一昔前、肉体労働者は給与が低く、
頭脳労働者は給与が高い、
というのが常識だったと記憶しています。
しかし、最近、ホワイトカラーの仕事の価値が暴落しているような気がするのです。
よくある「AIに奪われる仕事」的な生地に出てくるのは、ホワイトカラーの仕事がかなり多くを占めています。
この変化は、後継者の働き方に何か変化をもたらすのでしょうか?
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Contents
ブルーカラーとホワイトカラーの賃金格差がなくなりつつある!?
流れ作業的ホワイトカラーの出現
若い世代の人は、「ブルーカラー」「ホワイトカラー」と言ってもピンとこないと思います。
ですから、若干説明しておきますね。
ブルーカラーというのは、襟の色が青色ということ。
これは、作業服をイメージしています。
そしてホワイトカラーは、白いえり。
つまり、スーツの下の白いYシャツのイメージだと思います。
ここから、ブルーカラーというのは身体を使い、主に製造業に従事する人を指し、
ホワイトカラーというのはどちらかと言えば頭を使う労働者を指す、
というイメージがあります。
頭を使い、いろんなものを生み出すことに価値があり、誰でもができることではない(はず)なので、相対的に賃金は高い傾向がありました。
しかし近年、傾向として、ブルーカラーについては最低賃金の規定があることから一定以下には給与が下がらない。
そして、ホワイトカラーについては、人のだぶつき感からか賃金が下がっている傾向が強いように思います。
実はこの理由をもう少し考えてみると、エンジニア系は未だ高い賃金が提示されていることを考えると、仕事の内容についての変化が一つの原因ではないか、と思っています。
その変化というのは、「流れ作業的ホワイトカラー」という仕事のスタイルが完成しているのではないでしょうか。
マニュアル通りの働き方
ホワイトカラーに関しては、その創造性が賃金の高さと連動していたはずだと私は思っています。
しかし一方、今のホワイトカラーは、マニュアルでがんじがらめです。
そして自分で何かを考えることもなく、上司に言われたままを実践します。
そこに創造性は皆無。
何かを創り出す人ではなく、ただ言われたままをこなす人。
こうなると、製造業における流れ作業と大差ありません。
むしろ、体力を使わない分、ホワイトカラーのほうが賃金が安くなるというのは、感覚的に納得感があります。
企業側は、「とんでもないミス」を恐れて社員を活躍させない方向に動いたわけです。
上場企業がそんな風にし始めると、中小企業も基本、右に倣えです。
結果として世の中のホワイトカラーは、
「で、あなたは何ができるんですか?」
と聞かれて、何一つできることが言えない状態なのかもしれません。
後継者の立場と流れ作業的ホワイトカラー
会社によって違うでしょうが、私が知る限り、この「流れ作業的ホワイトカラー」と近い働き方をしている後継者は意外と多いと思います。
本人がそう望んだわけではないと思います。
しかし、常に、親が先回りして物事を決め、後継者を尊重しない。
結果として、気が付けば、自分は親に従うだけの、ロボットだった、という話は割と多いと思います。
そしてその期間が長いと、もはや自分で考えるよりロボットでい続けたほうが楽です。
親85歳、後継者60歳となったら、第三者の私でもこういってあげたい。
「後継者のためにも、親は後継者が70歳を過ぎるまでは頑張って稼いでください」と。
たとえば、親のイエスマンを30年もやってきて、60歳代になって「さあ、お前の時代だ。お前の経営をやってみろ」なんて言われても、出来るはず等ありません。
引退のタイミングを逸した親は、生涯現役で、後継者のスネを太らせておいてください(笑)
価値ある仕事とは?
後継者は本当に一番でならなければならないのか?
ホワイトカラーとブルーカラー。
かつては違った価値を創り出してきたが、ホワイトカラーが価値を創造できないことが増えて、賃金は減ってきているという話をしました。
市場において、価値があるかないかが、金銭的な評価に連動するのが一般的です。
さて、後継者として親の会社に入った子供。
この人が、求められているのはどんな能力でしょうか?
経理がわかるとか、決算書が読めるとか、営業ができるとか、リーダーシップがあるとか、商品開発ができるとか、
まあいろいろありますね。
けど、考えてみてください。
経理とか決算書とかの専門的知識が長けた人はいくらでもいます。
営業やリーダーシップ、商品開発だって、出来る人はすごい人がごろごろいます。
もしかしたら、社内には、後継者を超える人たちの一人や二人、いるんじゃないでしょうか。
後継者が犯しがちな過ちは、
彼らと競争して勝たなければならない
という思い込みです。
そういう思い込みから、時間を浪費したり、社員とトラブったり(経験あり苦笑)、マウンティングしあったり、
とかく社内の雰囲気を殺伐としたりすることもあります。
スター経営者の跡を継ぐ者のジレンマ
まあだいたい昭和の時代に活躍した経営者って、スターですよね。
たとえば、営業だったり、職人だったり、一芸に秀でた人が多い。
そして社員が100名に満たない会社だったりすると、中身はほぼワンマン経営。
つまり、その会社の脳みそであり、心臓だったりを経営者一人がワンマンで牛耳っています。
圧倒的一番をもっているスター経営者なわけです。
後継者はそんな親を”見習って”スターを目指すわけです。
まあ普通この時点で、ちょっと違和感がありますよね。
たとえば、長嶋茂雄を目指した長嶋一茂。
この人、もともと野球と同じくらい(もしくはそれ以上)空手が大好きだったみたいです。
野球なんてやらずに、空手の道に進んでたら、もっと自分を活かせたんじゃないか?
ということを考えたりもするわけです。
ムリして親と同じフィールドでスターになろうなんて言う発想、どう見ても合理的とは思えません。
後継者の本当に価値ある仕事とは?
そこで、後継者にとってもう一度価値ある仕事とは何かを考えてみたいと思います。
それはズバリ、「自分の個性を活かした仕事」です。
ホワイトカラーの均質化についてお話ししましたが、今やほとんどの仕事は同じようなやり方、進め方で行われます。
そのせいで、ホワイトカラーの社会における価値が低下しました。
こんなことだったら、AIでもできるやん!レベルの仕事に成り下がっているケースは多いと思います。
それは機械的に行うことが可能で「誰がやってもそこそこ成果を上げる仕組み」を作ってきた結果だと思います。
効率の時代はそれでよかったかもしれませんが、今は創造の時代に入っていると思います。
そうすると、誰でもできることを後継者がやっても仕方がありません。
ならば、後継者しかできないことを、後継者しかできないやり方で実現していくことを考えていくのが、最も価値を生む考え方だと思います。
誰でもできる、から自分しかできない、という個性を活かす方向ですべてのことを考えてみてはいかがでしょうか。
大事なのは、人に従うことではないのだと、私は考えています。
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