後継者

金縛りのように動けなくなる後継者・二代目経営者の心の奥にあるもの

ある二代目経営者の方と話していた時、ちょっとした違和感を感じました。
その方は、将来への不安を持っている。
何をすべきかもなんとなくであれイメージしているし、やり方もぼんやりとはわかっている。
しかし、やり始めようとすると、金縛りにあったかのように動けなくなってしまうのです。

彼はなぜ動くことができないのでしょうか。





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ある会合でたまたま立ち話をした二代目経営者。
彼はまじめで、仕事はよくできるようです。
会社も今のところ順調で、社内での社員との関係も良好。
一見、何の不満もない経営者ぶりです。
しかし、いつ見ても、浮かない顔をしています。

きっかけがあり、彼の話を伺うことになりました。

 

先代である会長は、会社にもあまり来ず、実務にはほぼノータッチ。
誰に何を言われるでもなく、好きに仕事ができる状態のようです。
多くの二代目経営者からすると、夢のような環境です。
しかし、彼は言います。

「このままでは、ちょっとまずいな・・・と思うんですよ」
そんなにいい状況で、何が気になるのか、私は突っ込んで聞いてみました。
「会社として今のビジネスを継続していたらジリ貧になるのはわかってるんです。
身近な人にそんなアドバイスももらいました。何をやるべきかもおぼろげにはわかってるし、やってやれない事ではないんです」
じゃあ、やるだけじゃない。何が気になるの?
と私。
「なんかねぇ・・・」
彼は言葉を濁します。
その彼の表情を見て、なんとなく察しがつきました。

 

後継者や二代目経営者は、新しい事や会社を変えようという試みがなかなか前に進まないことが多い。
それは、はじめのうちは親である先代のせいであると、考えます。
実際のところ、親が後継者の行動を全否定することももちろんあります。
しかし、それは根気強く説得すれば、先代を動かす事もできるかもしれない程度のことかもしれない。
なのに、後継者は親と向き合おうとはしないことが多い。
恥ずかしい話、私もその一人です。

 

じゃあ、なぜ親と向き合わないのでしょうか。
可能性の一つとして、親である先代をスケープゴートにしている事を疑ってみる必要がありそうです。
つまり、自分がやると決めて動き出せないのを、親のせいにしているということです。

なぜ人のせいにまでして、やろう!という気持ちを押し殺してしまうのか。
やりたいという気持ちはあるのに、踏み出せない自分がいる。
冒頭の二代目経営者はそんな状態だったのでしょう。

そこには、やらないことによるメリットがあるからです。

そのメリットは人それぞれ。
やらなければ、失敗せずに済みます。
親の言ったとおりにしていて上手くいかなければ、問題がおこったとき親のせいにすればいい。
無意識のうちに、自分の心を守る防衛線を貼っている可能性があるのではないでしょうか。

また、決断することに対する恐怖もあるかもしれません。
自分で決めると責任から逃れられない。
親が後押ししてくれたら、親が決めたと思うことができる。
しかし、後押しがないなら、親に否定されたと逃げればいい。

 

つまり、親の問題としがちなはなしも、実は自分の内面にある問題なのかもしれません。
そう。
私たちは決断するのが怖いのです。
決断した結果、うまくいかなかったときの恐怖。
本来、自分を認めてほしいのに、認められるに至らなかったときの恐怖。
これ、部外者から見れば、駄々っ子か!?なんて揶揄されるかもしれません。
しかし、大人になってもそういった恐怖は常に付きまといます。

私の知る限り、この恐怖に打ち勝って決断ができる人は、成人した大人の半分もいないでしょう。
いっぱしの経営者だって、決断できない人の方が多いのです。

こんな踏ん切りがつかない状態のとき、頭の中にはこんな言葉が響いているかもしれません。
・お前は○○屋なのに、そんな事を始めていいのか?
・今までと違う事を始めて、恥をかくんじゃないか?
・同業者からは総スカンを喰うんじゃない?
・周囲から仲間外れにされるかもしれない・・・
・自分はそんなことををやってはいけない。

あるいは、乗り越える壁が異様に大きく見える。
・こんなこと、初めてだしできるかな・・・。
・自分にはとてもではないけど、そんなこと考えられない。
・(どんどん新しい事にトライする)友人には、自分はとてもかなわない。

こんな自分と直面するのが嫌で、避けたい。
そういう時に、親との確執を持ち出すとすっきり諦められたりする。
そんなメリットがあるのではないでしょうか。

 

自分を貶める代わりに親を言い訳にして心の平安を保とうとする。
しかしこれ、その時はそれでいいかもしれませんが、次第にたまっていくんですね。
心の中に沈み、どろどろとしたヘドロのようになって。

そこを抜け出すには、手っ取り早いノウハウがあるわけでもないし、劇的に効くツールがあるわけでもない。
自分の本心を探り当てて、暗い闇に葬った本心に光を当ててやる必要があります。
なかなかその闇の本心に気づくのは自分では難しい。
しかし、たいてい、他人を見て気づくことも多いようです。
それは、自分にとって許せないほど、嫌いな人間、嫌いな行為、嫌いな言動がヒントになります。

 

たとえば、辞めさせても辞めさせても必ず問題社員が混じりこむという場合。
その問題社員の言動に、あなたの闇に封印した想いを手繰り寄せるヒントがあるかもしれません。
これは後継者に限った事ではありませんが、私たちは、嫌悪するものに向き合う必要があるのです。

人の振り見て我が振り直せとはよく言ったものですが、同じ境遇の人が集まると、あなたの参考となる人と出会うこともあるかもしれません。

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