後継者

組織にとって重要な「トリックスター」を抑えてはいけない!?

親の会社を継ぐ後継者が、事業承継において組織に関するマネジメントで引っかかることは多いと思います。
そういったときに、後継者としてはとても大事にしたいのが「トリックスター」的役割を担う人です。
トリックスターというのは、いたずら者のこと。
秩序を破り、場を引っ掻き回すのですが、それが組織のブレイクスルーのきっかけをつくったりします。
完璧主義で失敗やミスを好まない後継者の場合、こういった人を排除しようとしがちですがそうすると組織の摩擦が増え、硬直化に至る場合がけっこうあります。
そんな組織のトリックスターと、後継者のかかわり方について考えてみたいと思います。

関心を持っていただいた方は、画像をクリック。

真面目なリーダーが陥りがちな罠

真面目なリーダーは組織を硬直化させがち

後継者って、恐らく親の会社で「真面目なリーダー」であろうと頑張っていると思います。
もしそうだとすると、社内会議ではメンバーの発言はかなり限定的ではありませんか?
実は私も父から代替わりして間もないころ、私が司会をする会議はシーンと水を売ったような静けさでした。
当時は、「そもそも父である先代は、会議をほとんどやらず、やったとしても一方的にしゃべるだけで意見なんて求めなかった。むしろ封建的な父に意見を出せる人なんていなかっただろう。その癖がついてみんな意見が出せないんだ」なんて言う風に考えていました。

しかし、どうもそれだけではなさそうです。
まずは会議をしますが、その時にわたしは自分の言いたいことをまず言いました。
こういう背景があって、こういう未来があって、今はこういうことを考えなければならない、みたいな話をまず私からしていました。
この時にわたしは、「この文脈からそれた発言はするなよ」とか、「私の考えにある程度コミットしたうえで発言しろよ」というように、メンバーの発言をコントロールする意図を持っていたような気がします。
そうするとメンバーは発言することが難しくなります。
結局沈黙にいら立ち、私が「答え」を言い、その流れで会議終了。結局私が言ったとおりに皆を動かす、という流れがあったように思います。
つまり、メンバーから見れば、意見を聞いている風で実は聞いていないという会議。
私にしてみれば、どうせ彼らは何も考えていないから、私が考えなければならないと、結局は自分で説明をして終了、という会議にかわっていきました。
これでは組織の活性化は見込めません。

結論はリーダーが納得できるものを求めていた

このような私の経験で何が問題だったか、というと、会議において求めている結論は私が納得できるもの以外は受け入れない、という姿勢だったように思います。
メンバーにゆだねているようでゆだねておらず、メンバーのアイデアを期待してる風に装いつつそれを求めていない。
そんな言外のプレッシャーを社員が感じていたのではないかと思います。

当時の私としては、会社のために最適な解を出さねばならぬ、すぐに結論を出さねばならぬ、会議としての時間を人から奪う以上はそれなりの成果が必要である、という比較的真面目な思いを持っていたように思います。だから、おぜん立てをして会議に臨んでいた結果、何もかもを自分でやっていたということでした。

組織におけるトリックスター

秩序を悪意なく破壊するいたずら者

前出のトリックスターというのは、現在の秩序を悪意なく破壊し、飛び跳ねます。
人のイメージで言うと、実務を頼むには少し頼りない部分があるんだけど、チームのムードメーカーとして癒しや笑い、柔らかい雰囲気づくりをする人という感じでしょうか。
過去の慣例やしきたりを飛び越えて、柔軟な発想のヒントを提供してくれたりもします。
実は、活発なチームというのは必ずこう言うキャラクターの人がいます。

これは、その人の個性ということもありますが、組織のなかの役割分担でもあるので、あるチームに入ると普段はそうでもない人がけっこういたずらっ子っぽく振る舞うケースなどもあります。
もし後継者であるあなたの組織に、このようなイメージのチームメンバーに思い当たる人がいないとしたら、そういった人の活躍を押さえつけている可能性があるのではないでしょうか。
組織が活性化されているかどうかを見る一つの指標として、こういったトリックスターが目立っているかどうかは大事だと思います。
一度意識してみて、誰がトリックスターの役割を担えて、その人が元気に跳ね回るためにはどうすればいいかを考えてみてください。
それはリーダーの大事な仕事の一つだと思います。

トリックスターが活躍するためには

リーダーがトリックスターを演じる人が元気に活動する環境をつくるには、秩序を離れた活動を受容する必要があります。
適度な脱線を受入れる必要があります。
遊びがない組織は発展が難しいのです。
後継者はその重い責任やプレッシャーから、とてもまじめに業務を遂行することを重視するため組織に遊びをつくることを嫌いがちです。
それでうまく行くならいいのですが、たいていはどこかで頭打ちになってしまいます。
それ以上に、雰囲気はどんより暗くなってしまいがち。
そこから脱するためには、遊びを認め、多少の回り道も受容し、トリックスターが跳ね回るようにつついてやることが大事です。

あなたの会社、トリックスターはしっかりと活動出来ていますか?

  

 関心を持っていただいた方は、画像をクリック。

 

関連記事

  1. 後継者の周囲で起こっていることはある一つの感情で理解できる

  2. 制限された中で「自由」を感じる考え方~跡継ぎ・後継者・二代目社長のレッ…

  3. 創業社長の能力と後継者の能力 起業の教科書『成功者の告白』より

  4. 二代目社長・後継者のメンタルが押しつぶされそうなとき、社内では何が起こ…

  5. 朝から笑える場所が後継者には必要?~オンライン朝礼で仲間と笑おう

  6. 後継者・二代目社長がブレイクスルーをおこすための三つの条件

  7. 脅威と感じるか?機会と感じるか?~後継者がもっておきたい「普通」の感覚…

  8. 親子経営でけんかが絶えない場合の根本的な解決策