親子経営における後継者の人の悩みの一つに、「親である先代が会社を譲ってくれない」という話があります。
実はこれ、あるあるな話で、
・会社の代表は後継者に譲ったけど、自分も代表取締役でい続ける先代
・会社の借入金の保証人を後継者に変更したけど、銀行のハンコはもち続ける先代
・後継者に、会社の数字の責任を押し付けるけど、自分は社内でいつも声が大きい先代
・後継者に会社を譲ったと言いつつ、後継者の決断を尊重しない先代
など、様々なパターンがあります。
さて、こういった状況かにおいて、後継者は
「なんとか会社の主導権を握りたい」
と考えています。
実はそれは、どこからやってくるのでしょうか。
中途半端ではいけないのでしょうか。
私の著書です。
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Contents
親の会社を引き継ぎたいけど引き継げない
後継者が親との権力争いを行う理由
親は会社を譲るといいますが、実際にそれがしっかりと実行されることは少ない。
冒頭であげたように、様々な状況を作りつつ、先代はなかなか後継者に会社を譲ってくれません。
初めのうちは後継者もそれも仕方がない。
自分の能力が追いついてないからだ、という考えに至ります。
後継者としては、いつかは先代は自分を認め、代を譲ってくれるだろうと頑張ります。
しかし、何年たってもそんな風なことは起こらない。
先代は、65歳になったら引退すると言いつつ居座る。
70歳になっても、元気だからとまだまだ陣頭指揮を執る。
75歳になると、後継者は焦ってきますが、先代は生涯現役なんて言い出す。
つまり、後継者としては、「自分は先代には永遠に認められないのか」と落胆します。
その結果、実力行使として代替わりをもくろみ始めます。
先代を追い出したい、あるいは後継者である自分が会社を辞めたい、というところに気持ち入ってしまいます。
こうなると、後継者と先代のバトルが勃発します。
焦る後継者と他意はない先代
このような状態において、後継者は非常に焦っています。
一日も早く、会社改革を行わねばならぬ、と。
そうしないと、自分の将来が見えないんですね。
後継者はこれから数十年、会社を預かる身。
だから、会社を自分のやり方にあった組織にしたいし、
自分の考える未来に調整していきたい。
なのに、先代がそれをしっかり受け止めてくれることなく、
自分中心の会社であり続ける。
後継者としては焦ります。
そして、責任を持たなければなりません。
それを阻む先代は、口では「後継者の能力が不十分」と言いますが、
実際はさほど深い意味が無かったりします。
だいたいは、仕事から距離を置く勇気がないだけだったりするのです。
後継者はこの現状にイライラするけれど……
後継者が反発すると先代はより頑なに
このような状態では、後継者は未来への不安に襲われがちです。
後継者はなんとかしなければ、と焦ってしまいます。
これは、自信のなさの表れと言えるかもしれません。
それもそのはずで、会社経営なんて初めてのこと。
ある意味緊張状態なんだと思います。
そこにきて、協力的には見えない先代の振る舞い。
後継者はそんな状態にイライラします。
だから先代に厳しく当たったり、排除しようとしたり、自分が辞めたくなったり、今の状態を何とか変えようと必死です。
しかし現実はそんなに思い通りにはいきません。
私たち後継者が先代に攻撃的になればなるほど、先代も強く反発をし始めます。
後継者は現実を変えようとすると苦労する
実は私たち後継者は、自分以外の事を動かそうと必死になります。
先代、社員、会社、取引先、顧客・・・
しかし、多くの場合それは失敗に終わります。
周囲を動かそうとして失敗した後継者は、さらに何とかしなければと頑なになります。
けどここはいったん肩の力を抜いてください。
そこからがスタートです。
そして、大事なことは、現実を受け入れる、という事。
先代は後継者に本当は代を譲りたくない。
社員は、今までとやってきたことを変えたくない。
顧客や取引先も変化を求めていません。
それを私たち後継者の都合で変えようというのです。
そのあたりは、まずはみんな「求めていない」ことを私たち後継者がやろうとしているという自覚をしていくことが大事です。
次にやるべきことは、彼らが変化した先に期待できることを、私たち後継者が行動で見せる必要があります。
「あの後継者についていけば、きっとよくなるのではないか」という印象を持たれるような後継者であることが大事です。
人を変えるより、まずは自分が変わる。
ここからなのではないでしょうか。
結果として任せてもらえなかったとしても
その結果、例えばやっぱり先代は、自分の会社での権力を手放さないとなれば、それを含めて受け入れることが大事です。
むしろ、そうすることで、認知症の防止になっていることもあるかもしれません。
ある友人は、先代から仕事を取り上げた結果、認知症がひどくなり、携帯電話でお客様に毎日何回も電話するようになったとか。
携帯電話を取り上げて施設に入れても、会社に朝から晩まで電話をかけっぱなしになってしまったとか。
それはそれで大変です。
会社に関わってもらえるなら、むしろその方が幸せなのかもしれません。
そんな形で、起こることはすべてベストである、という受け止め方をしていくと、きっと打開策は見つかります。
後継者が育てるべきスキルは、そういった思い通りにならない事を受け止める能力なのではないか、と私は考えています。
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