後継者向けの本を読みまくって感じたこと

今、私は自分の本を書いています。
その過程で、「後継者」「二代目」「跡継ぎ」とタイトルにつく本をやたらと読んでいます。
ちょっとした市場調査ですね。(いまさらですが・・・笑)

しかし、どの本を読んでも既視感を覚えるような内容なのはいいとして、ちょっと違和感を感じるものが多いのです。

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後継者向け書籍にありがちな4つのパターン

多くの後継者本はこのパターンに分類される

後継者に向けた書籍というとだいたいパターンが決まっています。
①年配の経営者が「こうあるべき」という精神論を解くもの
②税理士やコンサルタントが経理や資金繰り、戦略を教えるもの
③学者がフラットに論点を整理したもの
④成功した後継者が自分の体験を記したもの

実は最近少しずつ、ここに属さない本も出始めています。
実際に、後継者の悩みを聞き、彼らとひざを突き合わせてきた人たちの本は、ここに分類されないものになる事が多いと思います。
なぜかというと、こういったパターンの本が後継者の参考にはなりにくい、という背景があるからではないでしょうか。
私自身、過去に多くの本を読んできましたが、本当にジャストフィットな本とは出合えなかった印象を持っています。

わかってはいるけれど・・・

「こうあるべき」ができれば世話はない

まずは、「あるべき論」を論じた本。
これは、読んでいると、うんうん、とうなずいてしまうほど内容は正しい。
そうそう、経営者とは、後継者とは、こうあるべきなんだ、と。

読めば、なんとなくえらくなった気がします。
けど一方で、自信を喪失してしまう一面もあります。
なぜなら、そうあるべきなのはわかるけど、なれないから困っているわけです。
目指す状態はわかるんですが、自分にはできない、と感じてしまう。

それができれば、世話ないよ。
そんなつぶやきとともに読んでいた記憶があります(苦笑)

経理や資金繰りの知識は大事!・・・だけど・・・

経営者として立派に成長するためには、経理や資金繰り、大事です。
戦略とか、戦術も大事です。
こういったことに関する知識を教えてくれる本はたくさんあります。
調べればセミナーもたくさんあります。

けど、それを学んでもどうにもならない部分があります。
その仕事はたいてい、ブラックボックス化されているからです。
子どもに決算書を見せない親はけっこう多い。
親がやっている仕事を、子どもに見せない親も結構多い。

見せられたからと言って、それがわかったからと言って、何もできない立場にいることが多いのが後継者。
会社が困窮していても、退職金をたんまり持って出ようという親も結構います。
会社の経理をしっかりと個人とわけようと思っても、プライベートな家族の外食に会社のカードを切る親も普通にいます。
これもわかったところで、手が出せない問題、けっこう多いのです。
いずれ役立つかも・・・と予習感覚で読む本なのかもしれません。

後継者は何を目指せばいいのか?

学者による分析

実は意外と役に立つのが、学者による分析の本。
たんなる統計上のデータを引っ張る学者の本は大して役に立たないことが多いのですが、キチンと取材をした本は割と役に立ちます。
たとえば、世代交代をうまくやっている会社と、そうでない会社それぞれの共通点をあぶりだすとか。
そんな取材を通じて、後継者が何に集中すればよいのか?ということを比較的高い抽象度で示してくれる良書もあります。

意外と、親子の確執と言ったデータに見えない部分も把握されている先生もいらっしゃり、そういった先生の本は実用に足るものです。
そうでない先生の本は、まったく使い物になりませんが・・・苦笑

成功した後継者の書く本

成功した後継者の書く本は、だいたいパターンが決まっています。
親の会社に入社し、社員の反発を受け、親との不協和音を体験する。
一時はやめようかと思ったけど、誰かの助言がきっかけでもう一度頑張ってみようと一念発起する。
やり方を変えることで、社員との関係は改善し、新たなプロジェクトが創設される。
そして会社はV字回復。

この物語自体は、とても参考になる話も多いのです。
しかし、非常に私にとって気持ちが悪いのが、こういった本の主人公は「親の分身」になろうとしている点です。
セクションを変えて少し詳しく見ていきましょう。

後継者のサクセスストーリーは自己犠牲的!?

繰り返し出てくる言葉

パターン④の後継者の体験記。
おおむね参考になるものが多いのですが、私が違和感を感じるのはほぼ例外なくこの手の言葉が繰り返されること。
「会社にすべてを捧げた父のために」とか、「親の想いに応えるため」とか、そんな感じ。
ひどいのになると、「親の代わりとして」みたいな表現さえあります。
で、たいていこの表記が、その本の中に何度も出てきます。

たぶん、世の中ではそんな自己犠牲的な感覚が受けるのかもしれません。
けど、その本人はしんどいじゃないでしょうか。
自分は会社のために自分を殺します。
そんな風に言ってるように聞こえて仕方がないのです。

これはあくまで私の眼から見た印象なので、他の方が見ると全く違う印象を受けるのかもしれません。
ですから、私見、と断っておきますが、彼らは実は成功したいまも、そんなわだかまりの中にいるような気がしてなりません。
(著者のみなさん、もし間違いだったらごめんなさい)

後継者の悩みは「自己犠牲」という出発点に原点がある

私は、多くの後継者と接して、また私自身の経験として、感じることがあります。
どうも後継者の悩みは、自己犠牲が前提になっていることにあるような気がしています。
そもそも会社を継いだキッカケが、結局は親の希望を忖度して、というところがあるんじゃないかと思います。
親を助けてあげたい、親の希望をかなえてあげたい、そして、本当のところは親に認められたい、そういう思いをもって会社を継ぐのではないでしょうか。
それが、なんだか美談のように聞こえてしまう。
これがそもそもの後継者の悩みの出発点ではないか、と私は考えています。

その思いは、たいていないがしろにされます。
会社で親はあなたを受け入れてくれないかのようなふるまいをするからです。
あなたの意見を否定したり、あなたのふるまいを評価しなかったり、そして代表を降りないという行動で「信用にたらない後継者」という状況を体現しています。
もちろん、親にはそんなつもりもありません。
言葉を選ばずに言えば、親の未熟さゆえの行動です。
子も未熟なら親も未熟(苦笑)
このもつれた糸を解きほぐすキッカケが、事業承継なのではないか?と最近思います。

自己犠牲的感覚から抜け出そう!

認められたいけど、認められない。
にわかには信じがたいかもしれませんが、後継者の心の奥底にはそんな思いがあるのではないでしょうか?
しかし、これは一面的な見方です。
認められたいけど、認められている気がしない。
本当はこちらが真実に近いことも多いのではないかと思います。

そしてできることなら、
認められたいけど、認められなくても大丈夫。
という状態になる事ができれば、だいぶん楽になります。
そしてその方法は、
認められなくても大丈夫。
という状態に慣れることです。

じゃあ、認められなくても大丈夫になるにはどうすればいいのでしょう?
そこはちょっと考えてみてください。
ヒントは、絶対にあなたの敵になりえない人が誰なのか。
世界中があなたの敵になったとしても、その人はあなたの敵になる事ができない人です。
その人が自分を認められれば、それでOKなんです。
すると、しっかりとした軸を持ち、ぶれることなく物事に対処できるようになります。
そこさえしっかりすれば、枝葉の知識は必要となればいくらでも吸収できます。

たいていのことは何とかなります(*^^)v

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