田村の頭の中

経済誌の新年予測記事を見て感じること

先日たまたま書店でビジネス雑誌のコーナーを歩いていました。
すると、驚くほどにどの雑誌も同じ特集記事。
内容は「2019年を予測する」というものでした。

この記事を読んだ方は、果たして何を考えるのでしょうか?

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週刊ダイヤモンド2018/2019 12/29・1/5号「2019総予測」
週刊東洋経済 「2019大予測」
プレジデント 2019.1.14号「大予測!2019年」
週刊エコノミスト2019 1/1・8号「世界経済2019総予測」

2019年12月25日現在、目についたビジネス系雑誌の表紙のタイトルです。
週刊エコノミストに関して言えば、この前の週には「日本経済2019総予測」の特集がありましたので筋金入りです。

 

恐らく、多くの雑誌編集長は、このタイトルが売れることがわかっているからこんな風にするのでしょう。
他誌と同じになってもいいから、この「大予測」特集は外すな、というセオリーがあるのでしょうね。
それだけ多くの方が、未来を知りたがっているわけだと思います。

じゃあ、そういった情報を得た人たちは何をするのでしょう?
たぶん、大多数は何もしないとおもいます。
所詮、この手の特集記事が、それなりに経営に使えるに耐えるネタがあるとすれば年初数か月の話でしょう。
それ以降は、あくまで予測です。感覚としては占いと変わりません。
企業のリーダーが、その予測で右往左往することが得策とは私には思えません。

では、もっと確実な未来がわかっているとすればどうでしょうか?
たとえば、人口問題については、かの経営学者P・F・ドラッカーは「すでに起こった未来」というほどに確実にやってくる未来だと言います。
そして日本においては、もう30年も前から現在の社会の人口のありさまは予想されていました。
国立社会保障・人口問題研究所はかなり正確に現在の社会を予測していたのです。
しかし果たして、どれだけの企業がこのデータを真剣にとりあげ、ビジネスモデルを変更してきたでしょうか?
たぶん、皆無に近いのではないかと思います。
わたしも素通りしてました(苦笑)

未来は、遠すぎても、近すぎても、私たちは動けないということかもしれません。
そして、もう一つ、厄介なことにこれらの情報は「使いこなすようにはつくられていない」ということです。
それこそ業界紙や、業界のオピニオンリーダーなら、「世の中はこうなる、だからこう動こう」というメッセージを発することでしょう。
しかし、こういった雑誌などの情報は、「世の中はこうなる」という情報はあっても、あなたの会社や業界に特化して「こう動こう」というメッセージまでは含んでいません。
だから活用が難しいのです。

 

人口問題とて、遠い未来の話なので変数は多い。
ですから人口がこう変わるとわかっていても、そのことで業界がどう変わり、社会がどう変わるかは自分で考えないとイメージしにくいのだと思います。
そうなるともはや、自分事という話とは言えず、どこか遠い世界で起こっている事のようにしか感じられないわけです。

じゃあ、そんな「来年の大予測」をなぜ人は気にかけるのでしょう。
その答えは意外とシンプルだと思います。
安心したいのです。
見えないことは不安です。
それを見えるようにしておきたい。

なんとなく未来を知った気になってとりあえず安心する、というのはありがちな反応だと思います。
ただ、せっかくだったら、その情報をどう活用するか?というトレーニングをしてみてはいかがでしょうか?

たとえば、人口が減る、ということがわかっていたらそこから何が起こるかを考えてみます。
それは人材不足を招きます。
しかし、人材不足と同時に、消費者が減ることにつながるので仕事量も総量として減るかもしれません。
ならば単に今の社内の配置で人を増やすことを考えるのは危険かもしれません。
じゃあ、2人でやっている仕事を、1人でできるようにはできないのか?
今は、人がやらないといけない仕事を、何かで代替できないか?
そのためにAIやRPAを中小企業でも導入できる価格になっているときくが調べてみるか・・・?
そんな発想が浮かんできそうです。

ならばと、世の中のすべてのサービスが、システム化する社会を想像してみます。
いやいや、こんな味気ない「効率」だけの世界を求めているわけではないはずだ、という思いに至ったとします。
じゃああなたの会社は、そんな中でどんなうるおいや、感動を顧客に提供するのか。

まあイメージはどんどん膨らんでいくと思います。

イメージした内容が正しいかどうかは別として、仮説であったとしても未来をイメージできなければ会社の変革は難しいと思います。
「仮」でいいので、自分の中に未来を可視化しないと、リーダーシップは発揮するのが難しいように思います。
「未来のことが気になる」のは、経営者や後継者だけではありません。
あなたの後をついてくる社員さんたちもまた、見えない未来には不安を感じてしまいます。

それを見せてあげるのは、経済誌の予測記事ではなく、リーダーの言葉ではないかと思います。

今のリーダーは、どこかに答えが落ちていないかを探すより、
自分の頭を使って考えることが大事なのかもしれません。

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