事業を渡したくない先代と、事業を引き継ぎたくない後継者

親子間での事業承継が上手く行かない背景には、驚くべき事実が隠れていることがあります。
口では、事業を譲るという親は、事業を渡したくない。
いつまでたってもバトンを渡さない、と不満をあらわにする子は、事業を引き継ぎたくない、という現実です。
これは、自分でも気づいていないことが多いので、余計に厄介なのです。

事業を子に継がせようと、後継者を会社に入れてもなお、事業を引き渡したくないという事はどういう事なのでしょう?
過去の記事にも書いたことがありますが、特に創業社長は仕事こそ生きがいです。その仕事を他人に渡すという事は、生きる価値を失う事にも相当するような空虚感を感じるほどの事のようです。

また、仕事の現場にいることで、世の中から認められ、頼られている実感を感じています。そうすることで、自己重要感(自分がかけがえのない人間であるという実感)を感じることができます。まさに、生きる糧が現場にはあるといっても過言ではないでしょう。

会社を手放してしまう、という事はまさに、今感じることができている自己重要感を手放すことだと、経営者は無意識に悟っています。だから、会社の手綱を全て話してしまうには、相当な決心が必要になります。
口では、「もう疲れたから、早く引継ぎをしたい。」とか、酷いときには「まだまだ、お前には無理だ」という訳ですが、その背景にはこんな心理があると推測できます。
譲らなければならないけど、譲りたくはない。
この気持ちに、本人が気づいていないことがほとんどだから難しいのです。

 

一方、譲られる側の子の心理としては、早く実権を渡してよ、と懇願する表向きの心があるものの、すっぱり「明日からお前、全部やれ」といわれたら、これはこれで心もとないものです。
実は、子としても今のどっちつかづの状況だから、得をしている部分も全くないとは言えないはずです。
最後の最後、どうしようもなくなったら、親が何とかしてくれるだろう・・・、そういった思いがあるからこそ、多少の無茶もできる一面はあるのではないでしょうか。

上手く行かないことを、親のせいにして自分の面目を保とうとしたことが一度もない、という人は少ないのではないかと思います。

 

つまり、あえて乱暴な言い方をするならば、当事者の誰一人として、スムーズな事業承継を望んでいる人はいない、という事なのです。

 

誰一人、ゴールにコミットしないプロジェクトが上手く行くはずもありません。しかし、会社は毎日営みを続けますから、そうこうしているうちに先代が体調を崩し、後継者がそのポストに就く。そこで権力の綱引きは終了、という事になります。
しかし、そうなったときに、最も困るのは誰かといえば、後継者自身なのは明白です。準備不足での独り立ちという最も恐れていた現実が目の前に立ちはだかるわけです。
であるなら、まだ先代の元気なうちに一歩でも歩みを進めておいたほうが良いのは、論理的に考えて正しい行為ですよね。しかし、何かを始めようとすれば先代に否定されるというジレンマが後継者にはあります。
そのジレンマを簡単に解消する方法はなかなか見つかりませんが、先代の価値観を理解し、そこに沿った行動をとる、といった考え方が重要です。
もちろん、それは言いなりになる、という事ではありません。後継者の価値観と、先代の価値観の共通項を探る、という事です。

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