後継者

同族企業の後継者がもつ不安の正体・自信の正体

同族経営の後継経営者が口にする悩みの一つは、将来への不安です。
自分は果たしてこのままでよいのだろうか?
自分に会社のかじ取りがやっていけるのだろうか?
会社はこの先どうなっていくのだろうか?

別に、こういった不安は後継経営者特有のものというわけではありません。
しかし、とりわけ後継経営者がそういった不安を口にするのをよく見かけます。

その背景には、自信のなさがあるのだと思います。
その自信は、どのように作られていくのでしょうか?

 

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今回は、「自信」の正体について考えてみたいと思います。

創業社長のあふれ出る自信はどこから来るのか?

「自信」は「確信」

同族企業の跡取りとして会社に入った。
しかし、先代である創業社長をみていると、
とてもではないけど自分があの立場に立てるとは思えない。
跡取り経営者はそんな不安や悩みを抱えがちです。

じゃあ、先代社長はなぜあれほどまでに自信にあふれているのでしょう?
まずは、シンプルな結論をお伝えしましょう。
あの自信の正体は、
成功への確信
がそうさせます。

考えてもみてください。
先代社長は、後継者であるあなたより数十年単位でその仕事を経験しています。
その間には、いろんなトラブルや問題もあったでしょう。
しかし、それでも今までやってこられたわけです。

だからわかるんです。
これをこうやれば、上手くいく、という事が。

創業社長もしり込みすること

そんな自信にあふれた創業社長。
しかし、彼らもしり込みすることはあります。
それはやったことのない事を始める時です。

たとえば、今まで小さい仕事から大きい仕事まで、
依頼のあった仕事はこなしてきた。
ちょっと大変そうだけど、今回はかなりの規模の仕事。
これをやりこなせるかどうか?
そういうシーンであれば、きっと創業社長は自信満々で乗り切るでしょう。
なぜなら、今までの延長線上の仕事だからです。

じゃあ、従来とは全く違う業者からの依頼。
仕事自体も、やったことのないようなタイプの仕事。
こんな依頼が入ったときは、さすがの創業社長も相当迷うでしょう。
いえ、かなりの確率でそういう仕事は断る可能性だってあります。
なぜか。
過去の経験が、役に立たない心配があるからです。
本人は認めないかもしれないかもしれませんが、
全く経験のない、新しい事に対しては、消極的になりがちなのです。

創業社長も人の子。
つねに自信満々とは限らないのです。

経験の差が自信の差

1+1=2
この数式に、何の疑いもなくあなたは答えられるでしょう。
しかし、まだ算数を習い始めたばかりの子どもであれば、
不安げな表情をしながら回答するかもしれません。

だからといって、その子供よりあなたがすぐれているか?
と言えばそんな判断はできません。
単にあなたは、1+1を間違わずこたえられるだけの練習を積んでいる。
つまり、自分の答えに確信を持っているから自信があるのです。
一方、経験不足の子供は、おっかなびっくり。

つまり、表面的な自信の差は、経験の差以外の何物でもありません。

経験を積めば自信がつくのか?

「自信」が作り出す罠

では、経験を積めばよいのでしょうか?
これはある一面においては正解であり、
ある一面においては誤りです。

足し算には明確な答えがあります。
日常的なルーチンワークにおいても、
基本的なパターンがあります。

これらは訓練を積めば、正しいアウトプットが可能です。

さて、ここで問題になるのは、経験がものをいうのであれば、
後継社長は永遠に先代・創業社長を超えられないというジレンマが発生します。
あなたがいくら努力をしても、先代との距離はちぢまらない。

こんどはこれが劣等感につながります。
ああ、俺は努力をしても、先代には追い付けないのか、と。

しかし、ここに大きな落とし穴があります。
算数なら答えは一つです。
経営においては、正しい回答はこの世に存在しません。
自信がある事、つまり過去の経験から確信を持てる未来に進んでも、
それが必ずしも正解とは言い切れない現実があります。

「自信」には2つの層がある

実は、自信には2つの層がある、という考え方があります。

スキルや技術といった、練習でつけられる自信が、表層にある自信です。

同じ事を繰り返しやることで、成功を確信できる状態。
これが表層にある自信です。

人前で話すとき、セールスでお客さまと向き合うとき、
自信をつけるためには、準備をするとか、練習をするとか、
そんな事をすすめる人は多いですね。
これだけの準備をしたのだから大丈夫。
そうやって、自分を納得させよう、という考え方です。

多くの人が言う自信というのはこの部分。

車の運転も、何度も繰り返せば自信がつきます。
接客の仕事も、何人も繰り返せば自信がつきます。
それは、
自分の行動 → 上手くいったという現実 → 自信
というサイクルで、人の頭の中に「自分はできる」という
思い込みを作り上げます。

技術が崩れ去ったときに残るもの

この自信、日常的には非常にありがたいものです。
しかし、練習して上手くなった。
だから自信ができました。
この状態で気を付けたいのが、その習得した技術が使い物にならなかった場合です。
たとえば、少年野球では一生懸命練習して、自分は4番バッターだった。
しかし、高校に進学したとき、あまりに周囲がうますぎて、自分はレギュラーが取れなかった。

ある会社では、自分はトップセールスマンだった。
それなりに営業には自信を持っていた。
しかし、会社を転職して、扱う商品が変わったら売れなくなった。

こうなると、ダメージは相当なものです。
かつて、上手く出来ていただけに、余計に精神的打撃は強いのではないでしょうか。
こんな時、「どうせ俺なんて・・・」と心がぽきりと折れてしまう。
練習で培った自身は、意外ともろいものなのです。

ガラスの心を補うために

何かにとりつかれたような人たち

ここまでは、自信の表面を取り繕うのは、技術やスキル、経験が作り出す確信だというお話でした。
こういった表面的な自信は、その技術やスキル、経験が役に立たなくなれば、非常に無防備になります。
人はそういった状態を恐れるあまり、何かしらの武装をします。

もしかしたら不釣り合いな高級車を買ったり、
とんでもない高級スーツに身をまとったり、
やたらと高価なアクセサリーを身につけたり、

次から次へと資格を取得したり、
高額セミナーに足しげく通ったり、
朝から晩まで取りつかれたように働いてみたり。

症状は様々でしょうが、
何かで自分の鎧をつくろうとします。

私に関していえば、知識です。
このブログでは、日ごと経営の様々なジャンルの内容をつづっています。
マーケティング、マネジメント、戦略、ビジネスモデル・・・
そこそこビジネス書レベルの内容を書いてきていると自負しています。
それは、単純な話、自分の弱さをカバーする鎧。
そのためにただひたすら、勉強してきたからです。

で、本質的な自信がついたか?
と言えば答えはNOです。
こういった、知識が活かせなければ、私はとるに足りない人間。
未だにそういった感情を持っている事は認めざるを得ません。

こういった人にとって、高級車マニアであれ、知識武装であれ、
それをやめてしまう事は自信の源を捨ててしまう事になりかねません。

二代目が放蕩息子と言われる事が多かったのは、
もしかしたらお金を使うことで自分の揺らぐ自信を支えてきた結果なのかもしれません。

本当の自信の根拠

最近よく思う事があります。
根拠のない自信ほど強いものはない、と。

経験、ノウハウ、技術といったものに裏打ちされた自信は、
その経験やノウハウに価値が見出せなければ打ち砕かれます。
しかし、何があっても揺るがない自信は、実はその奥に隠れています。

それこそは、自分の存在における自信です。
自分は存在しているだけで価値がある。
そう思えることが、本当の自信と言えるでしょう。

しかし多くの方は、自分の事を信頼しきることはできていません。
するとふとした時に、不安が顔を出すわけです。
特に、自分の持つ考え方が他人と違ったりすると、
「え、大丈夫かな?」
といったふうに自分の考えを押し込めてしまいます。

これ、自分より、他人が正しいと言っているようなものです。
自分より他人を信じている状態ですね。

自信という言葉は、自分を信じると書く。
こういう話はよく耳にします。
しかし、実際は自分よりも他人の評判、評価を気にしているのが現実。
自分を心底信用できていれば、他人の評価は気にしないはずです。
それができないから、他人の価値観を受け入れて生きているのです。

自分を認める

では、そういった本質的な自信を取り戻すにはそうすればいいのでしょう?
鏡の前で自分に微笑みかける。
子どもの頃の自分をイメージして対話する。
こういった心理カウンセリングにおける方法論はあります。
続ければ効果はあると思うのですが、何となくピンとこない人も多いかもしれません。

そんな時に、おすすめなのは不安や恐れが出たとき、その感情を無視しないようにすること。
あ、なんか不安。→なんで不安なんだろう?→会社を上手く経営できるかわからない
こんな感じでその不安の理由を解明していきましょう。

基本的に、会社経営なんて誰もが失敗しています。
名経営者と言われている人でも、何度も会社を危機に陥れてます。
だから、あきらめましょう。
どうせうまくやろうと思ったって、出来るものではない。
その上で、会社がいい状態になるために、自分ができる事は何か?
を考えていきます。

上手い下手なんて言うのは、人と比べての話です。
誰かと比べることをやめて、自分ができる事にフォーカスする。
そうすると、少しでも劣等感は和らぎます。

何かあったとき、自分に技術があるとか、知識があるとかではなく、
自分は乗り切れるだけの人間であることを認める。
これが根源的な自信です。
根源的な自信に根拠はありません。

 

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