後継者

私だって怖いんです。

私自身、親が家業を持つ後継者です。
とはいえ、はっきり言って落ちこぼれな上に引っ込み思案。
しかも、自己弁護の弁はたつ(苦笑)
つまり厄介な奴なんです。

社会人として使い物にならない私は自分の活かし方を、自分で考える必要がありました。

——————————————
後継者向けセミナー開催日程はこちら

 

 

小冊子『なぜ親子経営では確執がおこるのか?~そのメカニズムを知り、後継者が”今”を打開するための5つのステップ[要約版]』無料ダウンロードはコチラ

 

占い師に「上手くいかない」と言われた事業

最悪の事業承継失敗例!?

私は父の興した家業を継ぐ二代目経営者。
この会社を守り、育てる責務を負っています。
しかし、私には家業である仕事は、自分には合っていないと思っていました。
そして今もその考えは変わっていません。
そもそもその仕事で必要とされるスキルは、私が最も苦手とする分野。
それを何とかカバーしながらやっていこう・・・と20年ばかりは努力してきました。

しかし、何かが違う。
そういう思いを常にいだいたまま、悶々とした日々を過ごしていました。
親の事業を、親のレールを延長する形で継ごうと思っていても、自分の能力の問題でうまくいきそうにない。
じゃあ、ということで違う方法を試そうとしても、親の目を気にするばかりで思うように自由に動けない。
そもそも、親と仕事をしている時点で、自分は自分の能力を活かせない。
そんな風に感じていました。

さらに、この会社には弟も入社していました。
ふとしたきっかけで、弟とも決定的な意見の食い違いを感じ、弟をクビにするか、自分が会社を去ろうという決断を下す直前までいきました。
私は、父とも弟ともコミュニケーションが取れなくなり、すべてを捨てるつもりだったのです。
在籍する社員には、「会社を分割するなら、どちらに行きたい?」と聞いていたくらいです。
まさに最悪の事業承継の失敗例と言えるかもしれません。

行く先がない自分

こんな仕事、やってられるか!といって会社を捨てたとしましょう。
だからといって、すぐに起業できるのか?というとそれほど簡単なものではありません。
一過性のネットビジネスなら、やってやれないこともないかもしれません。
しかしそこに全力投球する気にもなれず、気持ちはさまよい続けていました。

もともと私は、新しい世界にどんどん飛び込めるような強い人間ではありません。
少なくとも小さなころは、新しい経験にはいつもびくびくしていました。
常に、批判にさらされる不安を抱え、中学時代には知らない人の笑い声さえもが、自分をバカにしている笑いに感じたくらいです。
そんな引っ込み思案の私が、いきなり起業などできるはずもありません。

親の会社を継ぐ能力もなければ、独立する勇気もない。
この典型的な、ダメ後継者である自分の経験が、どこかで活かせることなんてあるのだろうか。
親の仕事を手伝い始めて3か月目からの約20年は、ずっとそんなことばかり考えていました。
そこで知ったのは、けっこうに多様な悩みを持っている親子経営の後継者はいるんだな、ということ。
その時からブログを書き始めました。

すると、たとえば
・ブログを読んで涙が止まらなかった
・まるで自分のことが書かれてるかのように共感した
・自分だけじゃないんだ、とホッとした
といった声がポツリポツリと届くようになりました。

なかには、テレビに出演されているような方からもメールをいただいたこともあります。

教科書のないビジネス

私が目指すのは、悩みや辛さを抱える後継者が、喜びとともに会社の未来を背負って立つことができる状態を作ることです。
これを事業として、成立させたいと考え始めました。

なぜボランティアや、任意団体ではないかというと、そういったものを長続きさせるのは難しいからです。
責任の所在が明確ではないからです。
一時的に盛り上がるものの、熱が冷めたら消えていく。
それではあまり意味がありません。

そこで、後継者が自立するための何かしらの仕組みをビジネス化しているところはあるのか調べてみました。
私の知る限り、あまりありません。
もしくは、頑張ってはいるけど、上手く入っていない様子です。
後継者がたとえば会計知識や、戦略知識を身に着ける後継者塾的なものはあります。
また、根性論的道場もたまに見かけますね。
しかし、そんな知識がいくらあっても、身動きが取れなくなった後継者にとっては、何の意味もないことを私が身をもって知っています。
だから、自分なりにその方法論を考えていかなければなりません。
習うべき教科書がない。
しかも、自分には経験以外何もないので、お金を頂く手段も見つからない。
そんな状態のまま、2年程度はただこのブログだけを更新してきました。

一向に動きのないビジネス

後継者と先代の関係は、とても長い時間にわたります。
20年、30年というスパンです。
こういった後継者に、何かの勉強会を一回やればすべてが変わる、というものかと言えばそんなわけはありません。
長期的なお付き合いの中で、様々なサポートが必要となるでしょう。
そこで、会員制度である後継者倶楽部という組織を立ち上げました。
2年もブログを書いてきて、そこそこの数の会員が加入してくださるだろう。
当初はそう思っていましたが、ふたを開ければ初めの会員申し込みは2名だけでした。
しかも「金をとるのか!?」と批判めいたメッセージもいただきました。

かなり会費は抑えめにしたつもりなのに、鳴かず飛ばずです。
そして、リアルなセミナーの中でお一人お一人と顔を合わせながら、会員を募ることにしました。

思ったほど前に進まないプロジェクトに、私はよく当たると評判の占い師に占ってもらいました。
「新しいビジネスはうまくいくでしょうか?」
恐る恐る聞く私に、その占い師は一言。
「むずかしいですね」
がびーーん、です。

会社の未来

家業との関わり

後継者をサポートしていこうという事業を行うため、一つ会社を作りました。
しかし、家業もまた放置するわけにもいきません。
正直言って、家業がなければまだまだまともな生活ができないという事情もあります。

当初は、家業を弟に全部譲ってしまおう、という気持ちもあったのは事実です。
しかし、親の事業を継ぐ過程で悩みを持つ後継者と接する中で、「私はさっさと家業を捨てました」というのもどうかと思います。
ぼんやりとした悩みを持つ中で、ある思いが心をよぎりました。
「1000年続く会社を作りたい」ということです。

家業を1000年とは言わないまでも、100年単位で存続する会社としての仕込みだけはやってから去ろう。
そう考えました。
すると、ビジネスの在り方は、今まで通りでは不可能だと判断しました。
そこで、一時的に売り上げを下げたとしても、やるべきことをやる。
そう決断しました。

おかげで、メーカーからは理解不能な会社となり、あまりよくは思われていないようです。
それどころか、周囲の人間も私のことを理解できずにいるのではないかと思います。

以前はそこそこ利益率の高い形で経営していた会社。
それを維持するだけならたぶん、もう少し簡単だと思います。
しかし、それを捨ててでも会社を変えなければならない。
そんな思いにとらわれてるのが、ここ数年の話です。

不安

家業のほうは今一つパッとした成果も上がらず、新たに立ち上げた事業も五里霧中。
ハッキリ言ってじり貧なわけです。
正直、日々ひやひやものです。

手っ取り早く稼げる方法なら、たぶんいくつかあると思います。
とりあえずそんなことでお茶を濁そうと考えることもないではありません。
きっと、あれやったほうが楽だろうな、これ売ったほうが楽だろうな、と思うことは毎日のように感じます。
なんだか周囲の人から取り残されたような思いの中で、誰も推奨しないことをやり続ける。
これ、けっこう怖いです。

ハッピーエンドが待ってるかどうかわからないところに突き進んで、しかも成功に至る教科書も見つからない。
さらにさらに占い師にはうまくいかないと言われる(苦笑)
けど、自分の中で、今更戻れない、っていう感覚が強いんです。
親である先代に忖度して、
親と会社が育てられた業界に忖度して、
自分の想いを押し殺して、
とりあえず無難に一生を終えていく事に対するありえないほどの嫌悪感は、そこから離れようと決めたときにはじめて気が付きました。

だから戻れないのです。
どんなに怖くても、進むしかない。
けど、少なくとも、無理やり会社に自分を合わせようとしてた時と比べれば、精神的に健康です。
なにしろ風邪をひかなくなりましたから(笑)

だから、その世界を、より多くの後継者の方に見ていただきたい。
そんな思いでかかわらせていただいています。

——————————————
後継者向けセミナー開催日程はこちら

 

 

小冊子『なぜ親子経営では確執がおこるのか?~そのメカニズムを知り、後継者が”今”を打開するための5つのステップ[要約版]』無料ダウンロードはコチラ

関連記事

  1. 未来への不安は動きたくない想いが作り出している!?

  2. 後継者・二代目社長が「朝起きられない」となったとき考えたい事

  3. 後継者は先代の原動力を知ると楽になる

  4. 後継者・跡継ぎ・二代目経営者の社内の職人気質の人たちとのコミュニケーシ…

  5. 後継者・二代目経営者が意外と使えていない「自分の強み」

  6. ほめて育てるより相手を大事にすることを覚えよう~親子の事業承継における…

  7. 後継者・二代目社長の「状況が変わらない」とき、疑ってみたい一つのこと

  8. 出来ない後継者とやり方がわからない後継者