後継者

後継者・二代目経営者が自分の立場を呪う5つの理由


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創業者の子として、会社を継ぐ決心をしたけど、会社が嫌になってしまう。
おそらく、それがなぜなのか、本質的な部分を理解している人は少ない。
問題の根っこを突き止められないから、見当違いの対策に終始する。

同族経営における先代と後継者に起こっている現実です。
そこには、あまりに当たり前すぎて気づかない5つの原因が潜んでいる事が多いようです。





こんにちは。
中小企業二代目サポーター田村薫です。

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なぜモーレツ社員が倒れなかったのか?

24時間働いた(?)バブル以前の人たち

人は、希望を持つことができれば、たいていの事は乗り越えられるもののようです。
戦後の仕事における環境は、今でいえばブラック企業が標準だったと思います。
バブルの頃に至っては、「24時間働けますか?」なんていうコマーシャルが普通に受け入れられた状況。
というより、それが美談だったのですから価値観の変化に驚かされます。

しかし、当時はメンタルヘルスの問題で休職とか、自殺をするとか、そういった話はあまり耳に入ってこなかったように思います。
(あるいは、そういった闇の部分が報道されなかっただけなのかもしれませんが・・・)
かりに、当時のモーレツ社員が、あれだけ働いていて心の問題を抱えていなかったとすれば、その理由はなぜなのでしょう。
私は、そこにある理由を思いつきます。

それは、
「がんばれば、良くなる」
という希望があったからです。

バブル崩壊以降、頑張ればよくなる、という希望が抱きにくくなりました。
やればやっただけ結果が出ると信じられた時代から、どうやればいいのかさえ分からない時代に入ったようにも感じられます。
私たちは、努力の方向性を見失い、その結果もたらされる未来も見えにくくなった。
時代はそんな風に変わっていったのではないかと思います。

世の中の転換点におかれた後継者・二代目経営者の立場

バブル前とそれ以降で世の中の流れや価値観の変化を感じ取っている人は少なからずいらっしゃると思います。
当然、世の中が変わるなら、会社の在り方も変わる必要があります。
今までの線路上を走る電車では、どうやら今まで以上、いえ今まで通りの成功さえも求められそうにはない。
これは経営者のみならず、この社会に住む多くの人が感じている事ではないでしょうか。

このタイミングで事業のバトンタッチを受ける後継者や二代目経営者は、暗闇に閉ざされた何も見えない空間に、自分たちの道を見つけなければなりません。
単に仕事をこなしているだけでは、今より悪くなる。
がんばっても、良くなる保証はない。
何の確証もない中で、新たな道を探し求めるという非常に困難を極める活動が求められています。

しかし、世間の評価は無責任なものです。
後継者の評価を、世の中の変化を含んだ上で行う人は多くはありません。
結果も見えず、評価も得られず、後継者は暗闇の中で一人思い悩む。

その状況を作る要素を分解すると、5つの理由が浮かび上がってきます。
その5つの要因についてみてみましょう。

後継者のよりどころを日々そぎ落とす5つの要因

理由その① 選択肢がない

人は選択肢がないとき、ストレスを感じます。
また、他人に強制されると、やる気を失います。
わかりやす所では、子どもの頃、親に「早く宿題をやりなさい」と言われた瞬間、一気にやる気がなくなる感じです。
やるかやらないか、いつやるか、そんな選択肢を奪われ、こうやりなさいと強制される。
多くの人にとっては、とてつもなくストレスフルな状態です。

そもそも後継者が後継者の立場として存在する状況は、この時点でそういった強制の圧力を感じている可能性があります。
なかには、親が立ち上げた家業が好きで好きでたまらない、という人ももちろんいるでしょう。
しかし、多くの方は特段親の仕事への愛は持っていなかったものの、立場として(たとえば長男だから)やらざるを得なかった。
逃げるという選択肢はなかった。
そんな状況の方が多いのではないでしょうか。

外形的に選択肢が閉ざされているばかりが、自分でも様々な制限をかけているという現状もあります。
自分は、後継者や二世経営者であるから、という立場を意識しすぎて、本当に自分がやりたいことができなくなっているなどといった状況です。

後継者は、後継者である時点でストレスを感じている事が少なからずあります。
それは常に強いストレスというわけではないのですが、後継者という道を歩み始めながら常に持っているストレスです。
長い期間にわたり、後継者をむしばんでいきます。

洞窟に滴る水が、頑強な岩に穴をあけるように、長い時間をかけ、確実に後継者の心を圧迫し続けます。

理由その② 常にプレッシャーを感じている

プレッシャーに強い人、弱い人、それぞれにいらっしゃると思います。
世の中では、特殊な緊張状態を生み出すことが、仕事のパフォーマンスを生み出す秘訣であるかのように言われることがあります。
ところが実際は、どれだけ盛り上がったやる気も、3日も持たないことが多い。

近年の研究によると、人が能力を発揮できるのは適度なリラックス状態だと言われています。
たとえば、メジャーリーガーのイチロー選手は、こういう言葉を残しているそうです。

特別なことをするためには普段の自分でいられることが大事です。

あるモチベーションの研究家はこんな出来事を教えてくださいました。

アンソニー・ロビンズの海外でのセミナーに莫大な費用をかけてはじめていった時の事です。
彼のセミナーでは、「その気になれば何でもできる」という事を体感するために、火のついた炭の上を裸足で歩く、というワークがあります。
それをやけどすることなくやってのけた。すると、もうとんでもない無敵感を感じるわけです。けど、日本に帰国して3日もたてば元の自分に戻っていました。

モチベーションというのは上げることは可能だけど、冷めるのも早い。
だから、やる気を出すよりも、平常心で事に望む方がパフォーマンスもあがる事がわかった、といいます。

つまり、人がその能力を発揮するためには、無理やりやる気を出さなくとも、平常心で粛々とできる事が重要なのです。

もしそれが真実だとすれば、後継者は非常に厳しい状況におかれている事になります。
常に監視の目があり、それなりの成果を期待され続けています。
他の人と一緒…では許されない立場です。

プレッシャーを感じると、人はワーキングメモリーが阻害されると言われています。
つまり、視野が狭くなり、判断が鈍る傾向があります。
プレッシャーを感じる状況というのは、生物としての危機に直面した状態です。
そんな時には、人は脳に入力する情報を減らし、より効率的な判断を下せるよう視野を狭めるというのです。
それが結果として、状況判断を見誤る、本来出てくるべき代案がでなくなる、新しいアイデアが出にくくなる、といった弊害をもたらすようです。

後継者という立場にとらわれる状況下では、このように、脳の機能が低下した省電力モードで日々を過ごしている可能性があります。

理由その③ ゴールが見えない

人のモチベーションを維持する手っ取り早い方法の一つとして、「カウントダウンする」というものがあります。
目標数値から逆算して、「あと○○で目標達成」という数値を明示することで続ける欲求を高めます。

また、どんなに苦しい事でも、人はゴールが見えると元気が出ます。
「トラックを100周走れ!」
と言われたとき、何とか踏ん張れても
「やめろというまで走れ!」
と言われたとき、途中で心が折れてしまうことが多い。

終わりの見えない苦労はきついものです。
さらにきついのは、こんな感じ。

「トラック50周!」
といわれ、あと3周でおわるぞ、もうすぐ50周だ!というときに、
「さらにあと30週!」
と言われること。

これ、きついですね。
けど、後継者の多くはこういう事を経験します。

先代はよく言います。
「65歳になったら引退する」
そして65歳になると
「70歳になったら」
70歳で元気なら
「75歳まではがんばる」
75歳になれば
「生涯現役だ」

よくあるパターンです。
ゴールが近付いたと思ったら引き延ばされる。
後継者が、「あの時は65歳と言ったじゃないか!」なんて詰め寄ると、こういわれます。
「お前がしっかりしないからだろ」
恐らく、かなり高い確率であなたの状況を言い当てているはずです。

後継者はゴールの見えないマラソンを走っています。
24時間テレビのマラソンは、コースがあるし、時間の縛りもある。
私たち後継者のゴールは、何十年かすれば訪れるのでしょうが、もはやないも同然。
延々と、ゴールテープの見えない暗い道を、一人走り続けるのです。

理由その④ 価値観に則った行動がとれない

人は自分の価値観に沿った行動がとれないと、ストレスを蓄積させます。
最近、とくに大企業でうつ病が増えていると言われている背景には、そんな問題があるのではないでしょうか。
自分としてはこうするのがベストだと思う。
しかし、会社の方針はそうではない。
自分に対して誠実でありたい思いを抑え、会社の指示・命令に従う。
だんだんとそのストレスが蓄積されていくと、心が悲鳴を上げ始めます。

そういう意味では、後継者だけの問題というわけでもないのですが、自分の持つ価値観に則った仕事・行動がとりにくい状況では、心に苦痛を感じながら日々を送ることになります。

後継者特有なのは、相手が血の繋がらない他人か、親族かという違いでしょう。
普通のサラリーマンでは他人の理不尽ですから、「ああいう人なんだな」「こういう会社なんだな」と割り切ることもできましょう。
しかし親族の理不尽というのは、なかなか我慢ができない。
これは背景には甘えがあるのかもしれませんし、逆に、子供のころから蓄積された何かがあるのかもしれません。
特に、業務知識において、親(先代)に並び始めたころには、親の理不尽は耐え難いものになってきます。

また、人としてどうあるべきか、という部分においても親だからこそこうあってほしい、という望みの対極に親がいたりするのに気づくとそのショックは決して小さなものではないでしょう。

理由その⑤ 自分比の評価がなされない

人と比べるより自分比の成長を評価するほうがやる気を継続させやすいと言われています。
子どもを育てる時、人の子どもと比較してはいけない、という理由の背後にはそんな理由があります。
他人と競わせることは、短期的なやる気に火をつけることはありますが、勝ち負けが出てしまう以上、勝てば相手を見下す気持ちがうまれ、負ければ劣等感を刷り込む危険性が高いのです。
それよりも、過去の自分に比べて、今日の自分はどうか?明日の自分はどうか?と評価するほうが良いのです。

そこで考えたときに、後継者が他者から受ける評価は何を基準にされているのでしょうか。
それは、若き日の先代です。
しかも、若き日の先代そのものではなく、どこか美化された先代の偉業だったりします。
記憶は美化されますからね。

物事には、うまくいくこともあれば上手くいかないこともある。
先代もそういった紆余曲折、試行錯誤を経て現在に至っているはずです。
しかし、その過程ではなく、先代の最大値と、後継者は比較されることが一般的です。

成長過程にある後継者にとってはとんでもない話です。
先代の過去の栄光話が出るたびにうんざりする後継者。
本人はそんな意図はないのでしょうが、社会が寄ってたかって後継者を苦しめている現実があります。

後継者はどうふるまえばいいのか?

環境を変えることはできない

このような状況に気づいた後継者がはじめにすること。
それは、環境を変えようとします。
先代や、周囲の人間を変えようとする。
排除したり、強制したりして、なんとか今の状況を打開しようとします。
エスカレートすると、後継者であるという立場を変える(つまり会社を辞める)ことを考えるかもしれません。

しかし、多くの場合、それは上手くいかないんですね。
後継者と言う立場を捨てたところで、その罪悪感や劣等感は追いかけてきます。

だからほとんどの場合、周囲を変えようとすることはお勧めできないことが多いのです。

目標は遠くにおく

私なりに考えた後継者の在り方。
それは、目標(目的と言えるかもしれません)をできる限り遠くにおく、という事です。

たとえば、仕事を上手くできるようになろう。
こういった事を目的に仕事をしたとします。
すると、自分自身や他社による評価にさらされます。

会社をしっかりと発展させよう。
そうするとやはり、今までの会社との比較であったり、世間での評判を気にせざるを得ません。

じゃあ、会社を通じて何を達成するのか。
こんなふうに考えてみてはいかがでしょうか。
あなたの引き継いだ会社が存在することで、世の中にどんな影響を与えようとしているのか。
もはや、会社という枠組みなんて外してしまってもいいかもしれません。
そもそも、あなたはこの世の中で何を成し遂げたいのですか、というところです。

 

え?馬鹿げてる?
馬鹿げているほどいいと思います。
なぜなら、非現実的に見えるところに目標を置けば、現実で起こる問題など些細なことになるからです。
こんな長い文章を読んで、こんな結論かよ!と怒り出す人もいるかもしれません。
けど、気持ちだけでもそこにシフトできれば、本当に、ここに出てくるような問題はどうでもよくなります。

すぐにはそんな感覚にはなれないのはよくわかります。
私自身がそうですから。
しかし、こんなワークを少し試してみるといいと思います。

まずは、今の自分がイメージする理想の姿を想像します。
イメージの中で、その中にどっぷりはまってください。
その上で、そのイメージの中の自分が、その時にさらにイメージする未来を想像し、そのイメージにハマる。
すると、今の悩みがどれだけ小さなことかがよくわかります。

なにしろ、イメージの中とはいえ、既にその先の先を達成している自分をすでに味わっているのですから。

騙されたと思って、一度試してみてください。


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