心理カウンセラーである、神田裕子さんの著書『最高の「考え方」:「自分が好きになる」心理アプローチ大全』にはこんな一説がありました。
人間関係における問題の根本は、親子関係にある、と。
私はその一節を読んで、大きくうなずいたのですが、にわかには理解できない人もいると思います。
そして、このことは親子の経営で起きる、親子の確執とも強い関連性があるのです。
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少し子供のころのことを思い出してみてください。
「もう宿題はやった?」
こんな言葉を親から投げかけられた記憶はあるでしょうか?
私はどちらかと言えばズボラなタイプだったのでたいていこう答えました。
「まだ」
すると親はどう反応するでしょうか?
「なんでまだやってないの!(怒)」
「また忘れていくつもり!?」
私の場合はだいたいこんな感じ。
日頃きっちりやってる人なら、
「あらそう。じゃあ今晩やるの?」
なんていう展開になるのでしょうか。
どんな言葉が返ってきたにせよ、私たちはそこに何かしら反応していると思います。
「今やろうと思ってたのに」
「このマンガだけ読んだらやるから」
「すぐに終わるから、急がなくても大丈夫」
などなど。
で、こういったやり取りをたぶんですが、何度も何度も繰り返しています。
何度も繰り返していると、次の相手の言葉が読めてきたりします。
すると、子どもの側も少し賢くなります。
「ここで、まだやっていないというとぶつぶつ言われるから、もうやったと答えておこう」
とか、干渉されたくないから
「部屋にこもって出てこない」とか、「家に帰らない」とか、
いろんなパターンが出来上がってきます。
この時点で、思考の癖ができてしまいます。
・今の自分は「ダメな自分」だから、もっと「しっかりしないといけない」。
そもそも親に何かを言われれば、
・それはみんな小言で、自分が至らないところを指摘されている。
というものだというクセがキッチリついてしまいます。
そこで、親であれ、知人・友人であれ
「もう〇〇はやったの?」
と聞かれると、
「あ、まだやってなかった。それを責められてる!」
と警戒モードに入ります。
みんな責めるつもりはなくって、ただ状況を聞きたかっただけなのに、本人はテンパってしまっています。
その結果、
・友人・知人との付き合いが億劫になる
・自信を失う
・劣等感を感じる
といった状況に陥ります。
要は、子どものころからの親とのやり取りで、心の反応が癖づけられる。
その結果、必要以上に周囲に気を遣うような行動パターンに陥る。
だんだんとそのことがしんどくなってきて、あるタイミングでダウンしてしまう。
たぶんこうなるころには、すべての親の言葉は「自分を責めている言葉にちがいない」とガチガチに警戒しているのではないでしょうか。
親に声をかけられるだけで、「また何か言われる!」と構えてしまうのです。
その結果、親との断絶が始まります。
まあ思春期にもそういうことを経験していますが、普通、家庭を持つと親子は離れるものです。
しかし、事業を一緒にやっていれば距離をとることができず、大人になってもその責められ思考癖を強化しつづけます。
このような人との関係性における過敏な反応癖は、親子だけにとどまらず、すべての人間関係の中で起動します。
すると、どこへ行っても、誰といても、常に自分が責められている、あるいは足りないような気がしてしまうのです。
その結果、何とか自分の自信を回復させたいから…
・他人を自分の思いどおりにコントロールしたがる
・他人に物事を教えたがる
・常に自分が正しいというふるまいをする
・自分より弱そうな人間とつるむ
・他人にどう見られているかを気にする
・他人からの批判に過敏になる
・社会規範を守らない人へ怒りを爆発させる
などといった特徴を示し始めます。
で、親は子供にたいして、自分でコントロールできると思っています。
一方後継者は親をコントロールしようとします。
お互いがマウントを取り合うことで、確執が起こるわけです。
そんな状況を変えるには、相手に寛容になれる心の余裕が必要となります。
その余裕は、自分で自分を認められる状態になってはじめて手にすることができます。
沿おういう状態に至ることができれば、
「もう〇〇はやったの?」と聞かれれば、責められている、という思いではなく普通の質問文として、普通に、感情を揺さぶらせることなく答えていることができるはずです。
自分の状態をチェックする質問として、気に留めておいていただくといいかもしれません。
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