田村の頭の中

後継者にお勧めしたい映画5選&小説3選

私が親の会社に入社して、その仕事に思い入れることもできず、
成果もあげることができず、未来への不安ばかりで悶々としていた時期があります。
そういったときに、何かヒントはないか?といろんな媒体を探し求めました。

ビジネス書、映画、ドラマ、小説、などなど。
そんな中から、私がすごく参考になったな、と思ったものをピックアップしてみました。
年末年始、もし時間が空けば、ちょっと見てみていただければと思います。

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後継者へのおすすめ映画5選

『タップ』(主演:グレゴリー・ㇵインズ 監督:ニック・キャッスル)

もう30年も前の映画で、あまりメディアに取り上げられることもなかったので知らない人が大多数だと思います。
しかし、もし親と会社を営む中で、自分の在り方に迷ったときには一押しの映画です。

【あらすじ】

天才タップダンサーを父に持つ主人公マックス。
子どものころから父にタップダンスを仕込まれていましたが、父と比較されることを嫌い、ダンスを封印します。
そしてその身軽さを武器に、金庫破りのプロとなります。
しかしへまをして、捕まってしまいます。
刑務所の中で何もすることがない中で、もういちどタップダンスをやりたいという思いがふつふつと湧き上がります。
そして出所した彼は、新しいタップダンスのスタイルを生み出します。

この映画の見どころは、本物の名タップダンサーが数多く出演している事なんですが、私がおすすめする理由はそこではありません。
実は、主人公マックスが出所後編み出したダンススタイルです。
父と比較されることを嫌ってダンスを封印したマックスが、どんなダンスを生み出したか。
その方向性が、リアルに親子での経営の後継者に参考になるものだと思っています。

 

『タッカー』(主演:ジェフ・ブリッジス 監督:フランシス・フォード・コッポラ)

これもやはり30年前の映画。
記憶する限りでは親子関係は出てきませんが、起業家魂というのがよくわかる作品です。

【あらすじ】

実話をもとにした物語で、当時、革新的な自動車デザイナー、プレストン・タッカーは1940年代に革新的な車を設計します。
タッカーは子供のころから自動車の仕事をすることが夢で、それを実現するために自動車を設計して起業するわけです。
その中で、大手自動車メーカーによる妨害などで万事休すの事態も経験します。
タッカーの自動車は果たして販売にこぎつけることができるのでしょうか?

私には最後の「次は冷蔵庫(冷蔵庫だったかどうかは定かではありませんが、家電製品だったと思います)を開発するか」的なタッカーの発言がとても印象的でした。

ちょっとトリッキーで我の強いタッカーは、なんとなくスティーブ・ジョブズとにているな、と思います。
きっと世の中を変えていく人はこんな人なんだろうな、と感じさせられました。
そしてひたすら前に進もうとする姿勢は、とても感銘を受けました。

『アイアンマン』(主演:ロバート・ダウニー・Jr 監督:ジョン・ファブロー)

やっと若い人も知ってる映画が出てきたって感じじゃないかと思います。
この映画、シンプルに見ていて楽しいですね。

【あらすじ】

あまり一般的には触れられませんが、主人公のトニー・スタークは二代目のボンボンです。
父が創業した巨大軍需企業スターク・インダストリーを引き継いでいます。
親はトニー・スタークが若いころ事故で死亡。
ボンボン全開で、適当に仕事をして、派手に遊びまわっていましたが、ある時テロリストにとらえられます。
脅されて兵器を作らされそうになったところを命からがら脱出します。

そんな状況で改めて自分の仕事を振り返った時、それが多くの人を殺めていることをいまさらながら実感します。
そして、トニー・スタークは会社の舵を一気に今までとは正反対の方向に切ろうとします。
その時に現れた敵は、実は意外な人間でした。

ハリウッド映画なので設定もスケールも派手ですが、これらを地味にするとありがちな中小企業の承継ストーリーになりそうです。
とはいえ、気楽に見ることができる娯楽大作でもありますので、もし見てない方はぜひ!

『生きる』(主演:志村喬 監督:黒澤明)

またまた古い映画です。
私は当然リアルタイムで見たわけではないのですが、ある方にすすめられて見てみました。
仕事とは?ということを考えさせられる渋い映画です。

【あらすじ】

役所で毎日退屈な仕事を続ける主人公。
仕事は単調で、日々、承認の印鑑を押すことが彼の仕事の中心でした。
しかしあるとき、彼は自分がガンに冒されていることを知ります。
その彼は、残った命をどのように使うかを考えました。
このままの日々を続けていていいのだろうか?と。
ある時、彼はとても困難なことを始めるのでした。

最近の映画のようにテンポが速いわけでもなく、古い映画なので画像も悪いです。
それでも不思議と引き付けられるのは、黒澤明監督が創る世界観だからでしょうか。
主人公は、自分の命の終わりを身近に感じたとき、自分がどう生きるべきかを悟ります。

後継者にとって、「どう生きるか?」というテーマは決して大げさな話ではないと思います。
そんな指針の参考になる一本だと思います。

『今を生きる』(主演:ロビン・ウィリアムズ 監督:ピーター・ウィアー)

「人をうごかす」ということを私たちは誤解しているような気がします。
後継者として会社の重要な地位に立った時、よくやりがちな失敗は、「規則・ルール」で縛り、私たちが思うような行動を「強制」することではないかと思います。
しかしそれは間違いなのかもしれません。

【あらすじ】

アメリカの全寮制高校では、エリートを育てるべく規律で生徒をがんじがらめにしていました。しかし、生徒たちの眼からひかりは失われており、活気のない学校となってしまっています。
そこに同校OBである教師が赴任してきた。彼は教科書を破り捨て、生徒たちを規律から解き放とうとします。恐る恐る生徒はその教師に関心を示し、自分の殻を破ろうと行動を始めます。しかし、すべてがうまくいくわけではありません。彼らの前に立ちはだかる現実の壁とは・・・?

私自身、いろいろと学ぶ中で、「強制」「規律」は人のやる気や自主性を失わせることを理解しました。
じゃあどうすればいいのか?というところで、この教師のふるまいは参考になる部分はあるんじゃないかと思います。

後継者へのおすすめ小説3選

『宇宙の戦士』(ロバート・A・ハインライン)

ひとことでいうと、軍隊に志願したジョニーの成長物語。
わたしと同世代の方には、「愛と青春の旅立ち」のSF版とお伝えするとわかりやすいかもしれません。

実はこの作品を原作とした映画が「スターシップ・トゥルーパーズ」です。
本書の原題もそうなっているのですが、映画と小説は別物です(苦笑)

また、ここで画像を紹介しているものと、今販売されている「新訳」ともまたちょっとニュアンスが違うようです。
私が読んだのは旧訳(下の画像)のもの。

 

ざっくりしたあらすじは、学校を卒業することになったジョニーは、特にやりたいこともなく、女の子にモテたくて軍隊に志願します。
そこで配属されたのが、機動歩兵といわれるたぶん、今でいうモビルスーツみたいなもので戦う部署。
ハッキリ言って、かなり過酷なところです。
ここで訓練を積み、実践を積み、次第にジョニーが大人になっていく姿が描かれています。

ちなみに、その間に戦争が激化し、徴兵制度が敷かれ後に軍の部下として父が入隊します。
息子が上司、軍への入隊を反対した父が部下、というなんとも印象的なシーンが私の個人的な見どころです。
まあ戦争もの、かつSFなので、読者を選ぶ内容ですが、もし関心があればどうぞ。

そうだ、星を売ろう 「売れない時代」の新しいビジネスモデル(永井孝尚)

ビジネス小説とでもいうのでしょうか。
本書は基本的に、実際に会ったことがモデルになっています。
書いておられるのは、マーケティングに関する陽っとビジネス書を次々と書かれている永井孝尚さん。

何の特徴もないあるさびれた村、長野県の阿智村。
ここで旅館で働く主人公諸星は、衰退する温泉街の再建を思いつきます。
しかし多くの村人は、諸星の考えには賛同できず、動こうとしません。

そんななかわずかな仲間とともに動き出し、村を食い物にしようとするコンサルタントと対峙し、村に新たな価値を創り出した青年の物語。

内容はビジネス書と小説のあいの子のような形ではありますが、物語を楽しみながら村を改革していく様は、かなりリアルなビジネスでも参考となるものではないかと思います。

風のマジム(原田マハ)

こちらも実話にした物語。
小説の世界ではかなり有名な、原田マハさんによるもの。
原田マハさんのイメージと言えば、どちらかといえばMOMA(ニューヨーク近代美術館)を舞台にしたシリアスな小説のイメージが強かったのですが、本作は結構青春です。

主人公は、契約社員から女社長になる、というかなりミラクルな展開。
けど、実話がもとだそうですから、そういうことがあったのでしょうね。
純沖縄産のラム酒を作りたい、という思いに取りつかれた主人公が、人を巻き込む過程には何かしら学ぶべきものがありそうな気がします。
沖縄というイメージからも感じる、さわやかな物語だと思います。

いかがでしたか?

ということで、私が後継者にお勧めする映画5選と小説3選。
かなりマニアックな選択もあったかもしれませんが、私はこれらの作品がいろいろ考えるきっかけになったりもしました。

「インプットが大事」という話はよくあります。
こういうと、なんだかビジネス書じゃなければならないとか、技術書じゃなければならないとか、いろんな思い込みもあると思います。
私は、たんなる教科書の知識を詰め込むことにあんまり価値を感じていません。
それよりも、むしろ、広範な刺激で自分の固まった考えを揺さぶることが、インプットの重要性じゃないかな、と思ったりしています。

そんな時には、映画や小説、マンガなんかも結構いい媒体になるんじゃないかと思います。
そこから何を受け取るか?ということがたぶん大事なのではないでしょうか。
ということで、年末年始、時間があればなにか新しい情報に触れる社レンジをしてみてはいかがでしょうか?

 

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