世の中の流れは、たいていワンパターンです。
規模の大小を問わず、市場が成熟すれば企業間の合併が始まる。
効率化の名のもとにそれで企業の規模は大きくなります。
なんとなく、その場をしのいだ気分になるのですが、突っ込んで問うてみることも大事なのではないでしょうか。
で?その先は?と。
私の著書です。
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Contents
とりあえず合併?
大企業にありがちな動き
どんな業界であれ、市場が成熟してくると盛んになるのが企業間の合併。
金融機関、薬の卸、自動車メーカーなどは結構そんな歴史を繰り返していますね。
大義名分としては、スケールメリットを追求し・・・なんて感じでしょう。
簡単に言うと、効率化です。
確かに、規模が大きくなると効率化できる部分は増えます。
特に、上場企業の場合、管理部門の負担は大きいのでこれを効率化するという点では効果はあるのかもしれません。
さらに、大企業は、中小企業との取引においてもバーを設定します。
一定以上の量の取引でなければ、お付き合いしませんよ、と。
大企業に引っ張られる中小企業
親分からそんな風に言われた中小企業は、それを放置するわけにもいきません。
当然、合併なりして自分たちも大きい取引を維持しようとします。
取り急ぎ、それでほっとするかもしれません。
しかし、その先には、何があるのでしょうか。
ある程度の規模になりました。
今までなかった管理部門を独立しておかなければなりません。
人は増えたし、事務所も人くなるので、固定費は上がっています。
考えてみましょう
わかりやすくするために、
大企業=メーカー
中小企業=販売店
という設定で考えてみましょう。
大企業は効率化を図ったものの、販売額の伸び悩みが続いている。
なにしろ、成熟している市場ですから。
それでも、給与も高く、高度な管理を求められる大企業のコストをどこかで回収しなければなりません。
仕入れの値段は規模のパワーで圧縮できても、それだけでは吸収しきれないほどの販売不振。
となると、販売店に卸す値段をあげざるを得ません。
利益率の下がった商品を、中小企業(販売店)は顧客に販売します。
成熟した市場ですから、顧客は価格に対する感度は敏感です。
値段が高ければ、NOを突き付けられます。
仕方なく値下げをする。
中小企業が取れる粗利は、どんどん低下。
しかも、大企業の要請で大型化しているため、コストは増大している。
上からと下からの圧力に耐えかねて、次にはまた合併を繰り返すのでしょうか?
その結果、力を持ち始め、メーカーとの交渉力を持ち始める。
しかし、メーカーはそれが疎ましい。
既得権益を守るために、手段を選ばず販売店潰しをはじめる・・・。
小説にでもなりそうな話ですが、割と身近なところで起こっている現実です。
先を考える力
答えが出なくても考え続ける
この程度の図式なら、後継者という立場のあなたは簡単に考えが及ぶ話だと思います。
しかし、そこへの解決策が浮かばない。
結果、考えるのをやめてしまう。
これが、中小企業の経営者・後継者が陥りがちなパターンではないでしょうか。
この手の話を見て見ぬふりをしているのか、同業者の社長と話したところでほとんどの人は回答を持っていない。
だから、ほとんどの同業者が一気に衰退していくのです。
結果として、業界ごと消えてしまった業種というのも結構あるように思います。
まだまだこれだけ多くの同業者がビジネスをしている。
だからそのあとをついていけば、自分たちも大丈夫。
そんな風に思う事もあるかもしれません。
しかし、それは本当なんだろうか?と思うから私はもがいています。
お手軽にどこかに答えがあるかもしれない。
そう思って、数年前、私はバカみたいにセミナーに行きまくりました。
銀行口座が底をつき、改めて振り返ると、その答えはどこにも落ちていなかったように思います。
ただ一つのヒントを得た以外は。
これからの時代を担う後継者のヒント
私は、ずっと家業の保険代理店の仕事に従事していました。
その中には、お客さんの売上と業種の組み合わせによって保険料(掛金)が決まるビジネス向けの保険があります。
その中身を、何年も見ていると、ある共通点に気付きます。
繁盛しているお客さんは、ほぼ例外なく、新しい仕事を常に始めています。
もちろん、数年のうちに辞めてしまうものもあります。
また、新しい仕事を始めるといっても、根底から事業を変えてしまうわけでもありません。
主な事業をベースとし、そこから派生した関連ビジネスをいろいろと試しています。
逆に、数十年にわたって業種や扱う商品に何の変化もないお客さんは、売り上げが減少傾向にあることが多いように思います。
以前、経営コンサルタントとして有名な、神田昌典さんが著著の中でこんなふうにおっしゃっていました。
「従来の業種の枠組みの中で仕事をするのは難しい時代に入った。うちの会社は○○業です、と言える状況は危険。」
たとえば、GoogleやFacebookなんかの飛ぶ鳥を落とす勢いの会社は総じて、○○業で表現できるビジネスモデルではない。
そんな事を考えると、あながち暴論でもなさそうに思えてきます。
つまり、今この世にないものを作り出す時期に入っている可能性は高いと思います。
それもそのはずで、戦後一貫して伸び続けた人口は減少に転じているといいます。
同じビジネスが成り立つはずもないのかもしれません。
複数の事業承継本が示唆する後継者の役割
後継者の役割というと、様々な考え方があります。
とはいえ、驚いたのは、最近読んだ二冊は、両方とも同じことを言っています。
新規事業を創る事
が後継者の役割の一つとして挙げられているのです。
安易な新規事業の展開は賛成できるものではありません。
勝算の見えにくい、既存事業の後追いも慎重に考えるべきでしょう。
そうなると、今この世の中にない(もしくはあってもほとんどの人が手を出さない)場所に、腰を据えて取り組む必要がありそうです。
業種分類にない新規事業。
いかにも難しそうですね。
しかも、既存事業がもつリソースを活用できるものである必要があるでしょう。
実際には、失敗を重ねることで、それが明確になることが多いようです。
まず持つべきものは、自分の仕事として新しいチャレンジが必要である、という認識からのスタートかもしれません。
アイデアなんてすぐに思いつくものではありません。
しかし、あきらめず意識し続ける事が重要なのだと思います。
常識を疑う
まず手始めに後継者が考えたいのは、業界の常識を疑う事です。
●コストに合わないといわれる商品をちゃんともうけが出るよう工夫できないか?
●コストダウンが難しいというジャンルを圧倒的にコストダウンできるスキームが作れないか?
●お客さんは、こういう事を求めている(はず)と業界では言われているが本当か?
●こういった客層はビジネスとして成り立ちにくいと言われているが本当か?
●ラインナップを増やすべきだと言われているが本当か?
などなど。
実は、常識というものは、意外と根拠のないものが多いのです。
そうすると、新規事業とはいかないまでも、何かしらの事業変革のヒントはつかみやすくなります。
その思考の中で、本当の意味での顧客視点を獲得することができます。
そういった目を持ち、トライ&エラーを続けていく中で、新規事業のイメージが見えてくる可能性は高い。
今の会社を見直すことが、新たなニーズの発見につながることは意外とあるものです。
そこからスタートしたほうが、先代の受けもいい(と言っても先代からの抵抗はあるでしょうが)。
まずは今の事業を今まで持っていなかった視点で見直す、というとこからスタートされることをお勧めします。
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