「もう午後3時か」
たとえば、こんな言葉を私がつぶやくと、周囲はどう感じるでしょうか。
ある仕事を頼んでる社員は、「急かされてるかも?」と思うかもしれません。
周囲にいる仲間は、「なんかイライラしてるなぁ」と見てるかもしれません。
家の仲だと妻は、「おなかが空いた」と言われているように取るかもしれません。
たとえ、私がたまたま確認した事実、「まだ2時くらいと思っていたのに、もう3時になってたんだ」ということを口にしただけだったとしても。
意味のない言葉に意味を持たせてしまう。
人間関係ではありがちなのですが、それが後継者を苦しめている可能性はありそうです。
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業績の話が社内でなされると、後継者はプレッシャーを感じませんか?
別に、後継者を責めているわけではない。
事実として、想定した売上に届かないから、その対策を考えたい。
そういう文脈なのに、なぜか後継者は「自分がふがいないから、と言いたいのだろう」と先回りして考えがちです。
何か、社内で問題が起きたとき、
「どうしたものか」とみんなで頭を抱えていると、後継者はきっとこう思うでしょう。
こういう時こそ自分が何とかしなきゃ。
それが出来なければ、自分の存在価値が危ぶまれるような気がするわけです。
ここに居るためには、そういったことに「自分が」答えなければならない。
まあ、応えられるうちはいいんです。
必死になって期待に沿おうと頑張るんですが、どこかでプツン、と緊張の糸が切れる。
そうすると、「自分がここに居る価値はあるのだろうか?」と考え始めます。
そして、「そもそも自分が生きている価値はあるのだろうか?」という自身の存在そのものへの確信が揺らいでいきます。
多くの方がたどる道筋です。
ここには二つの、決定的な間違いがあります。
一つ目は、あなたが考えるほど、周囲はあなたに期待していない、ということです。
少しイヤミな言い方でごめんなさい。
しかし、後継者はどうしても立場上、自意識過剰にならざるを得ない環境です。
常に自分が「他人にどうみられるか」基準で動いてきた記憶があるんじゃないでしょうか?
だから、人の言葉を先回りして、空気を読んでしまうんです。
それが心地いいならいいのですが、ツラいんなら、空気読まなきゃいいんです。
私はある時期からそうしました。
まったくもって、無責任経営(笑)
けど、私が無責任だと、社員はしっかりします。
そんな社員に見放されないように、一定の関係性は気を付けてますが、それくらいしかやってません。
二つ目の間違いは、後継者一人の頑張りでどうなるものでもない、ということ。
業績回復のために後継者が一人奔走したらどうなるかというと、社員は後継者に頼り切ります。
親がやってきたような会社になるんでしょう、たぶん。
いってみれば、職人気質ワンマン経営が見事、後継者の代でも完成します。
けどたぶん後継者はそんなことは望んでいないんじゃないでしょうか。
親と会社の関係性をそのまま継ぎたくない後継者は多いと思います。
会社とプライベートはわけたいとか、最近でいう働き方改革とか、けっこういいな、と思うんじゃないでしょうか。
だとすると、後継者が一人で張り切ってはいけないのです。
何をするかというと、社員のところに降りて行って、彼らと信頼関係を結ぶ。
つまり、いきなり後継者の価値観をぶちまけて、ここまで来い、と引っ張り上げるんじゃなくて、自分が迎えに行くんです。
彼らの話を聴き、彼らがどうしたいかを聞き、それを会社に活かせないか考える。
ええ、けっこう面倒くさいやり方です。
けど急がば回れ、ということわざは正しい、と私は思っています。
そもそも冒頭のような、「何でもかんでも自分が責任を感じてしまう」背景には、仲間がいない状況と密接な関連性があるようです。
社内で、あるいは家庭内で、孤独なんです。
もちろん、一緒に遊ぶこともあるかもしれないし、飲んだり、何かを祝ったりすることもあるかもしれません。
しかし、そういう表面的な付き合いでなくて、極端な言い方をすれば、命綱を任せられる関係か?ということです。
言い換えれば、会社が窮地に陥った時に、社員の意見を聞いて、それを活かそうとできるか?ということですね。
最近まで、私はそれができませんでした。
なぜなら、彼らより自分は優れている、という驕りがあったからです。
すべて、彼らの意見は稚拙だ、という否定から入っていたんですね。
けどそれを尊重するようになった時初めて自分は彼らを受け入れたと感じ、彼らもまた受け入れられたと感じたようです。
悲しいかな、私に限らず後継者は「他人を受け入れないことで、自分を孤独に追い込んでいる」ということはあるような気がします。
なかなか自分では気づくことができないのですが。
まずは周囲を受け入れてみましょう。
たぶん状況は、大きく変わると思います。
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