親子で会社を経営し、いよいよ後継者が会社の実験の一部を握りだす。
後継者としては、自分にとって心地のいい組織を作ろうといろいろと奮闘します。
しかし、そんな矢先、社員が大量にやめて行ったり、
クーデターを起こされたり、
分裂の危機に瀕したりすることはけっこうあるものです。
そんな時考えられる3つの理由について考察してみましょう。
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Contents
社員が辞めるのは悪い合図ばかりではない、けど・・・
理由その①会社が変化した(もしくはしつつある)
代が変わり、社員が大量にやめていく理由として一つ目に挙げたいのが、「会社が変わったから」というものです。
人は変化を好まない生き物です。
そんな中、会社という環境が大きく変わりつつあるとき、居心地の悪さを感じるものです。
環境が変われば、自分も変わらなければならなくなります。
そういったことに対して消極的な人は、場合によっては会社を辞めていく場合があります。
また、今まで会社の中で確保した自分の立ち位置を確保できなくなりそうだ、と感じたとき、やはりやめていく人がいます。
理由その②後継者が天狗になっている
二つ目は少しネガティブな理由です。
後継者が会社の実権を握り始めて、実績を出し始めたとき、後継者が天狗になることがあります。
自分はすごいんだぞ、と周囲に誇示したくなるのです。
こういったときの社員の目は冷ややかです。
そういう場合は、どちらかと言えば仕事に対して消極的で、事なかれ主義(つまりイエスマン)の社員が会社に残り、自らの考えを持った社員は会社を去ります。
一見、後継者にとっては「自分にとって邪魔な存在」が辞めていくのではじめのうちはむしろ喜ぶこともあるかもしれません。
しかし次第に人が減っていき、歯止めが聞かなくなった時に、初めてその問題に気づきます。
自分の問題だけに、この理由に気付くまでに時間がかかることも多く、
また本人が改めなければ、社員の動きは落ち着かないので、
会社全体の安定感が失われます。
当初は後継者の勢いで保っていた業績も徐々に下降したり、仕事が回らなくなって気付くことも多いようです。
理由その③後継者が自己保身に走っている
私が見る中では、このケースが一番多いように思います。
親の会社を引き継ぐものの、その責任を負う覚悟ができていないため、周囲を完全に支配しようと考えている状態です。
まさに箸の上げ下ろしにまで注文を付けるかのように社員をルールなどで縛り付けます。
つまり、社員を信用していないので、社員もまた後継者を信用しません。
社内にルールでがんじがらめになったストレスが充満し、いずれクーデター的なことがおこったり、社員複数名で後継者ににじり寄るというシーンに遭遇するかもしれません。
社員が辞めていく理由を分析してみる
人材のマトリクス
名経営者といわれたジャック・ウェルチ氏はこんな人材のマトリクスを提示しています。
シンプルで使いやすいので、社員を見るときのフレームワークとして頭の片隅に置いておいていただくと参考になるのではないかと思います。
これは、縦軸が「会社や仕事に対する価値観の共有度合い」です。
横軸は「仕事の成果」です。
双方が高い人が、①最高の人材となります。
双方が高い人は、②残念な結果となります。
仕事の成果は低いけど、会社の価値観にコミットしている人は、③のセカンドチャンスです。
この人は、教育で成果が出るようにトレーニングすると、最高の人材に移行する可能性を秘めている人です。
そして危険なのが、仕事はできるけど、会社や後継者と価値観を共有できていない人物です。
これを④要注意とします。
なぜかというと、実力がある分、人を惹きつける力がありますが、
その力を会社が向かう方向につかわない可能性があります。
一般的によく耳にするのは、クーデターを起こすのはこの人物。
仕事ができて、後継者と信頼関係を結べていない番頭さんだったりすることも多いでしょう。
「会社が変化した」場合にやめていく人
会社が変化した場合にやめていく人は、マトリクス上どのマスの人も動く可能性はあります。
たとえば、①最高の人材や③セカンドチャンスの人たちは、自分達と相いれない価値観の会社になるとすれば、この人たちが辞めていくでしょう。
これは先代のときに培われた重要な価値観が失われるシグナルです。
だから、ちょっと注意は必要かと思います。
後継者がまさに、まったく会社を刷新しようというのなら、過去の最高の人材は未来の要注意人物になります。
ただそこまで会社を変えるべきなのか?という疑問はあります。
先代がもっていた会社における価値観が、今の会社を育ててきたことは間違いのない現実だと思います。
それを捨て去り、180度転換するというのは、否定はしませんが少し慎重に考えたほうがいい可能性は高いように思います。
後継者が天狗になっている場合
この場合、①と③の人たちは、かなり後継者に対して反発するなり抵抗を示すと思います。
とくに①の最高の人材は、自分の軸を持っている人なので違う意見に対しては、比較的わかりやすい抵抗を示すことが多いと思います。
それがエスカレートすると、腹心を連れて独立したりという事に発展することもあります。
一見社内すべてが敵のよぅに見え始める時期があるのですが、その時にもたいてい一人くらいは後継者の理解者がいるものです。
彼、もしくは彼女の話をじっくり聞くと、状況を冷静に見ていたりすることも多く、その後の最良のパートナーになることもあります。
ですから、思い当たる人がいれば、大事にするのは当然ですが、困った時には話しかけてみましょう。(なんだかドラクエみたいですね)
社内から強い反発が出ると、後継者自身は「絶対自分のほうが正しい!」と意固地になりがちですが、そういう時こそいったん冷静に周囲を見回してみてください。
後継者が自己保身に走っている
私の観察によると、最も多いパターンです。
ただし、本人は自己保身に走っているとは気づかないケースがほとんどです。
社内にルールが増えたり、自由度が減ってくると後継者が自己保身に走っている可能性が高いので、チェックが必要です。
この場合、④要注意のカテゴリーの人、つまり仕事の成果の高い人から不満が出始めます。
この層の人は、価値観で会社とつながるのではなく、お金で会社とつながっています。
だからやっている事と給与のバランスで、仕事への情熱が変わってきます。
ちょうどタイミングを同じくして、自己保身に走る後継者は給与体系などを整備しようとしがちです。
それは④要注意カテゴリーの人材へのけん制で、後継者としても成果を出すこのカテゴリーの人間は大事にしようとします。
その差配しだいで、要注意カテゴリーの人の動静がはっきりしてきます。
また、②残念な結果の層の人は、一見従順で後継者にとっていい人材に見えることがあります。
目をかけたりすることもあるようですが、その希望にこたえてくれるかどうかは未知数です。
なにしろ、価値観は共有できていないので。
社員が辞めていくのは一つの「シグナル」
変化のときに起こる新陳代謝
私は一時期、社員が定期的にやめていくのは会社的にはいい傾向だと考えていました。
なにしろ、年功序列の給与体系なら、コストを削減できます。
そして変な癖や社内にたまった澱を流すことができます。
さらには社風が変わります。
あるいみブラック企業的使い捨て感覚のひどい経営者だったのですが、それは前段で言うところの「自己保身」に走っていたからでした。
自己保身に走ると、社員を支配しようとします。
自由を赦さず、すべてをルール通りに運ぼうとしていました。
そうすると、誰がやっても結果は同じ。
つまり、社員は部品である、という考えでした。
しかしこれには問題がありまして、経営者(後継者)はどんどんしんどくなるのです。
社員もしんどいし、後継者は社員の隅々まで監視をしなければならないのでしんどい。
誰も得をしないんですね。
そこからある程度、社員に自由にやってもらって、その結果起こることはいいことも悪いことも自分の責任、と決めました。
するとだんだんと楽になってきました。
そういう初歩的な問題はひとまず置いておいて、社員を大事にしようという考えを持っても、ある時社員がたくさん辞める時があります。
それは、社員にとっての環境、つまり会社が変わっているタイミングです。
だから人が辞め始めたときは、どんな人がどんな理由で(聞いてもたいてい本当のことは言いませんが)辞めているかをしっかりと観察してみてください。
すると、彼らが何を受けて辞めているのかがぼんやり見えてきます。
そして自分が何を発信しているかを初めて知ることになります。
会社の経営者(後継者)にとって、社員は鏡です。
私達の行動を映すかのように彼らは動きます。
そんな事を分かっていると、社員が辞め始めたとき、自浄作用を発動させることもできるかもしれません。
社員が辞めるのは、社員のせいというよりも、私たち経営者や後継者の側に原因がある事がけっこう多いのです。
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