後継者

下請け会社がもたない2つの機能

親から引き継いだ会社が下請け体質だった。
発注元はムチャばかり言うし、利益率は低い。
それでも売り上げの多くをそこに負うため、その仕事をやめるわけにはいかない。
このままでは会社の未来は明るくはないな・・・。

そんなシーンにぶつかる後継者は多いようです。
こういった会社にありがちな特徴はいったいどんなものなのでしょうか。

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下請け仕事を中心に行っている会社には、普通の会社がやっている仕事をせずに済んでいる可能性が高いと思います。
普通なら社内の人間が苦労してやっていることを、外の会社にやってもらっていたわけです。
そのおかげで、バブル経済が盛り上がった頃までは効率よく稼ぐことができました。
なにしろ、二つの部門の人員が不要だったわけですから。

その二つの部門というのが、販売と、開発です。

下請け企業は、営業は元請け企業に対してのみ行えばいいので効率的です。
そして、発注があって製造する形であれば、在庫を持つこともなくリスクは低い。
しかしその結果、元請け企業の支配的な立場が成立しやすくなります。
NOをいえない状況に陥ってしまうわけです。

そもそも元請け企業に潤沢な仕事がある場合は、このしくみは非常に効率的に回っていたわけです。
しかし残念ながら、今や元請けも仕事量の確保に四苦八苦しているところが多いと思います。
さらには、元請け企業も激戦の中で価格的な圧力を受けていることも多いので、そのしわ寄せは下請け企業に及びがち。
かつては効率よく回っていた仕事が、今では足かせになっている下請け企業が続出したということでしょう。
さらには海外の企業などの台頭により、ますます下請け企業は厳しくなってきていると思います。

 

開発については、自分で企画する商品というのを作らずに済んでいるケースが多いのが下請け企業です。
元請けの企画・規格・設計に応じて作るという流れです。
試行錯誤して、自社商品を開発するといった手間をかける必要がないので、人員的にも資金的にも効率的であったと想像できます。
しかしこれは諸刃の剣で、差別化が難しい状況を自ら生み出してしまったわけです。

 

下請け企業という立ち位置が、かつては非常に効率的で、中小企業にマッチしていたと言えるわけです。
ですからこういった会社のスタイルを確立したのは、親の世代においては正解だったと言えそうです。

しかし今や、市場はずいぶんと変わりましたから、このスタイルから抜け出す努力が必要と言えるでしょう。

たとえば、ヤマト運輸をここまでの大企業にし、個人宅配を発明した小倉昌男氏は、実は親から引き継いだ会社を大改革しています。
従来、トラックによる運送と言えば、大量輸送が当たり前だったそうです。
しかし、当時最大顧客であったデパートとの契約を切り、誰もやらなかった個人宅配をスタートさせ、今に至っています。
宅急便を開発し、取次店の営業を行い、最終的にかつてのデパートなどから顧客を一般消費者に切り替えたということになるのでしょう。
これはまさに、下請け企業を、直接消費者との取引に変化させた成功例だと思います。

親から引き継いだ会社が、下請け企業でこのままでは未来が厳しいと感じたとき、
・販売先を変える(別の業種や一般消費者に自分たちの技術を役立てることはできないか?)
・商品を変える(何かしらの企画でアクセスできる客層を変えることができないか?)
という事を検討することで何か打開策が見えることはないでしょうか。

下請け企業というと、製造業をイメージしやすいと思いますが、サービス業などでも同様です。
そんなちょっとした工夫と変化へ身をゆだねる勇気が、会社を大きく変身させることもあると思います。

後継者のいだきがちな、「会社に魅力がない」という感想は実はちょっと違うのかもしれません。
会社の能力の活かし方が変わったから、その調整が必要だということなのではないでしょうか。

近年はちょっとした起業ブームです。
何も持たずに起業するのも大変で、歴史ある企業を買おう、という動きもあるようです。
そんなリソースを持つことができる後継者は、一歩リードした状態と言えるかもしれません。
使えるものは最大限活かすのが、楽して稼ぐ(まあ楽ではないとは思いますが・・・)近道なのではないでしょうか。

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