後継者

同族企業の後継者が自分らしい経営をするための2つの質問

後継者として親の会社をひきつぐとなったとき、やはり不安なものです。
経営に合格点はありません。
ある意味どこにでも行けるのですが、どこにでも行けるというのは怖いものです。
だからストレスを感じながらも、一本道をすすんでいくのが一番楽なんです。
いわゆる、親の敷いた線路を行くパターンです。

しかし、昨日の成功は明日の失敗につながるといいます。
どこかで私たち後継者は自分の方向性を打ち出す必要が出てきます。
そういったときにこの二つの質問は、あなたのガイドになってくれるのではないでしょうか?

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「今までのやり方ではダメなんだ」
親の経営を見ていてそう感じる後継者は多いと思います。
しかし、批判はできても、代案がない。
だから強く反発できない、という後継者、意外といらっしゃるのではないでしょうか?
私もそのひとりでした。

私に関して言えば、ざっくりとした方向感だけは持っていたのが救いですが、
それを実現する方法論を持たなかったのでずいぶんいろんな周り身をしています(苦笑)

 

ここで、ある人物を紹介させてください。
ジャック・ウェルチという人です。
このかた、フォーチューン誌の1999年に「20世紀最高の経営者」と評したCEOです。

GE(ゼネラル・エレクトリック)に就任する際、経営学者のピーター・ドラッカー氏に相談にったそうです。
そしてドラッカー氏はジャック・ウェルチに二つの質問をしたといいます。

一つ目は、

「あなたの会社は電気機関車も作っているし、冷蔵庫や電気カミソリも作っている。さらには原子力の分野にも手を広げようとしている。もし、今、再びゼロから始めるとしたら、全ての事業をやりますか?」

というものだそうです。
これをもう少し一般化すると、こんな風にアレンジできるかもしれません。

「あなたの会社をもしゼロから作るとしたら、今のような事業をしますか?」

 

私たちは、事業を「継承する」という言葉に惑わされて、今の事業の在り方を基本に考えがちです。
しかしそれは、事業者側の勝手な都合と言えるかもしれません。
社会も、消費者も、もはや求められていない事業であれば、何かしらの変化が必要です。

一方で、今と同じような事業をやっぱりやるだろうな、と考えたのであればそれはそれで尊重すべきことです。
人には「サンクコストバイアス」というのがあるそうです。
これはこれまでかけたお金や労力がもったいないからと、将来性のないものを捨てられない心理作用です。

それを排除して、まっさらの更地として考えたとき、今のビジネスが妥当かを判断する重要な質問だと思います。

 

 

そして、さらに考えていただきたいのは次の質問です。

上記の質問に「いいえ」というなら、あなたは何をしますか?

これは実際には、件のジャック・ウェルチとの問答の中では「世界で1番と2番以外の物を捨てる」という結論に至ったようです。

あまりに漠然とした質問すぎて、あるいは困ってしまうかもしれません。
実はこのやり取りの裏話として、世界で1番、2番、という話の背景には「ワクワクドキドキする事業」という選択基準が提示されたそうなのです。
要は思い入れができるかどうか、ですね。

 

そこでもう少し考えてみましょう。
一般的な同族企業は多くが中小企業。
さすがにGEのようなありとあらゆる業種をカバーする企業ではないでしょう。
だから、足を引っ張る事業をやめると言っても、ちょっとピンとこないかもしれません。

しかし、今の事業をやめてしまって、「こういう事業をやりたい!」という強い思いがあるならそれを進めるのも一考です。
とはいえ、たいていは何がやりたいかはよくわからない、という方が多いのも現実です。
ではせっかく事業を「継承」するのですから、今やってることを分解してみてはいかがでしょうか。

たとえば、印刷業なら、仕入れの仕事があり、営業の仕事があり、印刷の仕事があり・・・
今の仕事の中でもたくさんの作業があります。
それを例えば、強い部分をより強化して、他社の仕事を請け負うことはできないか。
自分達の持つ技術を活かすことができる別の製品やサービスはないか。
同業他社がそれぞれ自社内でやっていることを、束ねて自社で請負うことはできないか。
事業単位ではなく作業や技術単位で一つ一つ精査をしていくと、何かしらヒントが見えてくることがあります。

これは、今の会社が「やっていること」ではなく、「リソース」に目を向けるきっかけになります。
自分達は今何を持っているか?を知るいいチャンスになると思います。
そこで生まれた仮説を具体的に進めていくと、きっといろんな問題が出てきます。
その問題を乗り越えるたびに、会社の進化を実感するのではないかと思います。

件のドラッカー氏は、コンサルティングに際して「知識や経験よりも無知を活用する」と言っているようです。
自分の持っている知識や経験(あるいみ自分の持つ常識と言えるかもしれません)を外すきっかけとして、自社のリソースをどう活かすことができるか?にフォーカスしてみてはいかがでしょうか。

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