後継者

【番外編】大学教授に「学習する組織」と「ティール組織」を教わりました

このブログ、日々をつづる日記的な内容は今まであまり書いていません。
ただ今回は、番外編としてある体験を通して考えたことをお伝えできればと思います。

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2018年9月1日。
蒸し暑い朝。
観光客のごった返す原宿駅に降り立ちました。

ここに来た理由は、ある友人から誘われたから。
「東京でティール組織という新しい組織についてお話しを聞く機会が出来そうです。
よかったら一緒にどうですか?」
というメッセージを頂き、二つ返事で参加を希望させていただきました。

言葉を選ばずに言えば、私は某所で
「従業員なんて、会社というシステムの部品でしょ?」
なんていう暴言を吐いたこともある男。

当時、その”部品”を交換可能にするためには?
ということを割と真剣に考えていました。

さすがにここまで直接的な表現をする人は少ないでしょうが、
「仕組化が大事」と言っている人の一部は同じことを考えている人もいるのではないでしょうか?
表面的には取り繕って「社員は大事」なんて言いながら、業務をすべて仕組み化・マニュアル化して、
「いつだれが辞めてもすぐにバックアップできる体制をとる」なんていう表現をする。
私的には、そういう言い方が妙に偽善者っぽくて好きではなかったんです。

ま、その結果、同時多発テロ的に辞表の山ができたこともあったのですが・・・苦笑

 

その後いろんな経験をする中で、その昭和的価値観ではうまくいきそうにないことがわかりました。
ずいぶんと回り道をしたのですが、ちょっぴりシステム思考をかじってみたり、モチベーションのマネジメントについて考えてみたり。
そして極めつけはあるメンターの一言でした。
「あなた、他人のことをバカとおもってない?」
彼女は続けてこう言いました。
「人が自分より劣っているという前提で人に”ティーチング”するのと、
それぞれの人に天才性があって、それを引き出すことを考えるのと、
どっちが楽しいと思う?」

それを聞いてハッとしました。
リーダーシップってそういうことなのかも。
「オレについてこい」って格好よく見えるけど、「オレより優れたヤツ」が来たらどうするの?って話です。
きっとそんな人はつまらなくなって、”オレ”の前を去っていく。
けっきょく、”オレ”以上の人はそのコミュニティや会社には残らない。

けど、オレ以上か以下かはともかくとして、相手の才能引き出すことができる自分であれば、そこには素晴らしいコミュニティができるんじゃない?と気づいたわけです。
そしてそれって、各々のモチベーションにもつながる・・・はず。

たとえば顧客に対しても、社員に対しても、その潜在的パフォーマンスを引き出すことができたらみんなハッピーだよね。
会社に関わらず、周囲に複数の人が集まればそれは組織になります。
その中で、そこにいる人のパフォーマンスをどう引き出すか?
そんなことを日々考えるようになってきたわけです。
会社でいえば、「今ある仕事に人を合わせる」という考え方から、「人に合わせて仕事を作る」という感じでしょうか。

そんな課題意識の中で、今話題の組織論。
とくに、ティール組織という考え方は今様々なところで注目されてる考え方だと思います。
私自身、書籍は読んではいましたが、やはりちゃんと学びたいという思いはあったので渡りに船でした。
(二代目のサポートを考える私がなぜ組織について考えているのか・・・ということを書いてたらヒジョーに長くなりましたのでその経緯はまた別の機会に)

 

前置きがかなり長くなりましたが本題です。原宿駅から数分歩いたところに、今回の講師(というよりファシリテーター)をお引き受けいただいた方のオフィスがあります。
竹下通りから、ほんの徒歩4~5分ほどの距離なのに、静かな一角にある瀟洒なオフィスビル。

そこで出迎えていただいたのは、株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表取締役社長の斉藤徹先生です。
斉藤先生は他にも、学習院大学経営学科の特別各員教授も務められ、株式会社dotでは「学生発のイノベーションを世界に広める」というコンセプトにコミットした学生主体の会社も興されています。

さて、実は私は楽しみな半面、失礼ながら懐疑的な気持ちもありました。
というのも、ティール組織というのは今のちょっとしたバズワードだと思います。
しかし、教科書使って「これがティール組織だ!!」と言われてもねえ、という気持ちは少しありました。
実際にお読みになるとわかるのですが、ティール組織って「こうすればできる!」的なシンプルなノウハウではないと思うのです。
やり方というより、あり方が大事なものだと個人的には感じているもの。
それを大学の先生に教わるというのもどうなんだろう?という疑問も正直言ってあったわけです。

しかし、講義が始まって数分で、その危惧は霧散しました。

 

講義の中身については、ティール組織というよりもピーター・M・センゲの「学習する組織」に関する話が中心だったように思います。
この本もわりとボリュームのある本で、そもそも本書のロジックの中心となるシステム思考というのもなかなか難しい。
私はざっくりした理解しかしていませんが、それを非常にわかりやすい形でお伝えいただきました。

そこで、学んだ知識を活かして「実際の組織にありがちな悩み」を解決するための考え方を議論していくわけです。

約2時間の講義の中で、「知識」としてお伝えいただいたのはたぶん、全体の半分くらいの時間じゃないでしょうか。
それ以外の時間は、ワークショップです。
お題について考え、議論しあい、それぞれの解を自分の中に持つ時間。
正解もなければ、間違いもない。
心理的安全性が保たれた場で、それぞれがそれぞれの意見を出し合う。

そうすると、それぞれの視点から理解した、講義内容や参加者のバックグラウンドが言葉になってその場に放たれます。
そして自分も感じ、気づいたことを言葉にすることで、さまざまなフィードバックを得られます。
そんな中で、自分なりの気づきが得られていく構成は、さすがの人気授業を持たれる先生です。
(斉藤先生は先生である前に、起業家なのですが)

特に、株式会社dotは、もともとティール的な組織を目指して作られたようで、実践の中で鍛えてこられた斉藤先生の「場」のつくり方は絶妙です。

この場づくりと、気づきを促す、コーチングというのが組織づくりにはとても大切なんだろうな。
そんな風に感じました。

 

ところで、私が今回もっとも響いた話。
それは、ティール組織の解説に入った時のふとした言葉です。
ざっくりお話しすると、ティール組織の研究では、組織や人を、精神的な発達段階で5つの層に分けています。
具体的には、もっとも原始的なREDの組織(恐怖支配の組織)から、AMBER(軍隊的な上下関係の組織)、ORANGE(システマチックな科学的マネジメントの組織)、GREEN(家族的な多様性を認める組織)、TEAL(組織が生命体のように自律する組織)と5段階に分けられています。

その発達段階における上を目指すのはどんな時か?
ということをさらっとお話しされていました。
それは、現状で「問題・壁を感じたとき」に次の段階を模索し始める、ということ。
たぶん、その時に対処療法的に問題を”処理”するのではなく、根本的な解決を目指したときに”違う方法”を試すということなんだと思います。

これ、実は親子の事業承継でもとても参考になるんじゃないでしょうか。
今、目の前にたとえば、親子の確執という問題がある。
どうしてもその問題を、手っ取り早く解決したいから、相手をねじ伏せようとしたり、避けたり、ふたをしたりしようとする。
すると、何度も繰り返し同じ問題がやってきちゃうんですよね・・・。

何かをしようとするとき、「これは今の問題の根本的解決になりえるだろうか?」という問いを立てることが大事なのかもしれません。

 

・・・ということで、とても気付きの多い一日を過ごさせていただきました。

さて、ミーハーな私は、先生の願いしての記念撮影(笑)
ツーショットでお願いします、と他の参加者を抑えた私は、ティールにはほど遠いかもしれませんが、ボチボチと成長してまいりたいと思っております。
斉藤先生、お誘いいただいたOさん、そして場を共有していただいた皆様、ありがとうございました。

【ご参考】

システム思考の概要を説明した簡単動画

システム思考をもう少し深く理解したい人に参考となる動画(YouTubeの字幕機能で日本語字幕で見ることが可能です)

【斉藤徹先生のご著者】

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