当事者には見えないことが、周囲にははっきりと見えることがあります。
親子で経営をしていると、こんな思いにさいなまれるときはないでしょうか?
「なんで親父はわかってくれないんだ?」
「なんで子どもは理解できないんだ?」
とそれぞれが思っていたりします。
そんな「理解できない状況」を外から見るとわかる事があります。
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少し私の深く関わりのある業界でのたとえにお付き合いいただければと思います。
保険会社の戦略についてです。
中国のある保険会社は、非常に優秀なアプリとサービスを作りました。
もともと大病院は予約しても数日待ち、町医者はとんでもない医者が多い。
病気になってもかかる医者を的確に見つけることができない、という事情があったそうです。
そこに目を付けた保険会社は、この「困りごと」を解決する仕組みを作りました。
このアプリを活用し、町医者の口コミを表示できるようにし、場合によっては契約した医師をつうじて遠隔診察ができるようにしました。
体調を崩してもかかる病院がない、と困っていた人たちには救世主のようなアプリです。
誰もがもろ手を挙げて歓迎しました。
そして、その保険会社は、そのアプリを起点にアプリ登録者に保険の案内をする、という流れを作りました。
では、日本の保険会社はどうかというと、
・契約内容を一覧したり管理するアプリ
・事故を起こした際に保険会社への連絡をスムーズにするアプリ
といったところが中心のようです。
この二つの決定的な違い、どう感じられるでしょうか?
たぶん多くの人にとってはその違いは明らかで、
中国の保険会社は「顕在化したお客様の困りごと」を解決するのに対して、
日本の保険会社は「保険商品の機能を補完する」といったものである、と言えそうです。
この違いが、一ユーザーだとわりとわかるんじゃないかと思います。
そんな明らかな話も、サービス提供者側に立つと見えないことも結構あります。
比較的時代の流れを読むのがうまく、柔軟性のある人なら理解できても、頭の固いひとにはわからないこともあります。
そして、頭の固い人というのは往々にして、社内で権力を持っています。
だから時代の流れとズレた決断がなされることはけっこうあって、周囲は首をかしげるわけです。
さて、どちらがどちらの立場というつもりはありませんが、中国の会社視点で見たら日本の会社視点はあり得ないというでしょう。
一方で、日本の会社視点で見ている人は、これが成果につながりにくいことに気付くのが難しいのです。
簡単に言うと、中国は「顧客(特に見込み客)」にフォーカスしていて、日本は「商品の完成度」にフォーカスしているという事です。
たぶんどちらにも正義はあるけど、結果は違う。
これを第三者の目で見ていると、ある程度結果は予測できるのですが、これが中国企業や日本企業の中に入り込んでしまうと見えなくなるのです。
とにかく自分たちのやってることが正しい、と思い込む傾向がありますから。
これが、個人レベルの話になると、親と子の会社の方向性の違いとなってくるわけです。
「24時間闘えますか?」というキャッチコピーに「俺ならできる」とうなずいた世代と、それに疑問を持ち、「ブラック企業」という言葉が普通に使われる世の中の真ん中にいる世代で同じ考え、発想であるはずがありません。
ここに双方の「利権」的な話がかぶさってくるので、相当にややこしいのです。
この問題に、正誤で語るのは決して得策ではありません。
双方がいわば違う宗教を信じているようなものなので、結論は出ないのです。
だから、主張しなければならない状況から、自己主張しなくともいい環境を作る必要があります。
それが、「安心・安全な場」の提供です。
これはこのブログ内では何度も繰り返している話ですが、領土争いをするのではなく、お互いの領土を尊重しあいましょう、という事です。
それは割と勇気のいることですが、とても大事なことだと思っています。
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