たとえば、売り上げが上がらない。
そんな悩みがあったとします。
それに対して、いくつかの方法があると思います。
・営業の行動を管理しよう
・営業のやり方を変えよう
・営業のモチベーションを上げよう
これらは、即効性が高い。
即効性が高い分、ある問題をはらみます。
その問題とは何なのでしょうか。
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後継者の場合、営業部門のリーダーを任されることが多いのではないでしょうか。
そうすると、じりじりと売り上げがさがるとき、何かしらの手を打たなければならない。
となったらたいてい思いつくのは、冒頭の3つ。
・営業の行動を管理しよう
・営業のやり方を変えよう
・営業のモチベーションを上げよう
となるわけです。
行動管理というと、たとえば最近は、さまざまなシステムがあります。
営業がどのタイミングでどの顧客とどんな話をし、どんな反応があった。
最近コミュニケーションをとっていない顧客はだれか。
なんていうのが、日頃から行動を入力しておくと、ちゃんと一覧できる。
行くところまで行っちゃえば、GPSでどこをどう動いたか?まで知ることが可能でしょう。
けどこれってどうなんでしょ。
管理される社員は息苦しい。
管理するほうだって結構大変です。
やれば成果は出る。
けど、問題は社員のモチベーションはダダ下がりですよね。
ああ、会社は俺たちのこと信用していない、となって会社へのロイヤリティは下がる。
こういった人が会社を辞めるとなったら、未払い残業代の訴訟なんてものを起こしたりするんじゃないでしょうか。
そういった管理はほどほどにして、じゃあやり方を変えよう、として見る。
今まで一押し商品だったものを別のものに変えてみる。
顧客との接触頻度を調節したり、アプローチトークを修正したり。
会議の中で、実行、反省、改善を繰り返してみる。
これも、やれば割と成果が上がります。
そしてモチベーションのマネジメント。
これがけっこう難しい。
たいていは、キャンペーンやったりしますね。
けど気を付けたほうがいいのは、ご褒美を前提としてるので、その時一時的にモチベーションが上がってもそれが終われば以前より下がります。
これは心理実験で実証されていますので注意が必要です。
また、行動管理は、モチベーションを下げる要因の一つですから、施策がぶつかったりもします。
とはいえ、やはり短期的には成果を生みやすいでしょう。
・・・ということで、ここで上がった3つの対策は、短期的には成果が上がる。
ただ、中長期的にみるとどうでしょう。
さらに売り上げを上げたければ、さらなる行動管理。
するとモチベーションは下がるから、キャンペーンを打ちまくり。
あの手この手で営業手法を変えていく。
なんだか書いてるだけで大変そうです(汗)
ここで、ちょっと高尚なお話を。
かのアインシュタインは、こんなことを言ったそうです。
『問題はそれが起きたのと、同じレベルで解決することはない』
この言葉が正しいとすると、営業の問題を営業のやり方で解決するというのは、果たして正しいのか?ということになります。
前述の話のような、問題となる現象につぎはぎをあてるような対策は、一度収まってもまた噴出します。
馬に鞭を与えれば速く走りますが、興奮状態を終えたら失速するのと同じでしょう。
そして厄介なことに、疾走し続けるということは馬の命を削ることになります。
組織も同様で、無理やり行動させ、モチベーションを上げ・・・とやっていると組織の疲労が出てきそうです。
これがPDCAの限界ではないかと私は考えています。
じゃあ根本的解決をしましょうよ、ということになる。
すると、営業という「なにをどうやるか?」という次元ではなく、
そもそもお客さんの購買行動から見ていく必要があるような気がします。
なぜあなたの商品に手が伸びないのか?ということです。
(自分たちは)どうやって売るか?というより、(お客さんは)どうすれば買いたくなるか?
と主語を入れ替えて考えてみましょう。
・その商品を知らない
・その商品を使う理由がわからない
・その商品をあなたから買う理由がわからない
・商品に価値を感じない
・商品を手にするための障害(面倒くささ)がある
・商品を今買う理由が見つからない
などなど。
こうすると、単に営業の問題かもしれないし、そうでないかもしれない。
こんな話があります。
簡単にアイロンを当てられるアイロンという商品があるそうです。
それを販売サイドからすると、どんなパッケージで売り出すか?なんてことを考えがち。
一方、顧客にしてみれば、アイロンが良くてもアイロン台が悪ければ意味がない(その会社はアイロン台を作っていない)
また形状記憶シャツといった繊維業界はそもそもアイロンを不要にする生地の開発を一生懸命やっている。
そんな中で、手間をかけずにアイロンがかけられるという商品が、お客さんの心に突き刺さるのでしょうか?
何か違う切り口や、商品そのもののとらえ方を考える必要がありそうです。
こういったことはいろんなシーンで起こっているのではないでしょうか。
それを考える(もしくは社内で考えるファシリテーションをする)のは、たぶん後継者を置いていないわけです。
だからもし何かに困った時、脊髄反射的に「今やっていることを改善する」ことをやるだけでなく、そもそもその問題が起こっている根源はどこにあるかを突き止める意識をしてください。
即座にアイデアが浮かぶとは思えませんが、さまざまな人とのコミュニケーションが触媒になることは多分にあるのではないでしょうか。
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