうか。

わずかなりとも参考になれば幸いです。

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R_WinkelmannによるPixabayからの画像

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