仮に、親の会社を継ぐ後継者が、会社を存続させようと考えたとき、やるべきことは何でしょうか。
とありあえずは、「次の30年」に向けて動き始めることかもしれません。
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先日たまたま、『本業転換――既存事業に縛られた会社に未来はあるか 』という本を手にとりました。
内容を簡単にお話しすると、ライバル会社同士を比較し、生き残った会社とそうでない会社の違いをあぶりだす、という内容です。
具体的には、こんな企業の比較がなされていました。
1 富士フイルムホールディングス vs. イーストマン・コダック
2 ブラザー工業 vs. シルバー精工
3 日清紡ホールディングス vs. カネボウ
4 JVCケンウッド vs. 山水電気
で、生き残った会社にはどんな特徴があるのでしょうか?
タイトルにある通り、やはり従来の本業から新たな活路を見出した企業が多い、という印象を受けました。
とはいえ、当然のことですが、他の企業も何もしなかったわけではありません。
それぞれに頑張ってはいたけど、うまくいくか行かないかはある程度、運もあったのではないかと思います。
ただ、重要なのは、生き残った企業はほぼ例外なく、本業が順調なうちに「次の10年、20年、30年」のために手を打っていた、ということです。
ここに出てくる企業は一様に大きな企業です。
実質的には現在のビジネスを進め、改善していくチームがあり、
未来のビジネスを研究、開発するチームがある。
これらが同時進行でできているわけです。
しかし、中小企業の泣き所は、かなり高い確率で、「現在のビジネスをより安定させる」方向にしか動けないということがあるように思います。
特に創業社長は、創業当初の不安定な時代への強い不安を持っているため、安定を求めていく傾向が強いように思います。
さらに後継者は、その安定を盤石の態勢にすべく整える方向に思考は動きがち。
つまり、放っておけば、未来へつながる仕事をだれもしていない、ということになります。
30年にわたって培った顧客と技術が、未来永劫使える物であればいいのですが、残念ながらそういうわけにもいきそうにありません。
たとえば、ブラウン管はあっという間に液晶にとってかわられました。
そこで、まずは後継者が「未来につながる仕事をすること」こそが自分の役割であることに気付く必要があります。
私の知る限り、7割近くの後継者はこのことに気付いていません。
さらにそういった役割に気付いた人のほとんどは、会社を敵に回してしまいます。
現状改善部隊と、未来創造部隊の心理的対立がおこるわけです。
大企業と違い、リーダーである親がそのことに理解を示さなかったり、壁を設けて仕事をするほどの物理的・心理的スペースが中小企業にはない、ということも原因として考えられるかもしれません。
たいてい、未来創造部隊は劣勢です。
その費用を捻出するのは、現状改善部隊であり、リアルな売り上げを伴って動くのも現状改善部隊だからです。
実がなるかどうかわからない未来創造部隊は、相当に厳しい状況の中で仕事をせざるを得ません。
上手くいくかどうかわからないことに没頭するのはそれだけで大変なものです。
それに加えて、社内外の批判的な視線があれば、まあやり続けるのは大変ですね。
それが中小企業の持つ魅力を半減させているような気がしてなりません。
それでもやらなければ、やっぱり未来は見えないわけで。
最近は、親が70歳代後半、子どもはもう40歳代半ばなんていう親子経営の会社もあります。
こうなるともはや子どもとしては、永遠の専務でいいじゃないか、となっている雰囲気があります。
ある意味諦めかもしれませんし、ある意味は「ここまで来たら自分の引退までオヤジがやり切ってくれ」と逃げ切り人生をイメージされてるかもしれません。
それで逃げ切れればいいのですが、たとえば、親が80歳で会社に来られなくなって50歳を過ぎて子が社長になるって、けっこう悲惨じゃないですか。
そこから改革というのも難しいし、現状維持もまた難しい。
ほとんど選択肢のない状態で引き継ぐというのもなかなか厳しい話ですね。
せめてそこまでに何かしらの次の30年の種を仕込んでおけるといいのですが。
50歳で代替わりしたとしても、10年、20年は普通に働く時代だと思います。
そしてその時、自分たちの扱っている商品は、今と同じように存在しているのでしょうか?
会社もそうですが、自分たちの人生もまた、未来を見据えて検討しておく必要があり野かもしれませんね。
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