たとえば、何かの展示会で自分と会社をPRするとなった時、どんな風に紹介をするでしょうか?
自社商品は、〇〇の特許をとっており、□□業界では初の、超細密××装置を搭載。
しかもお値段は他社と比べて約半額。
私どもの商品をよろしくお願いします!
・・・って感じでしょうか。
多分見てて思われるのですが、これって「痛い」PRではないでしょうか。
きっとほとんどの人は何の関心も示さないと思います。
私の著書です。
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実は、私たちの親世代においては、冒頭のようなご紹介がけっこう効いたんですね。
なぜかというと、まだまだ社会では「モノ」が求められていますから、その「モノ」自体の魅力が伝われば、欲しいと手を挙げてくださるお客様がいました。
そしてそれがシンプルなので、長い間そんな風にPRしてきた歴史があるのではないかと思います。
しかし一方で、経営学において非常に多くの人たちから信奉されるドラッカー氏によると、われわれの事業は何か?と問われた時、「わかり切った答えが正しいことはほとんどない」と言い切ります。
たとえば電化製品を扱うなら、私たちの事業は電気店であったり、
飲食を提供するなら、私たちの事業は飲食店であったり、
布団店なら、私たちの事業は寝具店であったり。
これがごく一般的な認識だと思いますが、ドラッカー風に言うとこれは正しくないということになります。
じゃあどうすればいいのか、ということなのですが、同じくドラッカーは「顧客からスタートしなければならない。すなわち顧客の価値、欲求、期待、現実、状況、行動からスタートしなければならない」と言っています。
これを私なりに解するなら、例えば飲食店であれば単に食べ物を提供しているというより、
・新しい味とであう場であったり
・人と集う場であったり
・憩いの場であったり
場合によっては
・仕事の場であったり
ということがあるのではないかと思います。
顧客から見たときに、その飲食店はどんな価値があるかということを考えよ、ということなのだと思います。
逆にそういった観点で見るならば、「新しい味と出会う場」であれば、別に店舗での営業にこだわる必要はないかもしれません。
「人と集う場」であれば、店舗設計や人の集まりやすさなどが重要なのかもしれません。
「憩いの場」であれば、それに応じた席の配置や、BGM、照明なども考える必要があるかもしれません。
たとえば、この本『LEGACY REVIVAL 老舗寝具店四代目、業界復興への挑戦』(髙原 智博)。
本書では、斜陽産業ともいえる街の布団屋さんを「快眠ビジネス」という枠組みでとらえ直してきた過程が描かれています。
ざっくりいうと、町の布団屋さんで人は布団を買うことがなくなりました。特に若い人はたいてい通販かホームセンターなどで布団を買います。
しかし、布団店でよくあるご相談が「眠りが浅い」とか「肩こりがひどい」といったもの。
そこでそういったお客様の悩みを解決する、というコンセプトでオーダー枕やマットレスの選定などをすすめ、ただの布団屋さんが、眠りの専門家という立場に変革を進めた話が紹介されてます。
後継者・二代目社長としては、恐らく親から引き継ぐ会社はすでに数十年の歴史がある場合がほとんどでしょう。
そうすると従来の「この商品、いいですよ!」ではお客様が来て下さらない、お問い合わせを頂けない、関心を持っていただけないというのがあると思います。
それを取扱商品を変えろとか言う以前にそもそも、自分達は商品を通じてお客様に何を提供しているのかを考えてみると、比較的スムーズな事業の刷新が図れるように思います。
言い方を変えると、皆さんの商品はお客様にとっては「手段」で、お客様にはその先にある「目的」を見ているはずです。
その「目的」を見定めることで、事業の新たなコンセプトが出来ることもあるのではないでしょうか。
それくらいだったら出来そうと思われる方も、けっこう難しいなぁと思われる方も、まずは自分に問うてみませんか?
「私たちの商品が、顧客に提供している価値って何だろう?」と。
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