なぜその商品にこだわるのですか?

人によっては崇高な思いで、その職業についている人もいるでしょう。
そして、そういう人は幸せに見えます。
しかし、私は親のやっている仕事になじめなかったのです。
親が扱う商品を通じて、自分を活かすことは難しいと感じ続けてきました。

だから思うのです。
今の商品にこだわる人は、なぜその商品にこだわるのだろうか?と。

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私の会社から徒歩2分以内のところに、クリーニング取次店が3店あります。
どこもさしたる特徴もなく、一時期、ワイシャツのクリーニング値段の安さを競っていました。
それも限界に来て、細かな値段設定で特徴を出そうとしているようですが、私にはその内容はよくわかりません。

また、先日、SNSである投稿を見かけました。
「〇〇という仕事は、もうなくなるかもしれない」とのこと。
文脈としては、今はやりのAIやスマホアプリで、その業界において、人が介在するサービスは消えてなくなるだろう、ということです。

 

クリーニング取次店は、過当競争という話で、
SNSで出た話は、顧客の行動とつながり方の変化とでもいえるのかもしれません。

どちらにしても、古い業界は何かしらの変化が必要とされていることには間違いないでしょう。
その時にありがちな話は、「商品を起点に変化をしよう」という発想です。

商品を変えず、売り方や値段設定を変える。
商品を変えず、付加サービスをつけることで差別化する。
商品を変えず、利便性を追求する。

 

ある意味、本道ではあるわけですが、これもいずれ限界を迎えます。
クリーニング店は安さを競って、その限界に達してしまったわけです。

たとえば、クリーニング店が安さに限界を感じて別の方策を考えます。
専門的立場を活かして特殊クリーニングのメニューを作ったとしましょう。
そこに飛びつく顧客が存在するかどうかは、正直、未知数です。
なぜならクリーニングに出したい顧客などあまりいないからです。
家ではきれいにならないから、仕方なくクリーニングに出す人がほとんどでしょう。
顧客が求めているのはクリーニングではなく、「いつもパリッとした清潔な服」なわけです。

これが、Tシャツといっしょに洗えて、普通に干せば皺もなく型崩れしない素材ができたら、クリーニング店に通う人はいなくなると思います。
たぶん、繊維業界はそこを狙おうと頑張っているんじゃないかと思います。
もはや価格競争の次元を超えた話になってしまいます。
なにしろ繊維業界は、クリーニング不要!を目指しているのですから。

 

そういった技術が実現するのは、30年後なのか、5年後なのかはわかりません。
ただ、着実にそこに向かっている気配はありますので、そんなに遠くない未来にはそんなことが起こるんだと思います。
じゃあその時、会社の近くのクリーニング店はどうするのでしょう?

あるお店は、店主が高齢化しているので廃業されそうな気がします。
あるお店は、じり貧になっても今の商売から動けない気配があります。
もう一つのお店は、もしかしたら、華麗な転身をはかるかもしれません。

あくまで店主のイメージからみた印象に過ぎませんが・・・笑

 

じゃあそんなじり貧の状態になって、これからどうする?となった時、何を考えるでしょうか?
たぶん、「今の自分に何ができるか?」ではないでしょうか。
手元にある資金、持っているリソース(社屋や社員や技術)、客層、立地・・・これらを使って何ができるかを考えることでしょう。

けど、残念なことに、当事者は明らかな劣勢状態に気づかないことが多いのです。
繊維改革が起きて、クリーニングというものが世の中から消え去ろうとしたとしても、自分だけは何とかなると思ってしまう。
だから、こういう対処をします。

商品を変えず、売り方や値段設定を変える。
商品を変えず、付加サービスをつけることで差別化する。
商品を変えず、利便性を追求する。

俺の人生、クリーニング一筋だったから、それしかできない!なんて言い出す人もいるかもしれません。
それが事実であれば、徹底的にそこを突き詰めることで、あるいは打開策が見えるかもしれません。
他人があきれるほどに深く追及することで、道は開ける可能性もありそうです。

一方で、その覚悟がないならば、違った世界を見てみる必要があるかもしれません。
その時に大事なのは、
・顧客が求める「便益(商品ではない)」はなにか?
・その便益を提供するほかの手段はないか?
という考え方であったり、
・自分たちはどんなリソースや技術を持っているか?
・そしてそれらは顧客にどんな価値を提供できるか?
・それを顧客は本当に喜ぶだろうか?
といった自問自答が必要となってきます。

そしてもう一つの考え方があることに私自身衝撃を受けた事例があります。

ある有名なクリーニング取次店があります。
ここでは、映画のDVDが売っていたりもするようです。
もちろん小さなお店なので、壁一面そんなものを並べているわけではなく、店主の独断と偏見によるセレクトです。
DVDだけでなく、いろんな仕掛けが狭い店内にちりばめられており、来店する度、顧客は新たな発見を楽しんでいるといいます。
今まで顧客が知らなかった世界を見せるのがそのお店のコンセプトのようで、さしずめ「心を洗うクリーニング店」と言えるかもしれません。
そういうことをやり始めて、売り上げは数倍単位で上がっているそうな・・・。
値段が高くとも、お客さんは減るどころか増える一方のようです。

今はクリーニングの売り上げが中心ですが、このお店はきっとこの世からクリーニングという概念がなくなっても、商売に不安はないと思います。
それだけの顧客との絆を作っているのですから。

 

そんな事例を見ていると、私たちは商品に縛られてはいないか?という気がしてなりません。
商品が欲しいならAmazonで買えばいいのです。
商品というモノでつながろうとするなら、効率だけが重視されていくのは当然の流れでしょう。
しかし、それとは違う何かで顧客とつながろうと考えたとき、商品のことをいったんわきに置いて考えることも必要なのかもしれません。

 

いずれにせよ、多くのビジネスは賞味期限切れが迫っています。
世の後継者は、たぶん、今までと違う世界を見て、今までと違う選択をし、今までと違う経験が必要なのだと思います。
だから、親の事業の将来性がどうとか(どうせほとんどの事業はこのままでは将来性はない)、自分の資質が会社に合わないとかいうことはもう気にしなくていいんだと思います。
思う存分、よそ者的感覚を活かせばいいのだと思います。
それこそが、親から引き継いだ会社に今求められている事なのだと思います。

後継者の方に問いたいのはこんな質問です。
親の事業の将来性に悲観し、自分が親の事業に合わないと感じているとしたら、なぜ今の商品にこだわるのでしょうか?
大げさなことをしなくてもいいので、そこから離脱する小さな動きを始めてみると、今まで見えなかったことが見え始めるかもしれません。

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