小さなことからコツコツと・・・
とはお笑い出身の議員さんの言葉として有名ですね。
なんだか根性論的で好きじゃないんですが、
割と世の中的にはそんな風にできてるような気もします。
一気に大きな変化を狙うのもいいですが、積み重ねていくってのも悪くないですよ。
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「こんな商売に未来はねーんだよ、バーロー(馬鹿野郎)!」
「そもそも、人を介した営業みたいな非効率、いつまで続けるつもりだよ!」
さすがにここまで過激発言ではありませんでしたが、
10年近く前、こんな内容のことを先代である父にぶつけました。
まあそのあとはご想像の通りケンカ腰です。
お互い相手の一番痛いところをつつきあい、傷つけあう。
いやー、私も若かったし、
先代も若かった。
もう少し大人になった私は、少し変化球をおぼえました。
社内会議で切り出しました。
自分達のビジネスの賞味期限が切れ始めてることを丁寧にし、
社内にこう問いました。
「今まで私たちは、顧客にどんな価値を提供していただろうか?
これから私たちは、どんな価値を提供していけばいいだろうか?」
それを問い続けて、出てきた答えがたとえば、
フリーマーケットをやってみようとか、
あいてる会議室をレンタルルームで貸そうとか、
まあ本業とはあまりかかわりのない意見。
(ちなみに父の始めた家業は保険の販売店です)
そんな決定は一定の目的があってのことです。
私の信念として、世のすべてのビジネスは
・困りごとをなくすか
・なりたい状態を実現する
という価値を顧客に提供しています。
とくに家業が保険という以上は、困りごとをなくすために存在しています。
ということは、世の中から私たちが価値提供している(とおもっている)ことに対する必要性がなくなることが理想の世界です。
なぜなら、そもそも困りごととしての保険のニーズがなくなるわけですから。
となると私たちは今あるリソース(資源)を使って、新たな価値を提供しなければなりません。
そこで会議においては、顧客の困りごとにフォーカスしました。
その結果、「場所」という価値をどう活かすか?
つながりを作る仕事をしている我々が、その価値を最大化するにはどうすればいいか?
その結果レンタルスペースとして「場所」を貸し出そう、ということになりました。
現在、先代も元気で会社に来てはいますが、あまり会社のことに口を出さないようにしてくれているようです。
だから何をやってもさほど苦言を呈することはありません。
そういった関係性の変化はありますが、それでも冒頭のようなこちらの主張の押しつけをしたら、黙ってはいないかもしれません。
というのは、先代が後継者を抑えようとするのは、自分の領域を冒されることに対する不安からです。
だから、レンタルスペースなんて言う、本業とは一見関係のない動きに関しては、比較的スルーする傾向があります。
そこに社員が相当な時間や労力をとられると目立ってしまいますが、レンタルスペースだとたいした労力でもありません。
会社的にはイノベーションともいえる活動が起こり始めているのに、先代からのハレーションは起こらないのです。
そこで私たちは今まで経験しなかった事を経験します。
保険というキーワードで人を集めるには、かなりの経費と労力が必要でした。
ほとんどは営業社員の力ワザです。
しかし、限りなく無料に近いレンタルスペースは、何の広告もしないのに、人が人を呼んでくれます。
ある方が講師として私どもの会議室で講義をすると、その生徒さんから「私も使いたいんですが」と問い合わせを頂きます。
これまでは、営業が必死こいて名刺交換をお願いして回ったけど、レンタルスペースは顧客(候補)が向こうから問い合わせしてくれます。
これ、まさに困りごとを解決する方法を世に問うたわけです。
マーケティングの基本です。
なんとなく人が集まる場ができた。
すると次に考えるのは、その人たちが、私たちに振り向いてくれるための仕掛けです。
例えば目に付くところに問い合わせ用紙を置くとか、
そもそもスペースの空き時間にそんなイベントを挟むとか。
いずれにせよ、過去にご利用いただいた方々はリスト化してますので、どんな風に関係を深めていくかがこれからのテーマです。
まだまだ完成にはほど遠いのですが、ここまででなんとなく、
・会社の意識変容が起こり始めた
・新たなビジネスモデルのヒントが集まりつつある
などといった流れができつつあります。
たぶん、社内の誰一人「すごく新しいことをやってる」「今まで経験しなかったことを思い切ってやってみた」とは感じていないはずです。
なんとなくやっていて、振り向いてみたら結構いろんな事やってきたんだ、という感じです。
実は私たちは物事を複雑にする傾向があるんじゃないかと思います。
特に仕事上のことだと余計にそうです。
で、複雑で、斬新すぎるプランは、たいてい先代や社員から拒絶反応が起こります。
もちろんそれぐらいドラスティックにやったほうがいい時もあるとは思います。
ただ、小難しく考えず、「ちょっとやってみるか」ぐらいの感じが構えなくていいことも多い。
こういった取り組みを、私は「アナログ版Google戦略」と呼んでます(笑)
考えることはシンプルです。
Step1お客さん(候補)が、どうやれば自ら当社に来たくなるかを考える
ここで失敗しがちなのは、自分たちの商品を買ってもらうための来店誘導を考えるから。
お客さんが進んで来たい(楽しいとか、学びになるとか、幸せになるとか)場所にどうやればなるかを考えてみるのが大事だと思います。
Step2集まったお客さん(候補)が、どうすれば私たちとつながれるかを考える
名簿は必須ですね。
Srep3つながったお客さんとどう関係を深めるかを考える
継続的な関係性が大事だと思います。
Step4関係を深めたお客さんからどう問い合わせをいただくかを考える
ここで初めて、「あ」と思ったときに私たちを思い浮かべてもらう仕掛けです。
また、「あ」と思ってもらう仕掛けも必要ですね。
すごーく失礼な表現になりますが、やってることはこんな感じだと思います。
つかまえたい野鳥がいるとしましょう。
まずはエサを置いて食べてもらう。
野鳥にとっては、安全だな、と安心してもらう。
だんだんとエサの置き場を自分に近づける。
で、最後は・・・って感じですね。
これで、人海戦術の営業とか、押し売りめいた営業はこの世界から根絶したいと思ってますし、人がつながることが保険の一部代用になる効果もあります。
10年前に、こういったことを
「こんな商売に未来はねーんだよ、バーロー(馬鹿野郎)!」
「そもそも、人を介した営業みたいな非効率、いつまで続けるつもりだよ!」
的な話として先代に話をしたら、完膚なきまでに叩きのめされました。
だけど少しずつ前に進むから、却下されない。そもそも、却下されるタイミングがない(笑)
却下されないために、意識的にステップの動きを遅くするというのも本末転倒かもしれません。
ただ一方で、社員をはじめとした私たちが体を慣らす意味でも、少しずつ状況をかみしめながら前に進むというのもハレーションを起こさない工夫です。
こういう試行錯誤、やり始めると担当社員のほうがはまりだしますよ(笑)
今回のお話は、親とじっくり話をしましょうと言っているわけではありません。
そんなことしたって親子の確執は解決しないことのほうが多い。
それよりも、拙速な会社改革にフォーカスするとだんだんと孤立しはじめるのが後継者のありがちなパターン。
そんな状態につかれたら、小さな変化を積み重ねていく努力をしてみるという選択肢もあるんじゃないですか?という提案です。
そして勢いがついたら、ガツン!と行けばいい。
変化を体験することで初めて、人は学び、前に進むものです。
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