アイドル、アナウンサー、政治家、経営者・・・
様々な人が、SNSで炎上しています。
その炎上に乗じて、持論を展開する次の集団が出てくる。
さらにそれを煽るメディアが、火に油を注ぐ。
なんともみていてあまり気分の良くない負の連鎖が毎日のように起きています。
これを「寛容さが失われている」という識者もいるようです。
私の感覚では、「こうでなければならない」という思い込みを他者に強要しようとする、ムラ社会的な側面が出てきているような気がします。
——————————————
■後継者向けセミナー開催日程はこちら
■小冊子『なぜ親子経営では確執がおこるのか?~そのメカニズムを知り、後継者が”今”を打開するための5つのステップ[要約版]』無料ダウンロードはコチラ
■YouTubeチャンネルで動画配信も行っています!こちらをご覧ください。
■時々読書会をやっています。開催情報はこちらをクリック
「田舎」というと、地域の結びつきが強い印象があります。
村人の誰が、どこで、何をした。
どこの誰それさんが、あんなことをやっている。
ある友人は、そんな監視社会のような田舎がイヤで、地元を飛び出し大阪に住んでいます。
一説によると、こういったムラ社会は一昔前、人々が協力し合わなければ生きていけなかったことの名残だと言われているようです。
特に農耕社会では、農家は自分の農作物だけでは栄養が偏る。
だからほかの作物を作っている家庭や、猟をしている家庭と互いに依存しあって生きていた。
ムラ単位で一つの生計を成り立たせる社会があったのかもしれません。
となると、ムラの中での他人の動向は自分の生活に直結する情報。
気になってしょうがないのは、わからないでもありません。
そこから日本は一気に工業化を進め、流通が発達し、家庭単位で暮らしが成り立つようになりました。
とうぜん、ムラより小さな家庭という単位で物事が完結するようになり、個が重要視される時代になりました。
そんな中、余計な干渉は受けたくない、という思いから、だんだんと人は必要以上の近所づきあいをしなくなりました。
あるいは、それまでの人付き合いですでにつかれていたのかもしれません。
人付き合いというのは、面倒なものです。
それがSNSなどによるネットの社会になった時、人付き合いは一時より軽くなったかのように見えました。
同じ思考を持つ人が、簡単につながれる時代です。
その反面、こんどは見えないムラがネットの世界に形成されているのかもしれません。
バーチャルな監視社会の登場です。
この監視社会は、リアルなムラ社会とは違い、監視者は自分の姿をさらすというリスクがない。
リアル・ムラ社会であれば、相手を批判すれば、下手をすれば自分も窮地に追い込まれるリスクがあります。
しかし、バーチャル・ムラ社会では、監視者は原則としてリスクを負いません。
リアル・ムラ社会では「陰口」で終わった話が、バーチャル・ムラ社会では世界中に発信されるようになりました。
さらに、それをメディアはビジネスにするために大げさに煽るわけです。
今、インフルエンサーと監視者は、綱引きをしています。
インフルエンサーの一部は、その綱引きの中で、疲れ切ってインフルエンサーとしての役割を降りる選択をする人もいます。
かつてのリアル・ムラ社会で起こった、「出る杭は打たれる」現象がバーチャル・ムラ社会でも行われているわけです。
やたらと他人の行動に干渉したがるのは、人の成長過程に原因があります。
端的に言えば、人に干渉する人は、自己肯定感が低いのです。
そして、リアル社会で自分らしく生きることができず、そんな自分にイラついている人が監視者として「正義」を振りかざします。
自分に何の害悪を及ぼすわけでもないことに、あたかも正義の味方のように持論をふりまき、相手を疲弊させ、相手を引きずり降ろそうとします。
ムラ人は、ムラの中に同化せよ、と言わんばかりに。
芸能人の子育てとか(他人がとやかく言うことじゃないでしょ?)、
政治家の偏った発言とか(政治家ってそういうものでしょ?)、
経営者の強烈な意見表明も(それもマーケティングの一環でしょ?)、
アンタには関係ないやろ、ということをグダグダ文句を言う。
すべてがそうだとは言いませんが、多くの場合こういう行為は、攻撃者にはこんな心理が働いているのではないかと思います。
他人に自分の正義を押し付けることで、自分の立場を保とうとしているのではないか、と。
自分が正しい=相手が誤っている。
そうやって相手をひれ伏せさせないと、自分の心理的な価値が保てない人です。
つまり、自分で自分を認められない人だと言えます。
これはネットだけの話ではありません。
人を支配しようとするのは、自分では気づいていませんが、自分を認められないから起こる行動です。
自分で自分が認められないから、形式的な支配権を持つことで、何とか心のバランスを保とうとするわけです。
子どもにやたらと干渉する、「毒親」しかり、
小言ばかり言って部下の自主性をそぎ落とす上司しかり、
後継者に口をはさんで、後継者に経験を積ませない先代経営者しかり。
みな基本的な心理構造は同じだと思います。
特に現代は、そういったムラ社会から飛び出そう!という意見が強くなってきました。
そうなってくると、ムラ社会に依存する人ほど、そこに不安を感じます。
だから、ムラ社会とは独立して生きる人を徹底的に叩き、ムラ社会の一員として綱紀粛正することでヒーローになったつもりになる。
そのことを当の本人が自覚しないから、けっこう根の深い問題ではあるのですが・・・。
一方で、ムラ社会を脱出した人は、別の次元でのムラ社会を形成し始めました。
今の場所を飛び出せないやつらは、ダメだ、という主張です。
これはこれで、ちょっとした違和感は漂います。
かくいう私も、「あいつらと自分」という対比でものを見ていることはよくあります。
これは、あるいはヒトの本性なのかもしれません。
仲間とそれ以外をわけて考える。
とりあえず手っ取り早く落としどころを考えるとすれば、さまざまな場所に仲間を作ることかもしれません。
右も左も、上も下も、それぞれにフラッと顔を出せるくらいの気ままさがちょうどいいのかもしれません。
逆に、一つのコミュニティに固定することは危険です。
コミュニティは、宗教に近いものがあると思います。
そこで信じられていることが、世界のすべてだと感じるのは非常に危険です。
様々な場所に、さまざまな形でかかわり、どこにも染まり切らない自分を持つ。
それが今の時代をうまく生きるコツなのかもしれません。
——————————————
■後継者向けセミナー開催日程はこちら
■小冊子『なぜ親子経営では確執がおこるのか?~そのメカニズムを知り、後継者が”今”を打開するための5つのステップ[要約版]』無料ダウンロードはコチラ
■YouTubeチャンネルで動画配信も行っています!こちらをご覧ください。
■時々読書会をやっています。開催情報はこちらをクリック