後継者

事業承継の地図は随分変わっている? 長男が継ぐ時代の終焉

X(Twitter)で「事業承継」というキーワードで検索してみます。
すると、いまは、事業のマッチングサイトや、M&Aの企業の記事がほとんど。
かつては、長男が継ぐのが普通だったわけですが、随分と時代は変わったような気がします。


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長男と親の人間関係

後継者がいない理由

親の会社を子が継ぐという常識。
今や常識じゃなくなったようです。

そもそもそういったことが普通に行われていた背景には、親や家の絶対的な支配力があったように思います。
たとえば、昭和の時代であれば、ある程度親の言うことは絶対だし、家のしきたりは最優先。
お見合いで配偶者が決められるのが普通だったりしたと言いますし、配偶者の不満をあれこれ言うなどもってのほか、という空気感があったように思います。

そんな時代で、人の人生を年長者が決めるのが当たり前だったわけです。
そりゃあ、親が商売やってれば、有無を言わせず継がせるというのはその時代当たり前だったのでしょう。
それは、家の中だけでなく、村であったり、国全体の風潮。
そこを外れれば村八分ですから、ほとんど別の道を探ろうなんて人はいなかったのではないでしょうか。

一方現代は、閉鎖的な社会から一変、自分の事を自分で考えることができるようになってきました。
親世代もだんだんと、「子どもの人生」を尊重するようになりました。
選択肢が増えた環境の中で、親は家業を継ぐことを強制できず、子は窮屈な環境を抜け出したいと考える。。
そんな事から、そもそも後継者の成り手がいなくなりつつある社会の変化があったように思います。

事業承継がうまくいかない理由

さらに言うなら、親と子というのは非常に難しい。
昭和世代の男親は、いわゆる頑固おやじであることが多い。
あるいみ、そんな頑固おやじをねじ伏せて上に上がっていくことこそが、後継者に求められる資質と考えられています。
一方で後継者は、そこまでのモチベーションはないことが多い。
後継者は闘うことなんて求めていない。

そもそも、親子関係の時点で、強い父親とそこにひれ伏す子供という関係。
これが仕事でも続くと、なかなかきつい。

そして、かつては周囲から後継者をじっと見つめる目がありました。
村ぐるみ、社会ぐるみで、親の会社を継ぐことを求める目です。
けどいまは、だんだんと村や社会のつながりが希薄になってきています。
後継者が自分で決めることができる時代になってきました。
すると、そういった親子関係や、会社の在り方などのわずらわしさを避けるようになったのではないでしょうか。

また、一緒に仕事を始めたとしても、永遠に子ども扱いの環境の中で、後継者は自立が難しくなってきたりもします。

事業承継の代替手段

親族間の継承からマッチングサービスへ

もともとは、親から子へと引き継がれた事業。
近年はむしろ、M&Aやマッチングサービスが目立ってきました。
引き継いでくれる相手がいないのならばそれもやむなし、ということでしょう。

ではそもそも、社内の人間への継承は難しいのでしょうか?
実はここはむずか石ところで、そもそも経営者というのは自覚が必要です。
しかし、同族会社の場合「自分が会社を引き継ぐ」ということを自覚している一般社員はいないでしょう。
ここが同族会社の特徴的な部分。
場合によっては、経営したい人はその会社を飛び出してしまっているかもしれません。

話を戻すと、かつては別の選択肢が目に入らないくらい社会から囲い込まれていた後継者。
現在は、囲いが外れてしまい、それでもなお親の会社を選ぶのか?という問いに悩まされる人が多いようです。

消去法で親の会社に入るくらいなら…

私は、消去法で親の会社に入るくらいなら、親の会社に入らないほうがいいと思っています。
事業が消えていくのは残念ですが、それも世の中の流れです。
大事なのは、自分で自分を活かすことじゃないかと思います。
今の世の中は以前と違って、別の選択ができる可能性も出ています。
ならば、それもしっかり吟味してもいいんじゃないかと思います。

そのうえで大事なのは、「自分で決める」ということ。
仕方なく就職したってろくなことがありません。
なぜなら、永遠の言い訳を手に入れたことになるのですから。
それよりもむしろ、思ったように決めて、思ったように行動してください。
人生その方が楽しいし、結果はきっとよくなると思うのです。

変な思い込みに縛られず、どうしたいかを自問自動してみましょう。
きっと自分の答えが見えるはずです。

 

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